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半島を出よ(上) の商品レビュー

4.1

157件のお客様レビュー

  1. 5つ

    57

  2. 4つ

    49

  3. 3つ

    41

  4. 2つ

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2009/10/04

上巻では福岡を徐々に支配していく様が描かれる。北朝鮮の人物たちをストイックで素朴かつ民度の高い国民性に描いていることで、この作者お得意の、日本人の“のどかな”メンタリティに対する批判めいた意見をさりげなく訴えてくる。しかし北朝鮮の人物たちの国民性が日本に比べて経済的に貧困であるこ...

上巻では福岡を徐々に支配していく様が描かれる。北朝鮮の人物たちをストイックで素朴かつ民度の高い国民性に描いていることで、この作者お得意の、日本人の“のどかな”メンタリティに対する批判めいた意見をさりげなく訴えてくる。しかし北朝鮮の人物たちの国民性が日本に比べて経済的に貧困であることから来るという描き方もしており、この辺りは年配受けを狙った感がありあまり好きになれなかった

Posted byブクログ

2009/10/04

 元々村上龍という作家は、トパーズとかコインロッカーベイビーズとかいまいち好きになれない作風の作家という印象がありました。印象が変わったのは、「5分後の世界」「ヒュウガウィルス」で、その二冊で見事にこの手の世界にはまりました。(その後、「愛と幻想のファシズム」も発見し、読みました...

 元々村上龍という作家は、トパーズとかコインロッカーベイビーズとかいまいち好きになれない作風の作家という印象がありました。印象が変わったのは、「5分後の世界」「ヒュウガウィルス」で、その二冊で見事にこの手の世界にはまりました。(その後、「愛と幻想のファシズム」も発見し、読みました)  今回は、久しぶりにそのテイストに近い作品で、かつどの作品よりも、ぐいぐいと迫ってくる危機感を感じました。  頭の方では、日本の経済運営を完全に失敗してしまい日本の経済状態が破綻状態であることが描かれます。実際にここまでにいたるかどうかはわかりませんが、可能性があるのは事実だと思っています。そしてそれに対抗するすべをほとんどの国民が(自分も含め)持ち得ない恐怖にまずは暗く沈みます。  そして、たった9人のコマンドによる福岡ドームの占拠。シーホークホテルに司令部を設置。  「五分後の世界」で、パラレルワールドで米軍に抵抗を続ける地下に住む旧日本軍の血を引く日本軍(UG)のイメージが、ここでは常に戦時体制で訓練される北朝鮮特殊部隊に引き継がれている。  実際、20世紀初頭の日本人とこの21世紀の日本人は驚くほどに精神性は異なってしまったのかもしれないと読んでいて強く感じました。中国や韓国、北朝鮮が恐怖する(あるいは嫌う)日本人像は、20世紀初頭の日本人であり、今の日本人をみるとがっかりするのかもしれません。その精神性はなくなったのではなく、どこか別の部分で生き残っているはずだと思いたいのですが。  日本政府の対応のまずさは、笑うしかありません。  「日本は、国家として戦略的に犠牲者を出すことで生き延びたことがない。したがって戦略的に少数を犠牲にして多数を生かすということができない。」 という文章がものすごく印象に残りました。

Posted byブクログ

2009/10/04

イシハラグループがなかなか出てこないので☆4つ。笑 「コインロッカー〜」好きな方には本当におすすめ!村上龍の話題の新作は予想以上に良い出来でした!

Posted byブクログ

2009/10/04

政治家の対応風景や、北朝鮮兵士の描写とかなりリアリティに富んでおり、とても面白かったのだが、なんというか圧倒的に現実味のない感じで物語は進んでゆく。 それはつまらないとか、描写が下手とかではなくて、リアルすぎて現実味がないという感じに似ている。淡々と物語が進んでいくし、会話に「...

政治家の対応風景や、北朝鮮兵士の描写とかなりリアリティに富んでおり、とても面白かったのだが、なんというか圧倒的に現実味のない感じで物語は進んでゆく。 それはつまらないとか、描写が下手とかではなくて、リアルすぎて現実味がないという感じに似ている。淡々と物語が進んでいくし、会話に「」がないこと も作用しているかもしれない。 しかしながら、なぜか危機感にさらされている感じ。

Posted byブクログ

2009/10/04

希望の国のエキソダズ系の話。日本は情けない、っぽいやつ。村上龍のこれ系は好き。これから下巻読むけど。下巻次第だなー。

Posted byブクログ

2009/10/04

情熱大陸(MBS)でこの本を装丁された方が出ていたことと、久しぶりにまじめに村上龍を読もうと思って購入。 すらすらとテンポよく展開していく話に引きづりこまれてますw

Posted byブクログ

2020/07/15

村上龍の小説は、エンターテイメントに徹している。 よく出来たエンターテイメントというのは、とにかく先が気になるので、途中で読み止められずについページをめくってしまう。 もし、北朝鮮軍が日本に上陸して、北九州を占拠したらどうなるか。実際にありえなくもなさそうな話しで、その設定からし...

村上龍の小説は、エンターテイメントに徹している。 よく出来たエンターテイメントというのは、とにかく先が気になるので、途中で読み止められずについページをめくってしまう。 もし、北朝鮮軍が日本に上陸して、北九州を占拠したらどうなるか。実際にありえなくもなさそうな話しで、その設定からして惹きこまれる。 作品の完成度は、フィクションをいかにリアルに見せるかというところによっている。この小説も、とにかく人物設定や状況描写が緻密で、その情報量はフィクションであることを忘れさせてしまうくらいの膨大さだ。 ノブエは、何か社会的常識のようなものに素直に従って生きている人間のほうがはるかに変だと思っていた。誰でもスギオカのように人を殺す可能性がある。スギオカのような人間がこの世にいるのは変だと信じきっているやつのほうがよほど変だ。人間はどんなことでもやる自由と可能性を持っているから本質的にひどく恐ろしい。(上巻p.26)

Posted byブクログ