新しい中世 の商品レビュー
現在の世界システムが…
現在の世界システムが,近代以前に西欧に存在した「中世」とかなり似たところをもつシステムに移行しているのではないか,という独自の視点で国際政治を分析する.「新しい中世」という枠組みは9.11以降を分析するのにもある程度有効なのではないかと思われる.
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世界システム論や国際…
世界システム論や国際関係学の理論を踏まえた上、現代の国際情勢を「新しい中世」という言葉で捉えている。着眼点と上記の分野を俯瞰する上での入門書として良いのでは。
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3年前に友達に進められて「読みたい本」に登録したまま、ようやく読めた。 初版は1996年に出版されているので、実に10年も前になるため、冷戦終結後すぐの世界を分析したものであり、その後のテロとの戦いについては見通せていないところがどうしてもあると思う(作者は補論において見通してい...
3年前に友達に進められて「読みたい本」に登録したまま、ようやく読めた。 初版は1996年に出版されているので、実に10年も前になるため、冷戦終結後すぐの世界を分析したものであり、その後のテロとの戦いについては見通せていないところがどうしてもあると思う(作者は補論において見通していたと主張しているが)。ただ、そうはいっても冷戦後、アメリカの覇権後、相互依存社会の到来から、国際社会がどのような社会体制になっていくかを実にわかりやすく示していると思う。国が国としての形にこだわった近代から、相互依存と多様な主体が活躍する「新しい中世」へと変化するという話、そして、3つの圏域「新しい中世」「近代」「混沌」に分けて考える手法はなるほどなと思う。今のテロとの戦いは、新しい中世圏域の豊かさが、相互依存によって混沌圏においても認識されやすくなってしまったがために起きているのかもしれない。
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社会学の本。 冷戦終結後の世界システムを分かりやすく書いている。新中世圏、近代圏、混沌圏での分類。 1996年代に書かれた本なので少しオールドファッションも感じるが、9.11後についての追記も記載されている。 世界システムというか、経済力の裏には武力や国家戦力(核爆弾)、資源...
社会学の本。 冷戦終結後の世界システムを分かりやすく書いている。新中世圏、近代圏、混沌圏での分類。 1996年代に書かれた本なので少しオールドファッションも感じるが、9.11後についての追記も記載されている。 世界システムというか、経済力の裏には武力や国家戦力(核爆弾)、資源力があるからこそ今の世界がある。 今後の世界システムがどう変化していくか…それを知る手掛かりになるかな。
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イデオロギー対立の戦場はそれぞれの陣営の間の経済パフォーマンスをめぐる競争であった。 世界が依然として戦争状態だとすれば、世界には対立が続くばかりではないか。冷戦の終焉は無意味な現象なのか?必ずしもそうではない。 冷戦は二極対立であっただけでなく2つのイデオロギー対立の側面を重視...
イデオロギー対立の戦場はそれぞれの陣営の間の経済パフォーマンスをめぐる競争であった。 世界が依然として戦争状態だとすれば、世界には対立が続くばかりではないか。冷戦の終焉は無意味な現象なのか?必ずしもそうではない。 冷戦は二極対立であっただけでなく2つのイデオロギー対立の側面を重視したとすれば、冷戦後の世界はどのようにおなるといえるのだろうか。マルクス・レーニン主義の教義は今や自由主義的民主制のイデオロギーと栄光力を競うほどの力は持っていない。 覇権とは一国が国家間関係を制御するうため基本的ルールを維持するのに十分なほど強力であり、しかもそれを維持する意思がある状況と定義したのがナイとコヘイン。 依然として社会科学の世界におけるアメリカの学会の多くはアメリカ人である。経済学や国際政治学において世界を指導する学者の多くはアメリカ人。 レジームの慣性とは一度できあがったしくみはそう簡単には変わらないということ。 相互依存が水平分業的になりグローバルな金融市場、商品市場が機能するようになると、関係が複雑になりすぎて、軍事力で何が達成できるのか全く不明になってしまった。 