半島を出よ(上) の商品レビュー
膨大な資料が巻末にあるけれど、これをただ読むだけで何年かかるかわからない。基本的に村上龍は何となく好きではなかった。それは、作家としての彼より、メディアで見る焦げた悪いドラえもんみたいなルックスのせいであったのかもしれない。それはいいとして、この小説はすごい。北朝鮮の軍隊の福岡侵...
膨大な資料が巻末にあるけれど、これをただ読むだけで何年かかるかわからない。基本的に村上龍は何となく好きではなかった。それは、作家としての彼より、メディアで見る焦げた悪いドラえもんみたいなルックスのせいであったのかもしれない。それはいいとして、この小説はすごい。北朝鮮の軍隊の福岡侵略。作中のところどころで日本の民族性や、精神性、国民性(あるのならば)に警鐘をならす。その時々で自らを振り返り弛緩する。フィクションであるが、考えさせる物語小説のだいご味をいかんなく発揮している。
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村上龍の本を読むのは2度目。 未来を予想させるような圧巻のストーリー展開。 もしかしたら将来こうなるのでは…と想像させ、真剣に読んでしまう。 下巻に続く。
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取材、調査が細かくていい。それでいて作者のイマジネーションも発揮されている。 2011年、失業率上昇、円安、高齢化で衰退した日本福岡に、北朝鮮の軍隊が乗り込んでくる。
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やっぱり面白いわ~。こういうの書くから村上龍を止められないんですよね。 もうイシハラとかめちゃくちゃ気持ち悪くてこんなキャラクターを作ってしまえるところが本当すごい。 なんか発売当初の感想が「何知ったかぶって語ってんの、ププ」みたいなレベルの低いこっぱずかしいものですが、まあい...
やっぱり面白いわ~。こういうの書くから村上龍を止められないんですよね。 もうイシハラとかめちゃくちゃ気持ち悪くてこんなキャラクターを作ってしまえるところが本当すごい。 なんか発売当初の感想が「何知ったかぶって語ってんの、ププ」みたいなレベルの低いこっぱずかしいものですが、まあいいか。どうせ誰に見られるでもなし。 10.08.18 再読 頭の悪い表現ですがここ10年、村上龍は実にイケてなかった。 援助交際に乗っかったりサッカーに乗っかったり坂本龍一に乗っかったり引きこもりに乗っかったり。 『乗っかる』事はマーケティングの結果であって村上龍はそれを実にエキサイティングに噛み砕いて作品を排出できる作家ではあったけれど、ここ10年、彼は実にイケてなかった。 それはその期間の彼の作品群を見ても明らかであるし、実際の作品も「ビミョー」としか言いようの無い暗いだけだったり、説教臭かったり、読む気すら起こらないような作品が多かった。 『コインロッカーベイビーズ』で味わう破壊衝動と高揚感 『走れ!タカハシ』の軽いテンポ 『コックサッカーブルース』で描かれる偏った性癖 『初めての 夜二度目の夜 最後の夜』で感じる獲得と喪失 これら過去の作品を中途半端になぞるだけの10年だったように思うのです。 作品から感じるナルシズムと思い込みの激しさはどこへ行ってしまったんですか!? 『13歳のハローワーク』が100万部売り上げたとしても私はそれを小説家である彼の評価に直結できないのです。「やっぱり、乗っかるところは乗ってきたな。」それが私の感想。 しかし、『半島を出よ』は違った。 やっぱり村上龍は乗っかった。 でもこれは凄い。 話は変わるのですが、日本でも特にメジャーな小説家と言えば、村上春樹・吉本ばなな・村上龍と言っても良いでしょう。この3人の作品に共通する事は一つ 『行って、帰ってくる話』 。これだけ。 村上春樹は『行って、帰ってきた』後、周囲に上手く溶け込めない話。 吉本ばななは『行って、帰ってきた』後、何だかんだで上手くやっていける話。 村上龍は『行って、帰ってきた』後、なんてどうでもいい話。 つまり、村上龍は『後』をどうにでも変化させて作品を出してきたのですね。 しかし『半島を出よ』はそもそも‘行って、帰ってくる話’ですらありませんでした。 後編へ。
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村上龍の小説は普段あまり読まないのですが、これは例外、本当に面白かった。私は福岡在住(最近は半分東京)なので、ストーリーの舞台となるシーホークホテルや九州医療センター、ホームレス達?が住む姪浜など、他人事ではないリアリティを持って迫ってきます。結局、日本政府は何の役にも立たず、特...
村上龍の小説は普段あまり読まないのですが、これは例外、本当に面白かった。私は福岡在住(最近は半分東京)なので、ストーリーの舞台となるシーホークホテルや九州医療センター、ホームレス達?が住む姪浜など、他人事ではないリアリティを持って迫ってきます。結局、日本政府は何の役にも立たず、特殊な知識や技能を持ったホームレス達が高麗遠征軍を全滅させるあたり、アイロニーが効いていて秀逸です。
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なさそうでありそうな やっぱりなさそうな近未来のお話。 上巻では北朝鮮での描写や 作戦の初期段階が描かれています。 分厚いディティール。 細かい人物描写。 ただ・・・ 登場人物が多すぎて把握できなかったので (特にコリョの人たち!) そこまで感情移入できなかったのが残念なと...
