巨流アマゾンを遡れ の商品レビュー
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高野さんのアマゾン旅行記。この人の本は本当に外れがない。 今回の旅は潜入レポではなく旅行記だけれども、相変わらず面白い。何より面白いのがこれがガイドブックとして書かれたことである。それはない。あり得ない。 やはり高野さんは面白すぎる。 高野さんが旅行してから大分経つのでアマゾンも大分変ってきたのだろうなぁと思う。文明に対抗して人を襲っていたインディオの人達は今ではどうなったんだろうか。先住民族会議を見て、そこに敗北を感じる高野さんはやはりすごいと思った。
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アマゾン河の河口から上流まで旅する話。 一番の衝撃を受けたのは「同行者」の宮沢さんに降りかかった災難である。高野さんはカメラマンの鈴木さんと二人で河口からペルー方面を目指していたのだが、宮沢さんは逆にペルーのリマから入り、上流から下ってくる、というルートを辿った。アマゾンのある町...
アマゾン河の河口から上流まで旅する話。 一番の衝撃を受けたのは「同行者」の宮沢さんに降りかかった災難である。高野さんはカメラマンの鈴木さんと二人で河口からペルー方面を目指していたのだが、宮沢さんは逆にペルーのリマから入り、上流から下ってくる、というルートを辿った。アマゾンのある町にこのくらいの日にちで会おうという、恐ろしくアバウトな予定を立てていた(宮沢さんもそれでokするのだから、高野さんに関わる人は変わってる人が多いなあ)。 結論から言えば、宮沢さんは約束の地へ来ていた。変わり果てた姿をして、なんと行商人をやっていたのである。事の顛末を簡単に述べるとこうなる(詳しくは第七章 日本人の行商人に会った話を参照願いたい)。 ①予定通りペルーのリマに到着したのはいいが、次の目的地に向かう際、強盗に遭い所持金の3分の2を持って行かれる(アマゾン河を旅するってことできっと期待に胸を躍らせていたにちがいないであろう宮沢さんの気持ちを考えるとなんと不憫なことか!) ②テロリストと間違われ逮捕。2日間監獄に収容される。 ③同じ場所で降りたペルー人の行商人のオヤジさんに客寄せとして利用される。 結果的に9日間行商人の庇護(満足なものではなかったが)を受けたことになるのだが、行商人として働いているところを高野さんたちが奇跡的に発見するのである。 こんなエピソードを聞かされたら、いつもは「高野さんスゲー!」と思っている僕も今回に限ってはMVPは宮沢さんにあげざるを得ないだろう。本当によく生きてたなあと、読んでいるこっちまでドキドキしてしまう。 高野さんはと言うと。最後に、バスで標高が高いところを走るのだが、高山病にかかってしまい、症状の程度によって標高がわかる域に達してしまう。相変わらず、すごい。 本書では、このレビューで紹介しきれないほど、いや紹介するのが惜しいほど、たくさんのエキサイティングな話が語られている。アマゾンと聞くと少し尻込みしてしまうが、高野さんの文章を読むと不思議と「行ってみたいなあ」と思ってしまう。というか行った気になっているから不思議だ。
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アマゾン珍道中!すごい大変な旅行だったろうに、そう感じさせないんだよ。巻末の解説でこんなに突っ込まれる本はじめてで笑ってしまいました。あー、おもしろかった。
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古本で購入。 最近勝手に注目している辺境作家・高野秀行の本。 と言いながらこれが1冊目だったりする。 冒頭に「誰でもできる普通の旅行」と書いてあるが、まぁ無理だろう、コレ。 普通の旅行者はコカインの元売人と仲良くなったり部族の連合集会に出席したりしないから。 でもそん...
古本で購入。 最近勝手に注目している辺境作家・高野秀行の本。 と言いながらこれが1冊目だったりする。 冒頭に「誰でもできる普通の旅行」と書いてあるが、まぁ無理だろう、コレ。 普通の旅行者はコカインの元売人と仲良くなったり部族の連合集会に出席したりしないから。 でもそんなことはまったく気にならない。 著者がいい意味で「ただの旅行者」なので、その目線が生々しいアマゾンの姿を捉えるし、すごいことが起きてるときはすごいけど退屈なときは退屈なんだ、という開き直りみたいな部分も楽しい。 アマゾンを遡る高野と下る宮沢の再会のくだりが、すごいんだかバカなんだかわからないけどおもしろい。 本当かよ、と思わずにいられない。 あぁこういうやつっているんだなぁと、自分含め周りにいない人間が見られるのがいいね。 旅好き特有(と偏見で思っている)の語り癖もなく、おもしろい。 ただ、全体的にぐいぐい引っ張るパワーがなかったので、星3つ。まぁ、そのユルさも持ち味なんだろうけど。 他の作品も読んでみたいです。
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楽しい旅行記なんですが、ガイドブックの依頼を受けてできたものがこの本らしいです。出版社でモメて、なんとか本ができるけど売れなくて絶版になって。。。という文庫化までの経緯が非常に興味深い本。 おもしろいことがあれば首をつっこみ、普通じゃ入れない場所に入りたがるのでアマゾンの生の熱気...
