無能の人,日の戯れ の商品レビュー
つげ義春についてはよく知らないのだが、何とも言えない画風と陰鬱とした世界に引き込まれる。どの物語の主人公も貧乏で仕事をするでもなく、怠惰の極致だ。そして全編において妙なエロさがある。その辺の石を売る男、ただただ病人のふりをして働こうとしない男など、いずれも世俗の最底辺にいる人たち...
つげ義春についてはよく知らないのだが、何とも言えない画風と陰鬱とした世界に引き込まれる。どの物語の主人公も貧乏で仕事をするでもなく、怠惰の極致だ。そして全編において妙なエロさがある。その辺の石を売る男、ただただ病人のふりをして働こうとしない男など、いずれも世俗の最底辺にいる人たち。しかしどこか憎めない。
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内容紹介(amazon) 漫画家として行き詰まった〈私〉は、他人の目にはろくでなしに映るかもしれない。ろくに働かず稼ぎもなく、妻子にさえ罵られ、奇天烈な空想に耽りながら、無為な日々を過ごしているのだから……。甲斐性のない漫画家の悶々とした日常を描く「無能の人」、競輪場の車券売り場...
内容紹介(amazon) 漫画家として行き詰まった〈私〉は、他人の目にはろくでなしに映るかもしれない。ろくに働かず稼ぎもなく、妻子にさえ罵られ、奇天烈な空想に耽りながら、無為な日々を過ごしているのだから……。甲斐性のない漫画家の悶々とした日常を描く「無能の人」、競輪場の車券売り場窓口越しに仄かに通い合う夫婦の愛「日の戯れ」など、滑稽かつ哀切な人間存在に迫る〈私〉漫画の代表作12編集成。
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読み直し。 おかしみのある作品が多い。 無能な人間の並べる屁理屈に笑える。 「無能の人」の連作もいいが、「退屈な部屋」に代表される連作も傑作。 【退屈な部屋】【魚石】【日の戯れ】【散歩の日々】【池袋百点会】【隣りの女】【無能の人】
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再読ですけれども、個人的には無能の人より前に入っている短編のが好みだったかもしれません! いや、無能の人も確かに傑作には違いないのですけれども、個人的に石の説明とかね…そんなに詳しく説明されても石などにまるで興味のない者からしたらその部分が苦痛でして…でもまあ、全体を通してみれば...
再読ですけれども、個人的には無能の人より前に入っている短編のが好みだったかもしれません! いや、無能の人も確かに傑作には違いないのですけれども、個人的に石の説明とかね…そんなに詳しく説明されても石などにまるで興味のない者からしたらその部分が苦痛でして…でもまあ、全体を通してみれば「映画:無能の人」のことなんかを思い出させるシーンとかもあったりして楽しめましたよ! ↑ということを言いたいんですねぇ…また数年後かに読み返そうかと思います。さようなら。 ヽ(・ω・)/ズコー
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いましめとして。 つげさんの作品は読む人それぞれの解釈があって、 独特の表現がすごく好き。 毒々とした皮肉をスマートに語る人だなぁと思います。 息子の顔がブラックジョーク(ひどいか)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ひたすら切ない。 出てくる主人公はどれも頼りなく、どこか暢気で、でも暮らしに追われて仕方なく腰を上げて動く、みたいな生活ぶり。 川原で2年かけて石を選別して拾って売ろうと試みる男の話は特に胸に沁みた。 彼が唯一評価されているのは漫画の腕だけなのに、なぜか頑なにそれを「ケチな商売」だと切り捨てて、革新的(不毛)な商売に色気を出すところはまさに間抜け。周囲からも容赦なく「無能」と評されるものの、甘んじてその言葉を受け入れ、その響きに対して苦しさと同時に気楽な喜びを見出しているような雰囲気にフッと溜息が出る。
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久々に読み反してみた。 今、様々なコトが上手くいっていないのかな?少しだけ、現実と距離を置きたい時期なのかな? たぶん、「ユトリ世代」が読んでも、特に何も感じないのでは(?)と思う。 行きつけの喫茶店でコーヒーのツケが出来たり、近所の米屋の支払いが滞っても何とかなった時代の話。 ...
久々に読み反してみた。 今、様々なコトが上手くいっていないのかな?少しだけ、現実と距離を置きたい時期なのかな? たぶん、「ユトリ世代」が読んでも、特に何も感じないのでは(?)と思う。 行きつけの喫茶店でコーヒーのツケが出来たり、近所の米屋の支払いが滞っても何とかなった時代の話。 やらなきゃならないコト、やるべきコトは解っているのに、他人、特に奥さんや、知人といった、近親者に言われると天の邪鬼になってしまう。 学生時代、テスト前に 「勉強しなくてイイの?」 「今しようと思ったんだよ」 しかし、机に向かって、漫画を読む。 結果、テストの成績は……。 コレと同じコト。 つげ義春作品は「芸術漫画」などといった括りがなされているが、そんな敷居を高くする必要などないのでは。 言うなれば、ちょっと、文学チックなトコロがある、昭和エロス漂う、マイナー良質漫画でしょう。 などと言う自分、アフターつげ世代、『ガロ』誌は最後期数年の読者だったりする。
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「無能の人」のみ再読。無能というか、才能の使いどころを間違えているというか。そのためか、本当に悲惨な感じはせず、どこか救いがある。全体的な虚無感はつげ作品ならでは。
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ダメ人間の心の安定剤です。自分もまさかこの主人公と同じ人生を過ごすことになろうとは。 ダメな人ほど癒されます。
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2012年7月20日読了。石を売って暮らそうと考える貧乏漫画家の侘しい生活を描く表題の連作ほかを収録した、つげ義春の短編漫画集。独特の絵柄、人物の会話の味、何も事件の起こらない日常描写と突如現れるエロチシズムなど見所は満載で、面白い。世間の価値判断からはずれ、何も生産せずたいした...
2012年7月20日読了。石を売って暮らそうと考える貧乏漫画家の侘しい生活を描く表題の連作ほかを収録した、つげ義春の短編漫画集。独特の絵柄、人物の会話の味、何も事件の起こらない日常描写と突如現れるエロチシズムなど見所は満載で、面白い。世間の価値判断からはずれ、何も生産せずたいした消費活動もしない「無能の人」を、憧れるでもなく肯定するでもなく、かといって否定するでも「だから夢を信じて!」と背中を押すでもなく、ただ淡々と主人公の無気力な生活を描写していく、これはなかなかできそうでできない作品づくりではなかろうか。家族で八王子まで旅行に出かける「探石行」の話が好き。女房からは人間扱いされずボロクソに言われ(だったら何故結婚したのか・・・)、自己嫌悪に陥るような気力もなく、ただ日々を過ごす主人公。う~~む、共感できるというかなんというか。
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