なさそうでありそうな やっぱりなさそうな近未来のお話。 上巻では北朝鮮での描写や 作戦の初期段階が描かれています。 分厚いディティール。 細かい人物描写。 ただ・・・ 登場人物が多すぎて把握できなかったので (特にコリョの人たち!) そこまで感情移入できなかったのが残念なところ。 とはいえ、まだ上巻。 下巻にむけてのワクワク感はたっぷりです。
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読み始めたとき登場人物がやたらめったら多くて参った…しまった…と思いつつも読み進めてあとで気がつくけど、 登場人物の数には、実のところ、たいした意味はないし、 んなものはこの小説では問題じゃない。 テーマこそ微妙だけど、タイトルこそなんだし、 膨大な資料に基づいて細かく...
読み始めたとき登場人物がやたらめったら多くて参った…しまった…と思いつつも読み進めてあとで気がつくけど、 登場人物の数には、実のところ、たいした意味はないし、 んなものはこの小説では問題じゃない。 テーマこそ微妙だけど、タイトルこそなんだし、 膨大な資料に基づいて細かく書き込んではあるけども、 んなことも、実は、たいして問題ではない。 …半島って「あそこ」のことを 言ってるわけじゃないと思うし。 (あることを端的に表す「記号」として出てくるだけ のよに思う、という意味。) 家畜としての羊は、柵の中で生かされ、 時として放牧に出される生活が、果たして幸せなのか。 その家畜としての羊を飼う羊飼いは、幸せなのか、不幸なのか。ジャングルに住んでいる野生の動物は、日々の生活は過酷だが、それは実際不幸なのか。 ロボットは、幸せなのか、不幸なのか。 ロボットをつくる人間は、幸せなのか、不幸なのか。 幸せか不幸かって判断の基準は他人にもとめちゃいかんのだ。 オノレの立ち位置はオノレで決める。 大立ち回り版13歳のハローワーク。 というより、 ハローワークのドアを叩く前に読んでごらん、の本。
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村上龍さんの半島を出よ なんと北朝鮮が日本に戦争を仕掛ける話。 っていうか現実に起きそうな話ですよね。 全部で上下巻二冊なんですが、読み応えはかなりあると思います。 読むのに時間はかかったけれど、読み終わった感想はすごい面白かったです。村上さんが北朝鮮や戦争のことなど...
村上龍さんの半島を出よ なんと北朝鮮が日本に戦争を仕掛ける話。 っていうか現実に起きそうな話ですよね。 全部で上下巻二冊なんですが、読み応えはかなりあると思います。 読むのに時間はかかったけれど、読み終わった感想はすごい面白かったです。村上さんが北朝鮮や戦争のことなどを綿密に研究されたこともあり、かなり専門的な話が多々見られました。また、知らなかった北朝鮮人の生活や常識が日本とあまりにかけ離れていてびっくりでした。 戦いのシーンではリアル過ぎて気持ち悪くなるようなところもありますが、あまりに衝撃的で最後まで目が離せません。 ただ・・・・最大の難関は朝鮮人の名前が覚えられない!!!カタカナで覚えにくいのに加えて、登場人物がありえなく多いです。本の最初に登場人物の欄が何ページにもわたってあるのが衝撃的でした。しかもみんな役職についてるんだけどその役職名が長い!! 日本人の名前もなぜかカタカナだったりしたので誰が誰なのかわからなくなって、何回も登場人物の欄に戻ってしまいました。 はじめこの作品に慣れるまでにかなりの時間がかかりました。名前は覚えられないし、内容も専門的なことがたくさん出てきて睡魔に襲われることも多々ありましたが普段読んだことのないような現実離れしていた内容だった事と、北朝鮮の勉強(学校ではここまで教えてくれないよ)になったこともあり、読み終わって満足でした。
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呑気にこんなレビュー書いてる場合じゃないな!!というくらい、現実的かつハードな一冊。でも正直、いつこんな事態になってもおかしくないんだろうなー。自分だったら、どうしよう?
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久しぶりに読み返した。舞台が自分が住んでいる街で、しかも自分が設計した建物も出てくるのでリアリティたっぷりに入り込んでしまう。 この小説を読みながらイライラしてしまうのは、日本政府の対応があまりにリアルで、しかもきっと有事の際にはこんな対応するんだろうなというのが文章になって描...
久しぶりに読み返した。舞台が自分が住んでいる街で、しかも自分が設計した建物も出てくるのでリアリティたっぷりに入り込んでしまう。 この小説を読みながらイライラしてしまうのは、日本政府の対応があまりにリアルで、しかもきっと有事の際にはこんな対応するんだろうなというのが文章になって描かれているからなんだな、と改めて思った。 「責任逃れ」という言葉が頭に浮かぶ。自分の日常も責任を全うする作業と、それ以上にリスクヘッジという名の「責任逃れ」のための作業に忙殺されている。自らが背負うべき責任に対してどう向き合っていくかということを考えさせる1冊。上巻読むだけでもヘトヘトになる・・・
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