架空通貨 の商品レビュー
池井戸潤の初期の頃の作品で江戸川乱歩賞の「果つる底なき」の後に2000年に発表された作品ですが、池井戸潤の作品を読むのは11作目です。後に発表された作品「空飛ぶタイヤ」や「下町ロケット」のようなワクワク感や勧善懲悪のスカッとする感動はないのですが、悪を追い詰めて破綻させるまでの過...
池井戸潤の初期の頃の作品で江戸川乱歩賞の「果つる底なき」の後に2000年に発表された作品ですが、池井戸潤の作品を読むのは11作目です。後に発表された作品「空飛ぶタイヤ」や「下町ロケット」のようなワクワク感や勧善懲悪のスカッとする感動はないのですが、悪を追い詰めて破綻させるまでの過程にはグッと引き込まれます。でも誰も救われない暗いストーリー展開にはやはりスカッとしないのです。 元商社マンで企業信用調査のプロだったのが、事情で退職して高校教師になっている辛島武史36歳が主人公。クラスの女子生徒の黒沢麻紀が父親の会社黒沢金属工業が不渡りを出したことで行方が判らなくなったことから物語は始まる。 取引先の田神亜鉛が牛耳る田神町、典型的な企業城下町で取引先とその下請け零細企業が集まる町である。そしてその町だけに流通している架空通貨を巡り、辛島武史と黒沢麻紀がその暗部にせまる。 暴力団組織のマネーロンダリングや別の復讐劇が絡んで結構興味を惹かれる途中展開なのですが、最後の結末がすっきりしないのです。それとも私が知らないだけで、続編があるのでしょうか?
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乱歩賞作家の受賞後の長編第一作は『二作目のジンクス』を打破し、傑作でした! ビジネスの原則は、ビジネスで対価を得られるのは、相手の幸せを実現するから。原則を無視した金は、必ずその指からすり抜けていく。他人を不幸にし、いずれ自分を不幸にする。『金』という普遍的なものに、人それぞれの...
乱歩賞作家の受賞後の長編第一作は『二作目のジンクス』を打破し、傑作でした! ビジネスの原則は、ビジネスで対価を得られるのは、相手の幸せを実現するから。原則を無視した金は、必ずその指からすり抜けていく。他人を不幸にし、いずれ自分を不幸にする。『金』という普遍的なものに、人それぞれの過去、思い、未来、いろんなものが込められている。長編だけあって仕掛けが大掛かりで何度も前に戻り紐解き紐解き(^^;)
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ドロップアウトして社会科教師をしている辛島先生がかっこいい。 また倒産寸前の会社のために奔走する麻紀ちゃんは高校生であることを忘れるくらい会社経営者とみえるのもおもしろい。 物語自身も面白かったが、壮大な復讐劇を成し遂げた加賀さん、やはり金融の世界で活躍するのが素敵に思える辛島先...
ドロップアウトして社会科教師をしている辛島先生がかっこいい。 また倒産寸前の会社のために奔走する麻紀ちゃんは高校生であることを忘れるくらい会社経営者とみえるのもおもしろい。 物語自身も面白かったが、壮大な復讐劇を成し遂げた加賀さん、やはり金融の世界で活躍するのが素敵に思える辛島先生のその後の活躍をみてみたい。
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元商社マンの高校教師辛島は、親の会社の倒産を避けるべく七千万円の社債を押し付けた企業に交渉に行く生徒に手を差し伸べる。2人が向かった街はその企業の城下町。そしてそこでは私製通貨がはびこっていた。そしてその倒産劇の裏側が見えてくる…。500ページ弱あるが一気読み。映画見てるみたい。
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この本は貨幣制度とマネーロンダリングの仕組みを丁寧に教えてくれる教科書か? と思うぐらい、説明がわかりやすくて詳細で非常に為になる一冊。通貨とは何か。信用とは何か。インフレの末路とは。 そしてこの要素だけで、ここまでリアリティのある恐ろしい結末を描けるのは、流石の一言。 途上国で...
この本は貨幣制度とマネーロンダリングの仕組みを丁寧に教えてくれる教科書か? と思うぐらい、説明がわかりやすくて詳細で非常に為になる一冊。通貨とは何か。信用とは何か。インフレの末路とは。 そしてこの要素だけで、ここまでリアリティのある恐ろしい結末を描けるのは、流石の一言。 途上国ではこういう事が日々起こっているんだろうなと容易に想像できるし、それが日本で起こっても全く不思議ではないと思える巧みなストーリーです。物語の舞台となる東海地方の「田神町」が、かつて亜鉛の鉱山で栄えた岐阜県の旧神岡町をモデルにしている点もリアリティを増す要素。 元商社マンの高校教師とその生徒、という主人公達の設定の必要性については終始??だったが、まあきっと他の設定では諸々上手く行かなかったのでしょう、と納得しておく。
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あの、池井戸潤さんの江戸川乱歩賞受賞後第1作だそうです。 この作品から半沢直樹、花咲舞に繋がったのかな? 読み応えのある、そんな作品です。
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池井戸潤氏は読んでて面白い、そしてビジネスパーソンにとってためになる情報を盛り込んだ小説を書いてくれいます。一部はドラマにもなっていますね。この本は以前に、今度海外出張があったときに、飛行機の中でお酒を飲みながら楽しもうと思って購入していたものでした。 最高に面白かったです。こ...
