授乳 の商品レビュー
「授乳」 難しい作品。多様な解釈ができる。母と父の関係、主人公と家庭教師の関係から、かみ合わないセクシュアリティの問題が垣間見える。家庭教師の過去の話は、その原因か。突如、健全さを発揮する母も少し怖い。主人公の少女は、いい意味でありがちで、これぞ人間の本性という気がする。 「コ...
「授乳」 難しい作品。多様な解釈ができる。母と父の関係、主人公と家庭教師の関係から、かみ合わないセクシュアリティの問題が垣間見える。家庭教師の過去の話は、その原因か。突如、健全さを発揮する母も少し怖い。主人公の少女は、いい意味でありがちで、これぞ人間の本性という気がする。 「コイビト」 自我と他者の問題。欠落は埋められない。 「御伽の部屋」 セクシュアリティと秘密の密接な関係。支配と服従の快楽。自分の二つの顔。支配と服従の転覆が自我を見いだす契機となる。しかし、そこに見た自我とは。。。 3作品とも自我と他者の問題を扱っているように読めた。人間の深淵を覗いているようで恐ろしい。話しに出口がないのも、その恐ろしさを倍加している。現代の怪談か。
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殺人出産をからこのデビュー作を手に取りました。 三作ともわかるようなわからないような女性たちの内面が描かれていた。 「コイビト」に出てきた、ぬいぐるみを他者の全てとする女子高生と小学生の話が印象的だった。 殺人出産はだいぶエンタメ向けにされたんだなぁと思った。
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「授乳」の中でゾクッとしたのは、お母さんが汚いゴミまみれになっていたレタスをお父さんのお皿に乗せるところ。しかもお母さんはとても安らかな顔でそれをしているという。1ページほどだけど、怖い。 そんな母親をみっともない、おどおどしていたと言えちゃう主人公もすごい。村田沙耶香さんすごいです。
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文章に、欲情してしまう。と書くと特殊性癖のようだが(そうなのかもしれないが)、本作を読みつつ感じたことを素直に書き記すならそうなるだろう。別に、著しい性的描写があるわけではなく、その意味で「興奮」しているわけではない。 生々しくベトベトに書かれている表現に、心の芯にある情欲の深...
文章に、欲情してしまう。と書くと特殊性癖のようだが(そうなのかもしれないが)、本作を読みつつ感じたことを素直に書き記すならそうなるだろう。別に、著しい性的描写があるわけではなく、その意味で「興奮」しているわけではない。 生々しくベトベトに書かれている表現に、心の芯にある情欲の深いところを刺激され続けた。デビュー作を含む中編集だが、一貫して感じたのは抑圧と逃避。 その逃げ場所の異常性とドラマツルギーが、著者の作品として際立たせている。淡々とした狂気ではあるが、それが他人事とは思えない恐ろしさ。
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村田さんのデビュー作。 村田さんの作品は読んでいるが、初期の村田さんは今より衝撃的な印象を受けました。 短編集ですが、登場する主人公の女性の思考についていけません。別々の人なはずですが、根本は一緒なのかな? 心の闇を赤裸々に綴ったらこんな本になるのでしょう。 ちょっと読むのが辛い...
村田さんのデビュー作。 村田さんの作品は読んでいるが、初期の村田さんは今より衝撃的な印象を受けました。 短編集ですが、登場する主人公の女性の思考についていけません。別々の人なはずですが、根本は一緒なのかな? 心の闇を赤裸々に綴ったらこんな本になるのでしょう。 ちょっと読むのが辛い本でした。
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芥川賞作家村田沙耶香さん(『コンビニ人間』2016)のデビュー作。コンビニ人間の前に読んでみました。
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「コンビニ人間」が面白かったので、村田沙耶香さん(1979年生まれ)の「授乳」(2003年)を読みました。24歳のときのデビュー作だそうです。母の友達の甥っ子で大学院生28歳の家庭教師と中学生の娘直子の秘められた時間(授乳)、そこに突然現れた母親・・・。この短編は、私にとっては、...
「コンビニ人間」が面白かったので、村田沙耶香さん(1979年生まれ)の「授乳」(2003年)を読みました。24歳のときのデビュー作だそうです。母の友達の甥っ子で大学院生28歳の家庭教師と中学生の娘直子の秘められた時間(授乳)、そこに突然現れた母親・・・。この短編は、私にとっては、いわゆる最近の芥川賞受賞作品に感じる「わけのわからない作品」の部類でした。
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受賞作のコンビニ人間とそのあとの殺人出産が読みたく、まずはデビュー作を。 なんか、小川洋子に似てる気がする。
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『授乳』 『コイビト』 『御伽の部屋』 どれも、主人公は少女。現実世界にうまく馴染めてなくて、妄想に逃げ道を求める話。 いやー、つきぬけて狂ってる。抽象的すぎて、ちょっとよくわからない。ねばねばしてる。生理的嫌悪感。でも、朝焼けを「血にオレンジジュースを混ぜたようなねぼけた朱色」なんて表せる?いろいろすごすぎて怖い。
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あたしの父も母もとてもいい人なのだ。まともで人がよく、涙もろくてよく食べる。あたしはこの人たちの前で狂人のような真似をして苦しめるつもりはない。 (P.71)
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