ななつのこ の商品レビュー
女子短大生駒子が出会った童話集「ななつのこ」。作者へのファンレターとその返信で綴られる、日常の小さな謎と推理を描く連作短編集。 淡々とした日常にある謎を、やさしく、時には大胆に紐解いていく美しい物語です。 再々読。自分の読書歴の中でも、とても重要な作品であり、これからも読み返すと...
女子短大生駒子が出会った童話集「ななつのこ」。作者へのファンレターとその返信で綴られる、日常の小さな謎と推理を描く連作短編集。 淡々とした日常にある謎を、やさしく、時には大胆に紐解いていく美しい物語です。 再々読。自分の読書歴の中でも、とても重要な作品であり、これからも読み返すと思います。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ふとしたことで出会った本が、ずっと忘れられない一冊になることがある。 駒子は、あんまり好きじゃないけど、主人公にはぴったりな、良くも悪くもフツーの大学生。 児童文学と青少年文学の間みたいな 『ななつのこ』と日常で遭遇する謎は、羨ましいほど駒子の世界を広げていく。 作家さんと文通ができるなんて、なんてラッキーなことだろう。謎に無理はないけど、物語にはちょっと唐突さがあるなって思っていたら、青年が答えを加えていたことがわかって、それは姉への想いなのかなと思う。ならよし、と思ってしまった。
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ほのぼのミステリ。殺される人も失踪する人も出てきません。身近にありそうな(なさそうな)謎を読者である主人公と主人公が惹かれた物語の作者が解き明かします。説明難しいけど読んで損はありません。読後感はほっこりです。
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とても楽しく読めた。謎解きものだが、読了感が爽やかで。当時、小学生の愚息が、進学塾で当該書を題材とした入試問題を解き、帰宅後に私の書棚で本書を発見し驚いていたなぁ。伴侶が貫井徳郎とは後で知った。
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著者の作家デビュー作。 とても良くできた日常ミステリであるとともに純文学的な色彩が強烈な物語。 今読んでも会話のセンスがいいなーと思う。 個人的に好きなプラネタリウムや星座の話が多めで嬉しい。 ペルセウス座のアルゴルという星の明るさ(等級)が変化する仕組みを解明したグッドリッ...
著者の作家デビュー作。 とても良くできた日常ミステリであるとともに純文学的な色彩が強烈な物語。 今読んでも会話のセンスがいいなーと思う。 個人的に好きなプラネタリウムや星座の話が多めで嬉しい。 ペルセウス座のアルゴルという星の明るさ(等級)が変化する仕組みを解明したグッドリックという人物が21歳で亡くなった早逝の天才だったが、彼は聴覚と発声に障害があったというエピソードがとても印象的。 この著者の本を色々な経緯で20年以上に渡ってチビチビと読んでいる。 きっかけがみんなバラバラで、子育てだったり白血病だったりミステリだったり青春ものだったり、それぞれ全く違う印象の本。 著者の幅広さを感じる。 米澤穂信氏のおすすめに従ってやっとデビュー作にたどり着いた。
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以前読んでたもの思い出しました。 日常のミステリーにほっこりさせられます。 ブクログの本棚見てると本当に本屋さんをみてるみたいになります。感想評価、面白いです。
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人が死なないミステリーもあっていいじゃないか。 この作品のような小説に出会う度、思う。 しかもこの小説は二段構え。 この小説の中にはさらに『ななつのこ』という別ストーリーがパラレルに展開していて、これがまた懐かしさを誘う。 以下、駒子の日常の方の「ななつのこ」各短編の概要で、特に僕が気に入っているのは⑥。そして、③、④も好み。②は衝動的に目の前の女の子の三つ編みを引っ張ってしまった40年以上前の苦い記憶を思い出させてくれるなぁ。ああ、胸が痛い。 小説として、全体の構成が素晴らしい。 ①スイカジュースの涙 ベビーカーとすれ違ったあとに気づいた、道路に点々と続く乾き切らない血痕。 ②モヤイの鼠 個展会場で絵画『悠久の時間』の出っ張りに触れたとたん、ポロリ。・・ああ、痛い。 ③一枚の写真 6年の時のクラスメイト一美が8年近く経って、私のアルバムから取った一枚の写真を返してきた。 ④バス・ストップで ささやかなロマンスの香りを孕みつつ、おばあさんとお孫さんの心温まるレジスタンス。 ⑤一万二千年後のヴェガ デパート屋上の巨大なブロントサウルス、一夜明けたら30km離れた保育園にいて・・・。 ⑥白いタンポポ 低学年のサマーキャンプで真雪の担当となった駒子。人見知りの真雪が不愉快でなかったのは。 ⑦ななつのこ 再会した真雪がプラネタリウムが終わると消えていて・・・。 ○追伸 駒子のファンレターの相手、〈佐伯綾乃〉の秘密が分かってからの後日談。 またも、フォロワーさんの本棚・感想にあった一冊にこの一週間、堪能させられた感じ。 次は何とか、自力で一冊、面白い作品を嗅ぎ当てたいもの。 兎にも角にも、ありがとうございました。
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何度も読み返している大好きな本です!入れ子の構成も日常の謎に関する推理も素晴らしく、女子大生の日常、彼女らの感性に共感しながら(懐かしく)読みました。手に取ったのは、鮎川哲也賞を獲った新聞記事が印象に残っていたのがきっかけでしたが、才能あふれる著者のデビュー作として記念碑的作品と...
何度も読み返している大好きな本です!入れ子の構成も日常の謎に関する推理も素晴らしく、女子大生の日常、彼女らの感性に共感しながら(懐かしく)読みました。手に取ったのは、鮎川哲也賞を獲った新聞記事が印象に残っていたのがきっかけでしたが、才能あふれる著者のデビュー作として記念碑的作品と思います。
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デビュー作だったのか。加納さんはとても好きで、あれば(古本オンリーだけど)買います。人をいやな気持ちにさせない素敵な作品ばかり。 駒子さんがいい。「いつだって、どこでだって、謎はすぐ近くにあったのです」という言葉がいい。 三部作、一気に読みます。
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「日常の謎」の代名詞のような本。 朝起きて、登校して、講義を受けて、下校して、夜を過ごし、眠る。 そういった日常生活の中で、「あれっ?」と思う一面を純粋に不思議に感じること、それが「日常の謎」だと思います。 その断片をファンレターという形で繋げて、フィナーレの謎に落とし込む。 そ...
「日常の謎」の代名詞のような本。 朝起きて、登校して、講義を受けて、下校して、夜を過ごし、眠る。 そういった日常生活の中で、「あれっ?」と思う一面を純粋に不思議に感じること、それが「日常の謎」だと思います。 その断片をファンレターという形で繋げて、フィナーレの謎に落とし込む。 その繋げ方が非常に秀逸です。 この本を読むと、自身の日常生活に対する自分の感情を豊かにしてみようと思うことでしょう。 「いつだって、どこだって、謎はすぐ近くにあったのです。」
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