白夜行 の商品レビュー
裏テーマは境界例と言っていいでしょう。以前読んだ「心理学化する社会」の中でこの作品を、誰が被害者かわからないサイコミステリーと表現していた。人間ってのは見た目異常に複雑に出来ている。事実は小説より奇なり。
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美しい雪穂にはいつも分身のような雪穂を守る影があった。社会で成功をおさめるまでに様々な障害をいつもその影が守っていたのだ。それは宿命の絆で繋がっていた彼の姿。その彼との運命の出来事とは!?14年もの長い長い事件を追った一人の刑事が二人の運命の糸が絡まっていたのをほどいていく。
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一つの殺人事件が発端で始まる話しなのだけれど、推理小説ではない。犯人は、始めからほぼわかっている。あまりはっきりわからなかった主人公の性格・素性(誰が主人公なのかすら、最初はわからない)がじわじわと明らかになっていく、この構成の上手さ、緻密さには圧倒された。 主人公についての物...
一つの殺人事件が発端で始まる話しなのだけれど、推理小説ではない。犯人は、始めからほぼわかっている。あまりはっきりわからなかった主人公の性格・素性(誰が主人公なのかすら、最初はわからない)がじわじわと明らかになっていく、この構成の上手さ、緻密さには圧倒された。 主人公についての物語は幼年時代から20年間にも及び、その間、主人公の内面描写の記述は一言も出てこない。すべてが、第三者の目を通した主人公の表現で、言わば読者自身も主人公の周りにいる人間という立場で主人公という人間を理解してゆくような感じだ。終盤にさしかかる頃には、よく出来たパズルを見たような感動があった。
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