人獣細工 の商品レビュー
読後感がすっきりしない短編集でした。何だろ、読みが浅いのか、それぞれの主人公の思考や行動の切っ掛けが理解できず、かなり置いてきぼりをくらってました。「~殺し」シリーズは、最初から変な人たちと認識して読んでいたから全然気にならなかったんですけど、この作品はよく分からなかったなー。最...
読後感がすっきりしない短編集でした。何だろ、読みが浅いのか、それぞれの主人公の思考や行動の切っ掛けが理解できず、かなり置いてきぼりをくらってました。「~殺し」シリーズは、最初から変な人たちと認識して読んでいたから全然気にならなかったんですけど、この作品はよく分からなかったなー。最後「で?」ってなった。
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醜悪極まりない短編集。 「人獣細工」は父親の執着こそが最もグロテスク。 「吸血狩り」は従妹を奪われまいとする少年の妄執こそが邪悪。 「本」は読んだ者が芸術に汚染されていくが、その本こそはこの本なのかもしれない。
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三作収録の短編集で、「本」が一番面白かった。こういうふふふっと笑える終わり方が好き。 平和なんだか平和じゃないんだか、みたいな。 表題作は凝りすぎてて次節よくわからなかった。最後は切なかったけど。 「吸血鬼狩り」はすらすら読める内容。怖くない。
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三部作品で「人獣細工」が好きでした 父は移植手術の第一人者、母は生まれてすぐに死、 私は体が弱く移植手術しないと生きられない 1歳で移植手術・・提供者は人ではなく「豚」だった ありとあらゆる臓器を豚から移植 私のあだ名は「ひとぶた」「パッチワークガール」 父の身体が急変し移植...
三部作品で「人獣細工」が好きでした 父は移植手術の第一人者、母は生まれてすぐに死、 私は体が弱く移植手術しないと生きられない 1歳で移植手術・・提供者は人ではなく「豚」だった ありとあらゆる臓器を豚から移植 私のあだ名は「ひとぶた」「パッチワークガール」 父の身体が急変し移植しないとダメな時に父親の一言 「俺の身体に豚を入れるな」 父親にとって私は「物」そこに愛などない! 今後に役立つリアルデーターが欲しいのだ 私は父の残した財産と「ひとぶた」として生きる
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実に著者らしい凶悪とも思える三編の中編が収録されている。『本』が強烈だが、他の二作も実に邪悪な雰囲気を醸している。『玩具修理者』の収録作二作が後の著者の作風を表しているとして、今回はそのうちのホラーの要素を増幅させたようなところがある。 『人獣細工』 テセウスの船を人体で表現し...
実に著者らしい凶悪とも思える三編の中編が収録されている。『本』が強烈だが、他の二作も実に邪悪な雰囲気を醸している。『玩具修理者』の収録作二作が後の著者の作風を表しているとして、今回はそのうちのホラーの要素を増幅させたようなところがある。 『人獣細工』 テセウスの船を人体で表現した作品。人の臓器を人以外のもので置き換えていく時、どこからが人なのか。そしてどこまでが人なのか。人が人であることの定義を容赦なく問う。それが曖昧になることが恐ろしい。結末は予見できるが、むしろ予見できるからこそ到達してほしくない場所に着地するのが悍ましくもある。 『吸血狩り』 吸血鬼を撃退すべく勇猛に戦う少年の物語……として読めるが、そこには悪意あるリドルが口を開けている。これもまた単純な冒険譚でないことは察した上で読み進めることになるのだが、「吸血鬼」や「クトゥルフ」が混線していき、揺らぎ捻れて、最後にはこれまた信じたくないような着地をする。最後の一言が強烈で、物語の結末を一気に黒く染める。 『本』 今回の白眉。幻惑的で酩酊感のある展開はある意味黒い水脈に続く奇書の構造に近いものを感じる。だが、この作品に至っては文字通りの「奇書」と言えるだろう。伝染型のホラーや、ブラックユーモアを交えたスプラッタとも取れるが、この物語の本質は世界の揺らぎだ。今何を読んでいるのか、何を感じて何に影響を受けているのか、それは自身をいかに変容させるのか、独特な読書体験となり得る。途中の芸術論や共生体の話も興味深い。しかし読めば読むほどにやはり世界は揺らぐ。ラストシーンなどは邪悪そのものである。これがあるからこの人の作品は読むをやめられない。
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小林泰三さん三冊目。 表題作『人獣細工』は、肉体的だけでなく精神的なグロテクスさをもまとっている。と、感じるのは、現在の倫理観に縛られているからだろうか。パンドラの箱は開けちゃいけないやね。 『吸血狩り』はあんまり合わんかった。子供という幼い視点での一人称が苦手なんかなぁ。 最期...
