スピノザの世界 の商品レビュー
'91年に放送されたNHKスペシャル「アインシュタインロマン」の中で、アインシュタインの言葉として「私が信じる神は、“スピノザの神”だけだ」と紹介されていて、「スピノザの神ってなんぞや」と訳も判らず書店で文庫の『エチカ』を買ってきたのだけれど、そのあまりにも幾何学的な記...
'91年に放送されたNHKスペシャル「アインシュタインロマン」の中で、アインシュタインの言葉として「私が信じる神は、“スピノザの神”だけだ」と紹介されていて、「スピノザの神ってなんぞや」と訳も判らず書店で文庫の『エチカ』を買ってきたのだけれど、そのあまりにも幾何学的な記述に挫折してのち幾星霜、図書館でたまたま本書を見掛けて懐かしさから手に取ってみた次第。かつて放り出した『エチカ(倫理学)』を、著者の独擅場の口実にするのではなくあくまでスピノザに寄り添う形で読み解いていく。単純に「神即自然」と訳され一人歩きした言葉が意味する実のところの認識ははっきり言って驚愕ものだ。まるで理論物理学ではないか。こんな認識に立っていたらそりゃあ幾何学的に記述したくもなるだろう。先だって囓ったデカルトのおかげか“意識”と“延長”の概念も割としっくり馴染め、それらが遍くおよそこの世の全てを包括する唯一の実体(=神=自然)の属性とする汎神論、俗っぽいレベルで解釈すれば依存心が強いともとられかねない、けれど順を追った理詰めの証明でそうとしか認識しようのない認識は、本当に心底からその立場に立つ事ができればスピノザ自身が言うように「真の幸福をもたらす」ことになるだろう。当の昔にどこかへ行ってしまった『エチカ』に、再び取り組んでみようと思わせてくれる良書だった。
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神が唯一絶対の実体であるとし、汎神論を説いた17世紀の哲学者スピノザ。なぜ神にも人間にも自由な意志は存在しないのか?その不思議な魅力の全貌を紹介 [要旨] スピノザの思想史的評価については多くのことが言われてきた。デカルト主義との関係、ユダヤ的伝統との関係。国家論におけるホッブ...
神が唯一絶対の実体であるとし、汎神論を説いた17世紀の哲学者スピノザ。なぜ神にも人間にも自由な意志は存在しないのか?その不思議な魅力の全貌を紹介 [要旨] スピノザの思想史的評価については多くのことが言われてきた。デカルト主義との関係、ユダヤ的伝統との関係。国家論におけるホッブズとの関係。初期啓蒙主義におけるスピノザの位置。ドイツ観念論とスピノザ。現代では、アルチュセール、ドゥルーズ、ネグリ、レヴィナスといった名前がスピノザの名とともに語られる。スピノザはいたるところにいる。が、すべては微妙だ。たしかにスピノザについてはたくさん言うべきことがある。そのためにはスピノザの知的背景と時代背景、後代への影響、現代のスピノザ受容の状況を勉強する必要がある。けれども、まずはスピノザ自身の言っていることを知らなければどうしようもない。そのためには、スピノザがどこまで行ったのか、彼の世界を果てまで歩いてみるほかない。彼が望んだようにミニマリズムに与し、彼の理解したように事物の愛を学ぶほかないのである。
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17世紀の哲人スピノザの入門書。 アインシュタインにも大きな影響を与えた人です。 とっても読みやすく書かれています。 いつも哲学書は新たな視点をくれて好きです。 でも、いつも理解できていない気がする。 そのうち再読するかな。
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難解なスピノザの思想を紹介してくれる、 とても優れており便利な一冊。 ニーチェにも通ずる、汎神論=神あるいは自然という観念は 一種の唯物論的解釈だと感じた
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