人獣細工 の商品レビュー
個人的だが、ミステリーの小林泰三より、ホラーの小林泰三が好き。 そぅ、思わされた一冊。 前に読んだ『アリス殺し』より、コッチの世界観が合ってるんだろな……。 収録順に簡単な感想。 人獣細工:「人間とは?」的テーマの裏で、家庭環境、発表されない研究、その辺でオチは予想出来ました。表...
個人的だが、ミステリーの小林泰三より、ホラーの小林泰三が好き。 そぅ、思わされた一冊。 前に読んだ『アリス殺し』より、コッチの世界観が合ってるんだろな……。 収録順に簡単な感想。 人獣細工:「人間とは?」的テーマの裏で、家庭環境、発表されない研究、その辺でオチは予想出来ました。表現や世界観は大好物。 吸血狩り:インパクトのある冒頭と、ソレに呼応したラスト。少年の語り(作文)のような文体でサラっと読めてしまい、解説を読んで、そぅいう読み方もあるな、と全く気付かなかった。そして、八才の少年はどうやって十字架を作ったのだろう? 本:「夢オチ」が21世紀になり、「上位概念オチ」「ヴァーチャル世界オチ」と進化をして、ソレらにも少々、辟易してたが、コレは納得。そして、麗美子、美香のその後は……。含みのある二重のエンディング。
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絶望感漂う心削るホラー短編集です。ぞわぞわします。 「人獣細工」 バイオSF的なホラーですね。病気のため身体のパーツをある動物から次々と移植していかねばならなかった少女が、自分とは何かを問うていくうちにある秘密に近づいてしまう。どこまでが人、どこからが人と言えるのか。 「吸血狩り...
絶望感漂う心削るホラー短編集です。ぞわぞわします。 「人獣細工」 バイオSF的なホラーですね。病気のため身体のパーツをある動物から次々と移植していかねばならなかった少女が、自分とは何かを問うていくうちにある秘密に近づいてしまう。どこまでが人、どこからが人と言えるのか。 「吸血狩り」 少年が従姉妹を守るため吸血鬼を退治しようとするが……。物語自体はたいして盛り上がらないんですが、深読みできる構造は面白い。邪悪。 「本」 これもSF色の強いホラー。同級生たちに贈られた本により狂気に誘われる者たち。狂気の正体とは。
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読んでてすごいわくわくして引き込まれるけど、ラストしりすぼみしちゃう印象。小林泰三さん独特の発想は相変わらずすごいけど。笑
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「人獣細工」「吸血狩り」「本」の三作品が入った一冊。 「人獣細工」 一人の体の弱い少女が「移植」したその部位は、何と人間からではなく… 自分とは何によって形成されるのか、何を以て自分と成すのか。相変わらずの泰三節が唸る作品。 「吸血狩り」 親戚のお姉ちゃんに気がある少年の淡く...
「人獣細工」「吸血狩り」「本」の三作品が入った一冊。 「人獣細工」 一人の体の弱い少女が「移植」したその部位は、何と人間からではなく… 自分とは何によって形成されるのか、何を以て自分と成すのか。相変わらずの泰三節が唸る作品。 「吸血狩り」 親戚のお姉ちゃんに気がある少年の淡くも狂気な心情と行動を描いた作品。「すり込み」のある恋とは何と狂美なことか。心を惑わすその揺らぎは美しくとも人を狂わせる。 「本」 昔の同級生から届いた一冊の本。但し書きのもたらす結果とは。真意とは。 脳に「インストール」されたまま最後を飛ばさぬようご注意。
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さすが小林泰三ワールド! どの話も面白かった。 小林泰三さんの作品は3冊目ですが、他のものまだまだ読みたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
強烈だった。全体的にグロテスクだった。 タイトルにもある「人獣細工」はグロテスクでかつ、ラストが…つまりそういうことですよね。。 2つ目の「吸血狩り」はなんとなく、読めそうに見せかけてどちらとも描かれていないので、謎のまま。 3つ目の「本」は人が狂う過程みたいのを読めて伏線もあって楽しめた。 昔読んだ絶望の世界っていうネット小説の狂気を思い出した。 何を持って正気というのか、狂気というのか。。
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小林泰三の作品の中でマイ・ベスト。 とにかく収録作の『本』は一度読んで貰いたい。様々な要素が詰められた何とも形容しがたい話で、初めて読んだ当時高校生であった私は、読後しばし呆然としたことを覚えている。本という媒体でしか成し得ない、至高の読書体験を味わえる。 「初めて、吸血鬼を...
