残酷な神が支配する(文庫版)(1) の商品レビュー
タイトルの通り、残酷な運命に翻弄される少年のストーリー。 元は平凡な少年の、残酷な運命に巻き込まれる過程と、親・兄弟・友人を超えた絆の存在を描く。 読み始めた途端に鬱々となるので、気分が落ち込んでいる方は要注意。 元気に居られる時に読みましょう。
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母が再婚した男から性的虐待を受ける主人公。そして、その義理の兄。結局は主人公だけでなく、兄を含めた二人の成長の物語だったように思う。が、考えさせられる。もーさまの作品はいつもそうだ。読んだ時にもそれなりに受け止めているんだけど、時間がたってふいに自分の中に流れ込んでくるように「...
母が再婚した男から性的虐待を受ける主人公。そして、その義理の兄。結局は主人公だけでなく、兄を含めた二人の成長の物語だったように思う。が、考えさせられる。もーさまの作品はいつもそうだ。読んだ時にもそれなりに受け止めているんだけど、時間がたってふいに自分の中に流れ込んでくるように「意味」がわかる。 なので、これもきっと10年ぐらい(<おい)して、ある朝ふいに「あああ」って思うのだろう。 解説の中で「トーマの心臓」になぞらえてるものがあった。それも複数。でも私は「訪問者」を考えていた。雪の上をたどって神様が罰を与えにくる。そのモチーフが頭の中をぐるぐるしていた。 罪、罰、犠牲、人はどうして、そんなものを必要としてしまうのだろうか? そして物語は、真のカタルシスもなく終る。そして、そのことこそが萩尾望都の言わんとするところを示しているのではないだろうか。つまり、痛みは消え失せることはないから、人はそれを抱えて生きていかなければならないと。 萩尾望都が読める今、生きててよかった。
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ぶっちゃけた話なんかはきそうになった。 頭の中がぐるぐるして、気持ち悪くて、悲しくて。 うなずくしかできない。 萩尾さんのすごさを再確認してしまった作品。 でも好き。読み返せない。だけど愛してる。
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中盤からが見物。とにかく、すごい。心理描写の仕方、話の展開、すごい。「漫画」としての魅力を最大限に引きだしている。新たな漫画感を発見したい方はぜひ。
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私は「信者」と呼ばれても否定できない位長年の萩尾ファンですが、この作品だけはコミックスを買い揃えられませんでした・・・ 嫌いなのではなく、読み返すのが恐ろしかったから。(連載はずっと追いかけてました) あまりにも読み手にパワーを要求する作品。嫌いな人が多いのも仕方ない。 最近にな...
私は「信者」と呼ばれても否定できない位長年の萩尾ファンですが、この作品だけはコミックスを買い揃えられませんでした・・・ 嫌いなのではなく、読み返すのが恐ろしかったから。(連載はずっと追いかけてました) あまりにも読み手にパワーを要求する作品。嫌いな人が多いのも仕方ない。 最近になってやっと読み返そうかなという気持ちになって来たので、とりあえず。
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漫画を読んでここまで心を揺さぶられたのは初めてだった。 読むのが辛い、苦しいのに、何度も何度も読み返してしまう。 幾重にもなる過去のストーリーとトラウマの連鎖。 読むたびに自分自身が迷路に迷い込んでしまう感覚に襲われる。 文庫全10巻
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すごすぎる。 読み出したらとまらなくて、ほとんど徹夜で読破してしまった。 文庫じゃないほうで読んだ(全17巻)んだけど、 1〜6巻までの主人公の少年が義父からうける性的虐待の描写が、これでもかってくらい執拗でつらすぎる。 こんなの月刊誌で読んでらんないよ! 途中で終わられたら、...
