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心臓を貫かれて(下) の商品レビュー

4.2

40件のお客様レビュー

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村上春樹の訳文への誠…

村上春樹の訳文への誠実なこだわりが、この作品のヘビーさを正確に伝えているようでした。すごいパワーを感じた。

文庫OFF

2025/08/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自身への暴力、その被害。 長期間に渡る刑務所での過酷な経験。 それらのことを受け入れる術を身につけ。 破壊されてきた人間が、破壊する側の人間になる。 そうなると、もう元には戻れない。 その繰り返しから抜け出せない。 犯した罪を償うとは何なのか。死は償いなのか。 決まった日の決まった時間、決められた場所で人が死ぬ。 被害者やその家族にとっての救済であるかも知れない。 同じ環境の中で育ったフランクは、なぜゲイリーやゲイレンと違ったのか。 父親の血を受け継がなかったことは違いの一つではある。 ただその差が何だったのかと言えば、両親の無意識的な行動の違いであり、霊的な呪いのような言葉で言い表すしかないような気がする。 ただフランクにはフランクの恐怖があり、その恐怖への対処方法は恐らく死に至った二人とは大きく違ったんだと思う。思いやりを持って家族を見続けてきたこと、その深い洞察にはっとさせられた。

Posted byブクログ

2025/07/06
  • ネタバレ

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マイケルさん、よくぞここまで自身の家族の歴史に向き合って書いてくれたと思う。戦場となった地域ではPTSDを負った親に育てられるので、何世代も影響してしまうという話を聞いたことがあるが、まさにそのような話だった。 ゲイレンも長生きしていたら、人を傷つけていたかもしれない。マイケルは末っ子ゆえに一番"被害"が少なく、責任感も薄く逃げられたが、腹違いの兄が父であることが判明したフランクは、虐待を受けたものの母の側から離れず、成功したマイケルを邪魔してはいけないと1人身を隠すように生きていたと分かった後半に心を打たれた。マイケルがこの本をフランクに捧げる気持ちがよく分かった。だからこそより一層この本を書かなくてはいけないと思ったのだろう。 そして村上春樹のあとがきを読んで、彼の小説は読んだことがないのに翻訳本を先に読むのは不思議な気持ちだった。気になった本のみ自ら訳す彼が、2年かけ本作を翻訳してくれたことに感謝したい。

Posted byブクログ

2025/04/01

2025年4月1日、東銀座の会場調査の帰りの電車内。高田馬場?から小平まで同じ優先席に座っていた向かいのおばさまが図書館で借りた本をカバーなし・帯なしで読んでいたのがこの本の【上巻】。 視力の限界でタイトル読み取れなかったが「タイトルが〜れてで終わる/海外作家/タイトルが赤文字...

2025年4月1日、東銀座の会場調査の帰りの電車内。高田馬場?から小平まで同じ優先席に座っていた向かいのおばさまが図書館で借りた本をカバーなし・帯なしで読んでいたのがこの本の【上巻】。 視力の限界でタイトル読み取れなかったが「タイトルが〜れてで終わる/海外作家/タイトルが赤文字で、その下に人物が2~3人うつった白黒写真」の条件でYahoo知恵袋で。ほんの数分で当てた方がいて判明。すごすぎる。

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2023/06/16

67冊目『心臓を貫かれて 下』(マイケル・ギルモア 著、村上春樹 訳、1999年10月、文藝春秋) 死刑囚ゲイリー・ギルモアの実弟が描き出す呪われた一族の年代記、ここに完結。ページ数・内容ともに凄まじいボリュームの力作である。 「家族」の素晴らしさを説く物語が世間に溢れかえってい...

67冊目『心臓を貫かれて 下』(マイケル・ギルモア 著、村上春樹 訳、1999年10月、文藝春秋) 死刑囚ゲイリー・ギルモアの実弟が描き出す呪われた一族の年代記、ここに完結。ページ数・内容ともに凄まじいボリュームの力作である。 「家族」の素晴らしさを説く物語が世間に溢れかえっているが、それが孕んでいる恐怖の側面を決して無視してはいけないことを本書は教えてくれる。 「いつもそこには父親なるものがいる(There will always be a father)」

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2023/04/16

人から勧められて。 オカルト系ということで手にとったが、これは仏教で言うまさに業の話だと思った。 運命でもカダルでもなく業。 役者自身が言う作品の所々の停滞やただただ暴力を陳列していくかのような記述が気になるところはあるが、先天性と後天性や、死刑制度と刑務所のシステムの本来の意...

