ゴリオ爺さん の商品レビュー
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傑作だった。ラストゴリオ爺さんの断末魔には思わず目頭が熱くなった。中盤までは嫌な爺だなと思っていたのに。 バルザックは小説よりも評伝の方を先に読んでいたため、実質的にはこの本が初めて読んだ長編である。フランス社交界が好きなのか、フランス文学が好みなのでバルザックは多いに期待していた。確かに初めの50頁は舞台設定を語るに終始しておりかなり退屈であったが、その後は頁を読め進める手が止まらず面白く最後まで読み切った。 比較のために図書館で岩波文庫版を借りて解説を読んだが、本書はゴリオ爺さんの物語と言うよりラスティニャックの青春小説、腐敗した社会で出世する決意を固めるまで、という内容だろうと思う。 人物再登場法ということでヴォートランのその後などが読めるらしいのだが、バルザックは日本語訳に恵まれておらず、ヴォートランが登場する「浮かれ女盛衰記」は訳の評判が悪い。 次に読むのは日本で評価の高い「谷間のゆり」にしようと思っている。
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第一部。文体は嫌いじゃない。読みやすくはないが、かなり、読者目線で書いてくれてる方だと思う。状況説明を、状況説明として書くのでそれが読みづらいと、感じる人もいるかもしれない。ここまでのところ、娘に金を使うゴリオを、表現されてるほど不幸だと思えない。貴族の方が不幸だろ。ラスティニャ...
第一部。文体は嫌いじゃない。読みやすくはないが、かなり、読者目線で書いてくれてる方だと思う。状況説明を、状況説明として書くのでそれが読みづらいと、感じる人もいるかもしれない。ここまでのところ、娘に金を使うゴリオを、表現されてるほど不幸だと思えない。貴族の方が不幸だろ。ラスティニャックのこれからに期待。 ジョークが笑えないのは、時代背景の知識がないからだと思う。 二章読了。一回飽きたけど、もう一度よみ直して面白さに気づく。ゴリオの不幸は真面目にとりあっちゃいけない。というか、この本全体がそう。ギャグ小説と思った方がいい。すごく面白い指摘もあるけど、大したことないことを難しい言い方で表現するのは、小説自体を対象化してるから。 感情と思想の関係。時代が遠い。 軽薄な人間を軽薄なようにかけるすごさ。当時の文化のお勉強。不必要なものの多さ。 重層的でない、キャラはたってるけど、表現に厚みがない。そういうところに悲劇でなく喜劇と呼ばせたい思惑があるのかもしれない。社会というものをこういう風に描こうとしてもつまらないことがわかった。しばらくバルザックは読まない。
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ハチャメチャな爺さんの話かと思ったら、悲しく哀れを感じるお爺さんの話だった。終盤のお金がない娘二人と学生二人の対比が面白い。最後のラスティニャックの決意に応援してしまう。
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19世紀のフランスの社交界を舞台に、ゴリオ爺さんの娘たちに対する熱い思いと葛藤が描かれた物語。訳が不自然に感じられるところがあったため、時間があったら別の訳者の同書を読んでみたい。
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180年近く前のパリ。ほぼ無一文から社交界に打って出ようとする青年の野心を一つの基軸にしつつ、彼の住む粗末な下宿にいる零落した「ゴリオ爺さん」とのかかわりを通じ、当時の社交界の陰陽や清濁を描いた作品。 刊行された当時としては「フィクション」であったこの作品ですが、貴族や富豪とい...