池井戸潤氏は読んでて面白い、そしてビジネスパーソンにとってためになる情報を盛り込んだ小説を書いてくれいます。一部はドラマにもなっていますね。この本は以前に、今度海外出張があったときに、飛行機の中でお酒を飲みながら楽しもうと思って購入していたものでした。 最高に面白かったです。ここで展開されているのに似たような舞台がどこかにあるのでしょうか。それらを自分でイメージしながら読み進めていきました。映像を見るのと違って、自分で場面や人物を設定していけるのが嬉しいですね。 海外出張時の楽しい時間の過ごし方を、さらに見つけた感じです。 以下、付箋をつけていたポイントです。もっと引用したい部分はあったと思いますが、読むのに夢中でつけ忘れました。 ・人間も会社も、地位の高いも低いもなく、全て部品である。だがその部品にもプライドがあり、夢も希望もある。部品は自分のことを部品だと思っていない、だが、その夢や希望を捨てたとき、部品は真の部品となる。それが悲しい(p309) ・金融機関は融資取引を開始するとき、その約定書に調印を迫る、相手が中小であろうと一部上場であろうと同じ約定を締結する。例外は個人向けローンと、一部の預金担保貸付のみである、拒否することは可能だが、融資は受けられない、強制と同じである(p352) ・銀行が相手に対して、借入金返済の請求書を郵送するだけで、期限の利益は喪失できる(p354) 2018年8月12日作成
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『金の表と裏は、夢と希望という言葉に置き換えても良い。人々はその狭間のどこかで生き、暮らしている。』 主人公・辛島の生徒である黒沢麻紀の父の経営する会社の破綻から、とある町を支配する闇の架空通貨、田神札の存在。そして裏で渦巻く陰謀… 全体的に金融の専門用語などが絡んでくる上、...
『金の表と裏は、夢と希望という言葉に置き換えても良い。人々はその狭間のどこかで生き、暮らしている。』 主人公・辛島の生徒である黒沢麻紀の父の経営する会社の破綻から、とある町を支配する闇の架空通貨、田神札の存在。そして裏で渦巻く陰謀… 全体的に金融の専門用語などが絡んでくる上、登場キャラクターに強烈な個性があるかといえばそうでもなく地味なキャラが多く(麻紀の、高校生とは思えない大人びた言動はちょっと不気味にすら感じたが)、そのためにドラマティックな展開がなくスピード感がないため、今何が起こっているのか、頭の中を整理しながら読む事に少し集中力が要る。しかし、町という規模を支配する田神札の存在から、徐々に全ての元凶である安房のとある計画、財務コンサルタント加賀翔子のとある陰謀が明らかになってゆき、文字を追うスピード、ページをめくる手も早まってゆき、終盤の町中の恐慌渦中の如き取り付け騒ぎと暴動のシーンは非現実的で、けれども不気味な現実感を伴って…恐ろしささえ感じました。 麻紀の言葉にこんなものがあります。 『みんな必死になってお金儲けを企む。知恵と機微に長けたものが生き残り、愚か者がババを掴むってわけよね。馬鹿みたいよね、そんなゲームに振り回され、必死になってるなんて』 彼女の言葉通り、立場の弱い多くの者がババを掴まされ、必死で踠き、暴れ、そして破綻していくわけですが、本作全体を読んで、さらに恐ろしく思ったのは、その弱い者でさえ、金という魔力によって人を破綻に追い込む側になることもきっとあるという事です。 正直金融の知識にかなり疎いので、物語の中の何が正解で、何が間違っていて、どのような行動が悪で、どのように行動すべきだったのか…とか、そんな事は全く分かりませんでした。ただただ金の恐ろしさを感じました… 金融の知識を多少なりとも持ってれば、もっと本作を楽しみ、考察できたのかもしれませんが… …やっぱ金っておそろしいよ(←何回いうねん)
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安定の池井戸作品。少しの経理・経済知識があるとさらに楽しめる。2000年の作品なのでふいに恋愛要素入れたりとちょっと荒削り。それにしても刊行後に「架空通貨」に改題したのはいただけない。「現実が物語に追いついた!」って帯に書いてあるけど架空通貨はストーリーのメインではなくサブ要素だ...
安定の池井戸作品。少しの経理・経済知識があるとさらに楽しめる。2000年の作品なのでふいに恋愛要素入れたりとちょっと荒削り。それにしても刊行後に「架空通貨」に改題したのはいただけない。「現実が物語に追いついた!」って帯に書いてあるけど架空通貨はストーリーのメインではなくサブ要素だし、ビットコインみたいな仮想通貨とは全然違うし。販促コピーが安直すぎ。
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商売のカラクリや裏社会と、そこに絡む人間模様。読み進めれば進めるほど面白くなってくる展開。景色がイメージできる描画。面白かった。
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