中村屋のボース の商品レビュー
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新宿中村屋へは、親子3代でお世話になっている。特に、亡くなった祖母と新宿で買い物をすると帰りに中村屋でカレーを何度もごちそうしてくれた。 インドカリーは中村屋に居候になっていたインド人の留学生が伝授してくれたものというのは聞いていた。 でもこの本を読んで、ボーズはたしかに留学生、でもただの留学生では全くないことを初めて知った。 インド独立運動のリーダー的存在が日本に永住すること自体不思議な運命のめぐりあわせだが、そこに中村屋がからんでいて、インドカリーができて、そしてボーズの独立運動家としての運命があって。。 小説として書かれたものではないので、よけいに「時代」を感じてしまった。
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行ったことはないが、新宿中村屋の名前は知っていた。月餅の包装紙にあるロゴも見覚えがある。中村屋を開いた相馬愛蔵と黒光の名前は、安曇野にある碌山美術館を訪ねたときに眼にした。中村屋の敷地内には、碌山荻原守衛のアトリエがあった。碌山は黒光を愛していた。代表作「女」の像は、別の女性をモ...
行ったことはないが、新宿中村屋の名前は知っていた。月餅の包装紙にあるロゴも見覚えがある。中村屋を開いた相馬愛蔵と黒光の名前は、安曇野にある碌山美術館を訪ねたときに眼にした。中村屋の敷地内には、碌山荻原守衛のアトリエがあった。碌山は黒光を愛していた。代表作「女」の像は、別の女性をモデルにして制作されたが、完成した作品を見た子どもたちは「カアさんだ!」と叫んだそうである。 まだ武蔵野の名残を残す内藤新宿にあって、中村屋は一つの文化的なサロンとしての役割を果たしていた。高村光太郎をはじめ、芸術家や文化人、政治家が出入りしては、交流の輪を広げる場となった理由の一つに、「中村屋のインドカリー」があった。そのインドカリーの生みの親こそが、本評伝の主人公、中村屋のボースこと、ラース・ビハーリー・ボースであった。 インド統治の責任者であったハーディング総督に爆弾テロを行ったR・B・ボースは、インドにいられなくなり、伝手を頼って日本に渡る。しかし、英国よりの態度をとる日本政府はボースに対し国外退去を命じる。政府の弱腰の態度に業を煮やしたのが頭山満、玄洋社の首魁であった。その頃、新聞でインド独立の闘士の窮地を知った相馬夫妻は、頭山を通じてボースを中村屋敷地内にあったアトリエに匿うことになる。一歩も外に出られないボースは、アトリエにあった炊事場でインドカリーを作って故国を偲んだ。その味が「中村屋のインドカリー」の原点である。 後に黒光の娘俊子を妻にしたボースは、日本に帰化し、日本にいながらインド独立のために奔走することになる。日本語を流暢に話し、独特の魅力を放つボースは、頭山満や大川周明という超国家主義者の領袖を筆頭に、犬養毅、東条英機、広田弘毅という名だたる顔ぶれを知人の列に加えることにより、日本の国策である大東亜共栄圏の宣伝に協力することになる。 ボースの頭にあったのは、ガンジーの非暴力主義では英国の支配からインド独立を勝ち取ることは難しい。だから日本の武力をもって英国を排し、インド独立を果たすというプラグマティックなものであった。だが、当初は日本の韓国、中国に対する差別意識を批判していたボースであったが、日本政府に重用されるうちに批判色を薄め、国策に絡め取られてしまう。 日本の心情的アジア主義者には思想がなかったと筆者はいう。インド独立を焦り、結果的に日本の超国家主義に協力することになってしまうボースもその点では同罪である。しかし、9.11以降、西欧的世界観にも限界があるのも明らかになりつつある。インドや中国というアジアの国々が台頭しはじめている今、アジア的な視座に立つことにより、西洋的世界を見直し、より普遍的な世界を目指す方法もあるのでは、という問いかけが生じる。そこにこそボースの希求した世界像がある。 新宿中村屋の名物「インドカリー」の陰に埋もれていた一人の男の人生を激動の昭和史を背景にくっきり浮かび上がらせて見せた功績が大きい。出生の地インドを訪ね、逃走ルートを実際に走り、体を張った調査で、過去を活き活きと甦らせる。アジトでの潜伏、繰り返される転居という逃走劇は映画を見るようで手に汗を握る。タゴールや、チャンドラ・ボース、『ドグラマグラ』の夢野久作の父親、杉山茂丸をはじめ記者時代の山中峯太郎等、登場人物の顔ぶれも凄い。文学・歴史好きにはこたえられない一作。
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5年ほど前に図書館で借りて読んだ本。 もう一度読みたい一冊。 中村屋のカリーを見かけるたびに思い出しているw 週間ブックレビューで取り上げられたのが読むきっかけだった。 著者が若いことに驚いた。
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偉業を成し遂げられなかった男の生涯。血沸き肉踊る青年期と無為で焦るばかりの壮年期、その落差が熱涙。 あと、インド近代史は全く不勉強で反省した。
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http://blog.goo.ne.jp/abcde1944/e/417cd8333e4b48e55b485361d4d107ca
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日本に亡命し、日本からインド独立に最後まで取り組んだ志士とそれを支えた日本の物語。 戦前の日本は孫文を初め海外の独立運動を革命家を支援していた。しかし、一方で日本は、満州国を立て帝国主義に進んでいく。 ボースは、インドの独立を心の底から願いながら、インドから離れた日本で影響力と実行力を持つために日本の帝国主義的な部分を受け入れる。また、日本での支援を得る日本文化を理化する資質を持っていた。 結果的にそれらが、日本に操作されているようにとられ、インドの独立家の不信感を招く。 そして、最終的にそれらが要因となり、日本からももう一人のボースに道を譲ることを打診され、潔くリーダーを譲る。 独立の目的のためとはいい、道を譲るボースをすごいと思う一方で、ボースのつらさも伝わりとても複雑な気分。 自国を理解するものだけをイデオロギーに関係なく受け入れる日本という国の特徴は今も変わらない気がする。
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お世話になっているインドの御坊様のお知り合いが書かれている本。 1915年、日本に亡命したインドの闘士。新宿の中村屋に身を隠し、アジア主義のオピニオンリーダーとして、インドの独立を指導したRBボース。 中村屋のカリーの奥深さもあわせて知る本です。
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理想が現実に屈したのだと感じた。そして冷静さを失い周りの状況が見えなくなってきたのではないか。今も昔もそんなに変わらないのが人間の性なのであろう。
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インド独立運動を日本で展開した、中村屋カレーパンの生みの親でもあるボースの記録。 日本史の中では有名な人だったのかな?初めて知った。 著者が30そこそこでこれだけのものを書きあげたのに、感心するとともに、同年代の自分としては若干焦る。
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