小林泰三さん三冊目。 表題作『人獣細工』は、肉体的だけでなく精神的なグロテクスさをもまとっている。と、感じるのは、現在の倫理観に縛られているからだろうか。パンドラの箱は開けちゃいけないやね。 『吸血狩り』はあんまり合わんかった。子供という幼い視点での一人称が苦手なんかなぁ。 最期、『本』。曖昧な世界観は好みじゃないけど、「呪いの伝播」系のお話としてはすこぶる面白かった。
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あらすじ パッチワーク・ガール。そう。わたしは継ぎはぎ娘。その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見えてくる。わたしのものではない臓器。人間のものですらない臓器。…第2回日本...
あらすじ パッチワーク・ガール。そう。わたしは継ぎはぎ娘。その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見えてくる。わたしのものではない臓器。人間のものですらない臓器。…第2回日本ホラー小説大賞短編賞をあの名作「玩具修理者」で受賞した著者が、内臓の匂い漂う絶望と恐怖の世界を構築した表題作に、二編を加えた待望の第二作品集。
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小林泰三作品2冊目。グロテスクで狂気に満ちた3つの短編。 『玩具修理者』でも思ったけれど、自分が何者か分からなくなるような、今まで信じていたものが当たり前でなくなり、足元から崩れていくような恐さを描くのが上手い。 「人獣細工」 先天性の病気で、医者である父にブタの臓器や皮膚を移...
小林泰三作品2冊目。グロテスクで狂気に満ちた3つの短編。 『玩具修理者』でも思ったけれど、自分が何者か分からなくなるような、今まで信じていたものが当たり前でなくなり、足元から崩れていくような恐さを描くのが上手い。 「人獣細工」 先天性の病気で、医者である父にブタの臓器や皮膚を移植された娘が、自分が何者かを探っていく物語。 父が残した記録をたどる内に、どんどん狂気に囚われていく娘。 人道的・倫理的な問題を度外視し、医師としての探究のみに走る父親も恐いし、自分の存在自体があやふやになっていく恐さもある。 何より技術の進歩だけを考えるなら、いつか起こり得ると思えてしまうのが一番恐い。 「吸血狩り」 吸血鬼に魅入られた従姉を助けようとする8歳の少年の話。 彼は本当に吸血鬼だったのか、はっきりとは書かれてない。大好きな従姉を守るため、自分が信じたものを疑わずに突っ走る子どもの残酷さ。最後の一行がじわじわ恐い。 「本」 かつての同級生から送られてきた汚い本を読んだ者たちが順におかしくなっていく。呪われた本の正体を探る話。 間に挟まれた芸術論の話が小難しくて苦戦したけれど、馴染みのある関西弁のせいもあり、途中からすいすい読めた。 結構グロいし、得体の知れない恐さが高まってるところに、「しぇきなべえべえ」「わんつうすりふぉ‼︎」あたりで一気に脱力。小林作品によく出てくる平仮名表記。狂気じみた感じと可笑しみが程よくミックスされてて面白い。
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・人獣細工 ドロシィー殺しに出てくる登場人物が主人公。ストーリーが興味深く読んでみたいと思い読んだ。 遺伝子系の話がちょいちょい出て難しかった。 結末は、やっぱりなと言う展開。倫理に反する感じが読書でしか味わえない楽しさかと。 ・本 「本」の内容が始めつまらなかったが徐々に気に...
・人獣細工 ドロシィー殺しに出てくる登場人物が主人公。ストーリーが興味深く読んでみたいと思い読んだ。 遺伝子系の話がちょいちょい出て難しかった。 結末は、やっぱりなと言う展開。倫理に反する感じが読書でしか味わえない楽しさかと。 ・本 「本」の内容が始めつまらなかったが徐々に気になる展開に。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
どの作品もクセがあり楽しめました。 「人獣細工」は切なく物悲しい。 「吸血狩り」は解説にもあったが、本編を読んだ後はそっちの方で解釈していた。映像にしたならオチの舞台をどこに持っていくかでどっちの解釈になるか決まるとこ。 「本」は一番の好み。あの虚構と現実がぐんにゃり混ざり合うところがたまらない。
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