群青の夜の羽毛布 の商品レビュー
ミステリというよりもミステリアスな雰囲気が終始漂っている作品だった。 そのおかげで一気読み。 この不思議な感じの正体が知りたくて。 最初どこにでもある母子家庭なのかなと思っていた。 母親はきつそうで、姉は精神的に病んでるのかな、妹は妹らしい子だなと何の疑いもなく読み進めていたんだ...
ミステリというよりもミステリアスな雰囲気が終始漂っている作品だった。 そのおかげで一気読み。 この不思議な感じの正体が知りたくて。 最初どこにでもある母子家庭なのかなと思っていた。 母親はきつそうで、姉は精神的に病んでるのかな、妹は妹らしい子だなと何の疑いもなく読み進めていたんだけど、どこかで何かが引っかかる。小骨のようなもの。あるのかないかもわからないレベルの違和感。 それがどこからなのかは判然としない。たぶんずっと。最初からだと思う。 その小骨が知らぬうちに大きくなっていく。 山本文緒さんの作品を読むのは初めてなのだが、どの作品もこんな感じなのだろうか。 落差がない。じわじわ。本当にじわじわ不思議さが増していく。最後までそれは変わらず、違和感の正体がわかっても収縮もしない。なんだこれ、と思った。 共感するところもあまりない。好きになれる人物もいない。 ただ、なんか惹かれる。けれど、その正体もわからないという謎だらけの作品。 読み終えた時に心に残ったのは虚無感と満足感。相反するのに共存しちゃっている。何度も言うけれど、本当に不思議。
Posted by
家族が病んでいる理由と鉄男がどういう選択・決断をするのか気になり一気読み。母親が恐ろしい…けれど、ここまでではないにしてもこのように子供を“去勢”している母親或いは父親って世の中に沢山いると思う。 真っ先に家族とサヨナラしていきそうなみつるがそうしないことが少し不思議だったけれど...
家族が病んでいる理由と鉄男がどういう選択・決断をするのか気になり一気読み。母親が恐ろしい…けれど、ここまでではないにしてもこのように子供を“去勢”している母親或いは父親って世の中に沢山いると思う。 真っ先に家族とサヨナラしていきそうなみつるがそうしないことが少し不思議だったけれど、あんな家族でも大事なんだろうなと…そして母親が病院のベッドで娘と夫の悪口を言うシーンで、この人もこの人なりに家族を想っているんだと感じた。
Posted by
歪んでても歪んでなくても家族は家族なんやろうなぁ。 ウチは、こんな風じゃなくて良かったと安心しながらもアタシが、こんな母親に絶対にならへんかって不安も同時に出てきて、、、。 「気をつけよう。」なんて思う事で、身動きが取れんくなるんも怖い。 でも、気を付けよう。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
図書館にて借りました。 「家族って何だろ?」がテーマだと思う。 少し私の実家と似ていた。 母が絶対。 「~しなさい」「〇〇はこうしたら間違いないの!」 良く聞いたな~。 今では笑い話(笑)
Posted by
一番最初に思った事、うちの母はこんな人じゃなくて良かった! それくらい、さとるとみつるの母親は厳しいと思った。 この火事を境にして、この家族がこれからどのように動いていくのか気になるところ。私としては今まで虐げられて苦労してきたのだから、鉄男と結婚して幸せになって欲しいと思う。
Posted by
急な坂道を登りきった小高い丘の頂上に、女三人が住む一軒家が立っている。厳しい母親と、母を恐れる余り神経症になってしまった長女のさとる、そして二人に反発しながらも家に居続ける次女のみつる。 そんな家族に一人の男が巻き込まれていく。さとるの恋人、鉄男である。今まで付き合ってきた女の子...
急な坂道を登りきった小高い丘の頂上に、女三人が住む一軒家が立っている。厳しい母親と、母を恐れる余り神経症になってしまった長女のさとる、そして二人に反発しながらも家に居続ける次女のみつる。 そんな家族に一人の男が巻き込まれていく。さとるの恋人、鉄男である。今まで付き合ってきた女の子たちとタイプの違うさとるに惹かれていく鉄男だが、この家族の異常さを目の当たりにし、何か恐ろしい秘密が隠されていると感じ始める。 この異様な家族の中に交錯する愛情はなかなか複雑で濃い。男と女でドロドロする小説はあっても、女同士のドロドロはなかなかないのでは?
Posted by
「家族」という箱は外からは"ちゃんと"見えないものだ。 きれいにラッピングしてあっても、中のものがきれいとは限らない。 『イニシエーション・ラブ』(乾くるみ 著)のレビューでも書いたが これもまた「おんなのひとってこわーい」という感想が(特に女性から)出そう...
「家族」という箱は外からは"ちゃんと"見えないものだ。 きれいにラッピングしてあっても、中のものがきれいとは限らない。 『イニシエーション・ラブ』(乾くるみ 著)のレビューでも書いたが これもまた「おんなのひとってこわーい」という感想が(特に女性から)出そうだなあ。 同じ事を書きますが…女なんてこんなもんでしょ。 この作品で怖いのは女ではなく「家族」というひとつの繋がりの形であると思う。 鉄男という第三者が関わることで、箱の中身がどろりどろりと出てきて 読者もろとも重い渦に飲まれていく。 「家」からそれぞれに歩き出したかのようなラストだけれど晴れやかさはなく、 むしろ決して「家族」からは逃れられないような予感がして救われない。 主人公のさとるが「家」を自分の手で解体したその力は、 悲しいかな母親ゆずりの血を以って出せたようなものだと思えるから。 終始重い雰囲気のままなので疲れるけれどそれでも読みきってしまうのは 誰でも「家族」という箱の中にいるからなのだと思う。
Posted by
圧倒的な権力で家族を押しつぶす母親 心を病む長女。必死にもがく次女 長女の年下の恋人の素直さが救いかなぁ でもあんな家族を背負うのは もし私が男だったら、やっぱり逃げてると思う かなりヘビーな1冊
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
だいぶ前の作品だから携帯などなく公衆電話からの電話だったり、ディスコに集まる若者だったり、なんとなく時代を感じさせます。でも、内容は今の時代に読んでも面白かった。 山本文緒さんの描く女性像はいつもどことなく不安定で、誰もが持っているかもしれない心の奥底の淀んだ部分を突いてくる感じ。それが、恐怖でもあり、共感するところでもあり、ついつい惹きこまれてしまいます。 この話は母親が強烈すぎて、父親が弱すぎて、現実離れしている感がありながら、さとるの精神的弱さや恋愛に依存してしまうあたりにリアルを感じました。 家族だからこそ甘えられる部分があったり、行き過ぎてしまう部分ってあるよな~と考えさせられます。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
家族っていろんな形があるだろうけど、一つくらいは他人には理解できないような部分があるよね、と。 さとるに苛立ちながら読んだのは、彼女は私に似ているかもしれないという思いがどこかにあるからかもなあ、と。あそこまで圧迫されてるわけではないし、不安定でもないつもりだけど。 どうして不安定な人って見てて苛つくんだろう。苦しんでいるのは分かるのに、自分が変わろうとしないから悪いんだってどうして思ってしまうんだろう。弱っているはずなのに、人の顔色をうかがう余裕があるからかな。同族嫌悪ってやつかな。それとも単に、私に思いやりがないからかな。
Posted by