楽しい旅行記なんですが、ガイドブックの依頼を受けてできたものがこの本らしいです。出版社でモメて、なんとか本ができるけど売れなくて絶版になって。。。という文庫化までの経緯が非常に興味深い本。 おもしろいことがあれば首をつっこみ、普通じゃ入れない場所に入りたがるのでアマゾンの生の熱気を感じることができる
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未読だった高野作品。文庫版あとがきを読んで驚く。これをガイドブックとして出すつもりだったとは!「普通の旅行者が普通に行える旅」だなんて序章で言ってるけど、そりゃ高野さんにとってはどうってことないかもしれないが、行きませんって、普通の人は。ボツになりかけた原稿を、新シリーズを作って...
未読だった高野作品。文庫版あとがきを読んで驚く。これをガイドブックとして出すつもりだったとは!「普通の旅行者が普通に行える旅」だなんて序章で言ってるけど、そりゃ高野さんにとってはどうってことないかもしれないが、行きませんって、普通の人は。ボツになりかけた原稿を、新シリーズを作ってまで本にした編集者は立派だ。(その「シリーズ」がこれ一冊で終わったというのが悲しくもおかしい) 大体高野さんの旅への姿勢は「ガイドブック」的なものとはまったく違う。アマゾンをさかのぼる船旅の準備をするところで、旅の本やガイドブックのあれを持って行け、こういう格好をしろというのは「余計なお世話である」と書いている。 「私とあなたはちがう人間であり、必要としているものもちがうのである」 いやまったくね。 本の成り立ちからして、旅のトンデモ度はそれほど高くないけれど、アマゾンを高野さんとは逆に下ってきて合流する予定だった宮沢さんという人が、なんともまあエライ目に遭うくだりにはのけぞる。やっぱり普通じゃないよね。
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高野秀行、この名前を見ると興奮するようになってしまった。そんな魔力を持つ高野氏の旅行記、アマゾン編。何よりもこの人が凄いのは、グイグイ引き込む文章力。常人じゃ味わえない経験をしているのは勿論だが、それを個々までの文章に出来るのは高野氏の才能。羨ましい限りである。 一番笑ったのは、...
高野秀行、この名前を見ると興奮するようになってしまった。そんな魔力を持つ高野氏の旅行記、アマゾン編。何よりもこの人が凄いのは、グイグイ引き込む文章力。常人じゃ味わえない経験をしているのは勿論だが、それを個々までの文章に出来るのは高野氏の才能。羨ましい限りである。 一番笑ったのは、現地のインディオの動物物真似。面白かった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
20年ほど前に『地球の歩き方・紀行ガイド アマゾンの船旅』として刊行されたものの文庫版。南米一の大道芸人(自称)、元コカインの運び屋、呪術師、先住民族会議、密輸の犯人と間違えられたり、日本人行商人の正体は・・・行く先々で個性的な人々や出来事に出会うのが高野流!?
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高野氏若かりし頃のアマゾン探検記。もともと地球の歩き方から別冊として出て、全く売れずに絶版となっていたらしい。 どちらかというと淡々とした旅に見えるが、もともとガイド本に近い性格なのでしょうがないか。
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高野氏の作品2冊目読了。すっかりハマってしまった。 アマゾン川の河口、ブラジルのベレンから、マナウス、テフェ、タパチンガ、コロンビアのレティシアを抜け、ペルーのイキトス、クスコ、源流カイヨマを目指す旅。 アマゾン川は全長6,770キロで、アフリカ・ナイル川の6,650キロと、そ...
高野氏の作品2冊目読了。すっかりハマってしまった。 アマゾン川の河口、ブラジルのベレンから、マナウス、テフェ、タパチンガ、コロンビアのレティシアを抜け、ペルーのイキトス、クスコ、源流カイヨマを目指す旅。 アマゾン川は全長6,770キロで、アフリカ・ナイル川の6,650キロと、それほど差はないものの、アマゾン川の流域面積がなんと南米大陸の約4割というから、まさしく世界一の巨流といえる(ナイル川の流域面積はアマゾン川の約4分の1)。 旅のガイドブックとしては不十分であり、また川口浩探検隊のような過剰な演出もまったくない。ここで綴られているのは、どれもハプニング的で直情的な要素ばかり。執拗なまでのアロワナ探し、コカを求めて現地人と乱闘、魔術師との交流など、どれも面白すぎる。 特に、ペルー側から向かった宮沢氏が、なぜが行商人となって発見されるエピソードが最高。 アマゾンの恩恵を(その反対も含めて)受けて暮らす人たちの喜怒哀楽がストレートに響いた。
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