レジームをきわめて広く解釈して事実上の了解事項や行動パターンが存在すればレジームがあったのだとすれば冷戦もそのようなレジームの一種とみなすことができるのかもしれない。しかしそこには決して明示的な合意は存在しなかった。 現在のシステムは冷戦や覇権の後の時代に入っただけでなく、新しい中世に向かっている。相互依存の進展は新しい中世の特徴を徐々に示し始めていると主張したい。 主権国家の普及によって主体の均質化が進む一方、イデオロギーの側面でいえば、近代世界システムは対立によって特徴づけられてきた。 近代世界システムがヨーロッパ中世と異なる点は経済的相互依存の進展。世界が政治的には主権国家によって相互排他的に分割され、思想的は厳しく対立抗争が続く中、経済的には地球上の各地が資本主義的な市場の中に組み込まれていった。
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【書評】 現在の世界システムは「新しい中世」に近づいているのか?筆者は国際関係に有意味な影響を与えうる主体の多様性、自由民主主義/市場経済という挑戦しがたい正統なイデオロギーとなっていること、相互依存の深まりなどから、米国や日本、欧州などの関係を中世との近似点から「新しい中世」と呼ぶ。その上で、自由民主制•市場経済を軸に世界システムを「新中世圏」「近代圏」「混沌圏」に区分し、その相互作用を通して世界システムを概観する。 アジア•太平洋における関係は複雑さを増している。中国の国力増強、領土問題や核開発、経済的相互依存などを前に、米国、日本、豪州のような「新中世圏」は、その他の「近代圏」とどのような関係を結べば良いのだろうか。また、911が示したように、「混沌圏」と「新中世圏」間の不可分性をまえに日本のとるべき政策とは。自由民主制•市場経済という「新しい文明」の論理を軸に相互依存を深める世界システムを分析する。 —コメント— 世界を国家体制として自由民主制•市場経済を軸に三つの文明圏に分ける点は興味深い。しかし、その点を除けば日本を取り巻く地域における政治分析と政策提言は、特に新しい観点はなく退屈さを感じた。 この手の分析の弱点としては、同一圏内における説明が弱くなる傾向を挙げられる。例えば、筆者が今日的な「文明圏」とする「新しい中世」内部においての同質性を過剰評価している。米国が圧倒的な経済力を有さない現在において、同一圏域においても政治経済の対立が露骨になる可能性がある。その点、時代制約性のある本だと思う。 また、iTや技術革新をあたかも、「新しい中世」圏の自由民主制•市場経済に資するかのように解釈し、近代圏から「新中世圏」への移行を助ける道具になるというが、果たしてそうか?形式、表面上は自由と結びつけられ肯定的に解釈されがちだが、近代圏において国家権力を強化する手段として監視、管理の力を強める可能性があるし、それは「新中世圏」の米国愛国法にも見られ必ずしも実質を伴わない。 ナショナリズムに関しても「新中世圏」では不必要だと主張するが、疑問だ。上記の米国愛国法など、ある種のナショナリズムとITを結びつける国家権力の強化は筆者の主張の反論になる。個人的には形式的自由化への流れが、ますます国家主権やナショナリズムといった国家を全面に押し出すことになると思う。新自由主義的な経済政策を支持する多国籍企業などが政治家を通して過度に政治力を持つと、所得再配分や雇用の確保など格差問題への対処がいっそう難しくなる。そのとき国家が社会分裂から目をそらすために、安易にナショナリズムに訴える可能性がある—中国のように。さらには、国家というナショナルな枠組みなしには、狭窄的で独善的な民族、血縁的な排外主義の芽生えの可能性がある。ようは、いかにナショナリズムをコントロールするかであり、健全なナショナリズムは決して自由や平等と矛盾しない。
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2000年前、都市国家のアテネから見たローマ帝国が、現在の小国に分断されているヨーロッパから見た大国のアメリカと対比が出来るなど、過去から将来起こるであろうことを予測してみせる。
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冷戦後の世界を、新中世圏、近代圏、混沌圏に分類し、世界システムを分析する。先進国に住む国民の帰属意識が多様化し、さながらヨーロッパ中世のように、様々な行為主体が複雑に関係を結びあっているという指摘は面白いし、そうした、新中世圏に属する国家同士は戦争をしないという指摘も妥当であるよ...