人から勧められて。 オカルト系ということで手にとったが、これは仏教で言うまさに業の話だと思った。 運命でもカダルでもなく業。 役者自身が言う作品の所々の停滞やただただ暴力を陳列していくかのような記述が気になるところはあるが、先天性と後天性や、死刑制度と刑務所のシステムの本来の意義など様々な論点が目を覆わんばかりの精神的肉体的暴力描写の中に開陳されていく。 当事者である作者が俯瞰して書けたことがむしろ怖いと感じた。

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2023/11/18
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上下巻の感想。 1999年の刊行当時にこの本を手に取ったのは、家族とは何なのか知りたかったから、だったと思う。 この本の「家族」はあまりに過酷で、どうしてこんなになっても家族を維持しようとしているのかぜんぜん分からないし、こんな風になりたいなんてちっとも思わない。 けれども、「自前の家族」を手に入れたいと思うようになったのは、この本を読んでからだと思う。 「自前の家族」を手に入れてからも、家族についてかんがえるときは、いつもこの本のことを思い出す。なかでも、フランクジュニアが父親に夢を打ち砕かれたエピソードがとても印象に残っている。 こんな風にはならない、なってはいけない、と思うけれど、でも、マイケルがあの中に入りたいと思った気持ちも、なんとなく分かる、気がする。 家族というものは、一筋縄ではいかない。 「お前を愛している」 みんなお互いにそう言うけれど、本心のようには思われない。そう言うことによって、愛していると思いたいだけのように見える。 そんな言葉よりも、 「もし誰かがおまえのことをぶちのめそうとしたら、もしそいつがおまえを押さえつけて蹴飛ばそうとしても、おまえはじっと我慢してなくちゃならないんだ。」「約束してくれ。俺の言ったことをちゃんときいて、誰かに殴られたら、逆らわずに、黙って殴られているって、約束してくれ」 ゲイリーがマイケルにそう伝えるシーンの方がぐっとくるし、後になってマイケルがその通りにしたことの方がずっと「愛情」のように思える。

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2021/06/16

殺人事件の加害者の生い立ちを題材としたノンフィクションである。兄は殺人の罪で死刑に処せられた。四人兄弟の末弟がその端緒となった恐ろしい家族の秘密を語り出す。壊される希望、家族の悪霊…愛を求めても暴力しか与えられない子ども。最悪の幼児体験が生み出す狂気世界はホラーのように怖い。果た...

殺人事件の加害者の生い立ちを題材としたノンフィクションである。兄は殺人の罪で死刑に処せられた。四人兄弟の末弟がその端緒となった恐ろしい家族の秘密を語り出す。壊される希望、家族の悪霊…愛を求めても暴力しか与えられない子ども。最悪の幼児体験が生み出す狂気世界はホラーのように怖い。果たして魂の救済はあるのか。全米批評家協会賞受賞作品であるうえに村上春樹の翻訳が上手い。

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2021/05/04

ある家族の物語。人の弱さとトラウマ。 末弟のマイケル(著者)は上の兄弟から年の離れた弟で、いつも家族のメインストーリーからは外れて育ってきたという感覚があり、自分の家族の物語をとても客観的に語る。村上訳だからということもあるが、なかなか読ませるノンフィクション小説。 ああああア...

ある家族の物語。人の弱さとトラウマ。 末弟のマイケル(著者)は上の兄弟から年の離れた弟で、いつも家族のメインストーリーからは外れて育ってきたという感覚があり、自分の家族の物語をとても客観的に語る。村上訳だからということもあるが、なかなか読ませるノンフィクション小説。 ああああアア……また、なぜこんなことが…と何度も絶望的な気持ちになる。

Posted byブクログ

2020/12/12

父はいつも疑念を抱いていた。しかし皮肉なことに、彼はゲイリーがロバートの子供ではないかと疑っていた。父が後年になってとくにゲイリーを嫌いだし、烈しい殴打を加えるようになったのはそのせいもあるかもしれない。あるいはまた、ベッシーが小さなフランキーをしょっちゅうぶっていたのは、その秘...

父はいつも疑念を抱いていた。しかし皮肉なことに、彼はゲイリーがロバートの子供ではないかと疑っていた。父が後年になってとくにゲイリーを嫌いだし、烈しい殴打を加えるようになったのはそのせいもあるかもしれない。あるいはまた、ベッシーが小さなフランキーをしょっちゅうぶっていたのは、その秘密の故なのかもしれない。おそらくフランクの姿を目にするたびに、母は情事のことを思い出したのだろう。おそらく彼女は罪悪感や恥を感じ、それで子供を責めたのだろう。いずれにせよ僕ら兄弟の中で、母が常日頃手を出していたのはフランクジュニアだけだった。母と父とのあいだにあったそんな秘密のせいで、フランクジュニアとゲイリーは多大な犠牲を支払わせることになった。

Posted byブクログ