すごすぎる。 読み出したらとまらなくて、ほとんど徹夜で読破してしまった。 文庫じゃないほうで読んだ(全17巻)んだけど、 1〜6巻までの主人公の少年が義父からうける性的虐待の描写が、これでもかってくらい執拗でつらすぎる。 こんなの月刊誌で読んでらんないよ! 途中で終わられたら、毎月ひきずっちゃうよ! 大人買いできる年齢でよかったー。 7巻からは義父を殺してしまった主人公ジェルミの精神が崩壊していくさまがこれまた執拗に描かれていて それがまたすごい表現力で。 レイプって精神ぶっこわれるんだって思った。 後半の、イアンが変わっていく様が好きです。 はちみつ入りショウガを口に入れるシーンが印象的。 これを読んで「トーマの心臓」のユリスモールの苦しみがやっとわかった気がした。 あーすごいもの読んだ。
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愛するとは何なのか。愛は痛い、時に暴力に変わり人を傷つける。 時に苦しみを呼び、熱中のあまり自分を見失う。大切にするがゆえに相手を見失う。 相手を愛するほど自分の醜さに嫌気がさす。 それは憎しみとは違うのか。 萩尾望都の中でもとりわけ大好きで印象深い作品。
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つながりは鎖のように、ときに人を救い、ときにきつく肉を締め上げる。人の愛のつながりはタフにできてはいない。 「過剰な愛は少しでも理想や夢と違うことが起きるとき耐えられない」がために、崇高なる愛ほどにピアノ線のようにか細く、間違いを起こせば一瞬にして弾け、肉を裂く。 インスピレーシ...
つながりは鎖のように、ときに人を救い、ときにきつく肉を締め上げる。人の愛のつながりはタフにできてはいない。 「過剰な愛は少しでも理想や夢と違うことが起きるとき耐えられない」がために、崇高なる愛ほどにピアノ線のようにか細く、間違いを起こせば一瞬にして弾け、肉を裂く。 インスピレーション、啓示、偶然などと、人は何一つ選択を許される訳でもなく、ただ嵐のような出来事へとさらされて言い訳を考えながら進んでいくしか生きる道はない(嵐に逆らうには絶命するほかないのだろうか)。 伝言ゲームのように事実は次々に生まれ変わり、人はそれに嘘や沈黙を交えてはときどき思いだし、薄気味悪くほほえむのだ。 「半分はウソでもつくり話でも 半分はホントさ」。 前意識的に刷り込まれていく事実という名の映画は、ときどき目の前の観客を失い、観客たちは瞼の裏側に別の映画館を見つける。 「バラバラになった」映画の続き。 自らを生贄として生きるジェルミにとって、(彼が頑なに拒み続ける)愛とは赦しなのだろうか。 残酷な神の前から生贄を奪おうとするイアンは、図らずも父グレッグと同じくジェルミを支配し征服しようとする。 逃れるすべのない孤独が、果たしえない約束が、自ら従った罰が、色んな形をした愛が、目に見えない信頼が、幸福の名のもとに私を追いかけてくる。何を見るの。通り過ぎたあれ。何も変えられないあと。 人は自らを裁ききれなくなったとき、神を生む。そして神が自分ではなく他者であるということが、自分に許された唯一の存在証明でもあるのだろう。
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文庫版で全10巻。 萩尾望都で一番ハマった漫画かも。 グレッグ(ジェルミの義父)の毒牙にかかって日常的に暴行されるジェルミを見てるのがほんとに辛い・・・。 殺したときはヤッタ!って思ったけど、人生は残酷だね。 苦しみや哀しみは人をこんなにも変えてしまう。 苦しみを与える対象か...
文庫版で全10巻。 萩尾望都で一番ハマった漫画かも。 グレッグ(ジェルミの義父)の毒牙にかかって日常的に暴行されるジェルミを見てるのがほんとに辛い・・・。 殺したときはヤッタ!って思ったけど、人生は残酷だね。 苦しみや哀しみは人をこんなにも変えてしまう。 苦しみを与える対象から逃げようともがき、達成しても、一生付きまとうんだよグレッグが。 だから年末にイアン(グレッグの実子)と漂流する何日間はホントにジェルミにとって必要なものなんだね。
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