冷戦後の世界を、新中世圏、近代圏、混沌圏に分類し、世界システムを分析する。先進国に住む国民の帰属意識が多様化し、さながらヨーロッパ中世のように、様々な行為主体が複雑に関係を結びあっているという指摘は面白いし、そうした、新中世圏に属する国家同士は戦争をしないという指摘も妥当であるように思える。東アジアへの分析では、もう少し中国の脅威をクローズアップしても良いのではと思ったことと、全般的にやや規範的な価値に重きをおいている印象を受けた。
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ⅰ.相互依存とは何か 『新しい中世』(以下、田中)において、冷戦後の長期の歴史過程の変化は『世界システム内部の「相互依存」の進展(P.133)』であると述べられている。ここで使われている相互依存とは、システムを構成する要素が他の要素と関係しあっている中立的意味だけを持つ。世界シ...
ⅰ.相互依存とは何か 『新しい中世』(以下、田中)において、冷戦後の長期の歴史過程の変化は『世界システム内部の「相互依存」の進展(P.133)』であると述べられている。ここで使われている相互依存とは、システムを構成する要素が他の要素と関係しあっている中立的意味だけを持つ。世界システムは相互依存を内包して今日まで到ってきたが、今後は世界システム内の①国家間の関係、②国家と非国家主体・ネットワークの関係という相互依存において重要な変化が生じるとし、相互依存に関する補助的な概念として敏感性(変化率)と脆弱性(主体を指定した上での不変性の維持率)のという二つの概念を提示している。 国家間の関係においては、軍事的相互依存と経済的相互依存の二つについて考える。どちらも技術の発展により相互依存が進展しており、軍事的相互依存の進展によって国境がより可変的なものへと変化した。また、経済的相互依存においては相互依存の敏感性は増大したが、脆弱性の軽減はあまり生じなかった。また、経済的相互依存によって国家間の関係が複雑化し、軍事力の利用と不公平貿易が制限されるようになった。 国家と非国家主体・ネットワークの関係において、非国家主体・ネットワークは企業や個人、そして宗教組織や民間武装勢力を指す。ここにおいても情報、通信技術といった技術の発展により個人や企業の能力が向上し、複数国での行動を可能にした。そのため国民の所属が各個人の意識によって決まるという前提のもとにおいて、個人がどの立場にあるかが変化してきている。大きな流れとしては、地域統合体とローカル地域への帰属意識が高まっていると言える。 また、相互依存においては共同利益を最適化せず紛争を頻発させる傾向があるが、経済的・軍事的脆弱関係によって紛争が戦争に至るのを防ぐ傾向がある。そのため、共同利益の最適化と紛争の撲滅のため、国際的レジームと呼ばれる世界システムにおける制度化の動きが生じている。 ⅱ.三つの圏域(スフィア)という文明史観 田中は世界システムを三つの圏域に分類する。第一圏域(新中世圏)、第二圏域(近代圏)、第三圏域(混沌圏)だ。 ⅲ.『新しい中世』とは 主体の多様性、イデオロギーの拡散、経済的相互依存の強まった生態系を指す。
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初版は1996年刊。 主体が多様化する一方でイデオロギーは一本化、それが国家なき・正統信仰のみの中世と重なる。国境の相対化も、ひとつのヨーロッパしかなかった中世に相似。 ポイントは世界を3つの圏域に分け、アジア・太平洋はなお「近代」世界システムの下にあるとした点だろう。 日...
初版は1996年刊。 主体が多様化する一方でイデオロギーは一本化、それが国家なき・正統信仰のみの中世と重なる。国境の相対化も、ひとつのヨーロッパしかなかった中世に相似。 ポイントは世界を3つの圏域に分け、アジア・太平洋はなお「近代」世界システムの下にあるとした点だろう。 日米安保を巨視的に考える材料にもなる。
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