180年近く前のパリ。ほぼ無一文から社交界に打って出ようとする青年の野心を一つの基軸にしつつ、彼の住む粗末な下宿にいる零落した「ゴリオ爺さん」とのかかわりを通じ、当時の社交界の陰陽や清濁を描いた作品。 刊行された当時としては「フィクション」であったこの作品ですが、貴族や富豪といったものに現実味がなくなり、さらに言ってしまえば「社交界」という世界そのものについてもイメージが沸きにくくなってしまった現在では、むしろ当時のパリのその世界を多少脚色しただけの「ノンフィクション」として読めてしまう感もあります。少なくとも、ゴリオ爺さんの二人の娘やその夫たちの虚栄心、社交、博打への耽溺なんかは、当時の世界そのままなんじゃないかと。 一方で、登場人物たちの長ゼリフは非常に芝居的というか舞台的というか。時には10ページ以上にもわたる朗々とした自己表現は、使われている言葉の古さも相俟ってオペラの台本のようです。 さらっと読める本でもないし、実は読後感もそんなに良くはないですが、「実際に起きていたかもしれないエピソードを、耽溺し自己陶酔したパリ人が書いたもの」として読むと、なかなか面白い。このぐらい時代が離れた本を読むと、現代の一般人では理解できない、ある種の狂気があったのだ、ということが見て取れます。
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最初はとっつきづらいが後半は怒涛の展開でグイグイ読めた。パリの上流階級から庶民まで、様々な階級を描き出しつつ人間が懸命に生きる様はときに滑稽で時に胸打たれるのだと感じさせる。人間喜劇とはよく言ったもんです。 ゴリオ爺さんの娘への愛情は、そりゃあもう痛々しいし報われたとは到底言い...
最初はとっつきづらいが後半は怒涛の展開でグイグイ読めた。パリの上流階級から庶民まで、様々な階級を描き出しつつ人間が懸命に生きる様はときに滑稽で時に胸打たれるのだと感じさせる。人間喜劇とはよく言ったもんです。 ゴリオ爺さんの娘への愛情は、そりゃあもう痛々しいし報われたとは到底言い難いのだけど、それでもなお少し羨ましい。ラスティニャック君はその悲惨な末期をみて今後どのように出世してくんでしょうねぇ。
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ゴリオ爺さんが断末魔の吐露をする場面で、彼は全て知っていたのだと、娘達にだまされている事も、自分が甘やかしすぎたのだという事も理解している。そんな娘達を憎んでいる。 今まで自分をだまし続けたつけがきたのだと思います。 いくら娘と言えど、はっきりと切り捨てるべきだったのだと思います。 割り切れない父親の思いというのもあるでしょうが、そこは愛情なんて無いと、ひねくれた人間になった方がゴリオ爺さんは幸せになったんじゃないかと思います。 最後の最後で、呼吸困難に陥って苦しみを味わって死ぬように、最後の最後で自分の幸せを思って憎しみに駆られるよりも娘たちの幸せがゴリオ爺さんの幸せというならば、長い人生の間、ずっとその幸せが戻って来ていたのならばよかったのかもしれません。 ゴリオ爺さんが、娘が涙を流したコートを欲しているシーン、ヴォートランがゲイだと発覚したシーンに声を出して笑いました。 こういうシーンがあったからこそ、ゴリオ爺さんの最後の悲痛さが際立ったように思えます。 個人的にヴォートランが好きです。
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ゴリオ爺さんを可哀想、と哀れめばいいのかわからない。 課題で読んだ本ですが、なかなか入り込めず苦労しました。きれいだけじゃないフランスの生活が見える気がします。
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パリ社交界の醜さを描いた作品。その実態は金。富裕な家に娘を嫁がせた故、孤独に死んでいくゴリオ爺さんを通して、作品の本当の主役の姿を描き出します。
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5分の1くらい読んだところで挫折。 どうにも面白くない。 描写がいちいち小うるさい。 いや、無学な俺にバルザックは難物過ぎたのだろう。 またいつか機会があったら手に取る……かな。 【追記】 だいぶ飛ばし読みしたけど、なんとか読み終えた。 ★一つは変わらず。やっぱり...
5分の1くらい読んだところで挫折。 どうにも面白くない。 描写がいちいち小うるさい。 いや、無学な俺にバルザックは難物過ぎたのだろう。 またいつか機会があったら手に取る……かな。 【追記】 だいぶ飛ばし読みしたけど、なんとか読み終えた。 ★一つは変わらず。やっぱり面白くはない。 解説を読むとなるほどと思う部分もあるのでもう一度読めば前回よりは面白く読めそうな気はするが、当分その日は来そうもない。
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