小林泰三の作品の中でマイ・ベスト。 とにかく収録作の『本』は一度読んで貰いたい。様々な要素が詰められた何とも形容しがたい話で、初めて読んだ当時高校生であった私は、読後しばし呆然としたことを覚えている。本という媒体でしか成し得ない、至高の読書体験を味わえる。 「初めて、吸血鬼を見たのは八歳の夏だった。」という、見事な行で始まる『吸血狩り』も、非常に良くできた作品である。正直、初めて読んだときはあまり面白いと思わなかった。しかし、それは小林泰三が仕組んだ巧妙な仕掛けを理解していなかった私の手落ちであった。仕掛けを理解した後は、読めば読むほど良くできた作品だと感心してしまう。小林泰三の作品にしては珍しく、エロティシズムが漂う作品。 表題作である『人獣細工』は、上記二作と比べると若干劣るか。小林泰三の生命に関する考察が読める点は興味深い。
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―――パッチワーク・ガール。そう。わたしは継ぎはぎ娘。 その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。 傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見えてくる。 わたしのものではない臓器。人間のものですらない臓器。 ...
―――パッチワーク・ガール。そう。わたしは継ぎはぎ娘。 その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。 傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見えてくる。 わたしのものではない臓器。人間のものですらない臓器。 借りもん 小林泰三の短編集 …凄まじい 『人獣細工』…「人間とは何か」のテーマでじわじわ精神を削られて、最後の一行を読んだ後に身体を走る悪寒 これぞホラー、といった感じ 『吸血狩り』…普通に読めば少し物足りないぐらいの話 しかし、よくよく考えてみると… 『本』…小林泰三は邪悪だ、本当に。 半SF半ホラーな感じが好きです
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人獣細工 / 書き下ろし 吸血狩り / 書き下ろし 本 / 書き下ろし 解説 「ゆっぐごとおうふの実在と自傷について」 (朝松健) 『人獣細工』 1997.6 角川書店刊 文庫化 カバー 田島照久 (thesedays) 口絵 村上光延 装幀 田島照久 印刷 旭印刷 製本 千...
人獣細工 / 書き下ろし 吸血狩り / 書き下ろし 本 / 書き下ろし 解説 「ゆっぐごとおうふの実在と自傷について」 (朝松健) 『人獣細工』 1997.6 角川書店刊 文庫化 カバー 田島照久 (thesedays) 口絵 村上光延 装幀 田島照久 印刷 旭印刷 製本 千曲堂
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中短編・3つ。 父親は、幼い私のために臓器移植を続けてきた。豚の臓器を。 気持ち悪くて怖い、不安になる、自己がわからなくなる話。 胃、肺、胆臓、肝臓、皮膚、子宮、網膜、耳、ありとあらゆる臓器が豚のものであるなら、私は豚ではないのか。 「人格」とか「自分」を決定するものは何か悩ま...
中短編・3つ。 父親は、幼い私のために臓器移植を続けてきた。豚の臓器を。 気持ち悪くて怖い、不安になる、自己がわからなくなる話。 胃、肺、胆臓、肝臓、皮膚、子宮、網膜、耳、ありとあらゆる臓器が豚のものであるなら、私は豚ではないのか。 「人格」とか「自分」を決定するものは何か悩ませる表題作「人獣細工」。 8歳の少年が従姉妹を守るため吸血鬼と戦う「吸血狩り」 突然、中学生時代の同級生から送られてきた不可思議な本の呪いにあう「本」 どれも気味が悪くて怖くて、不安になるけれど面白い話でした。
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