くそったれ!少年時代 の商品レビュー
少年時代に、父親から…
少年時代に、父親から理不尽な厳しさで育てられる詩人の回想記。にきびで悩む様子も描かれていますが、おっさんになったブコウスキは年輪の刻まれたいい感じの酔っ払いのおっさんです。(「バーフライ」っていう本人を描いた映画で、バーで飲んでるおっさん=そのままでみられます。
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眠れなかった。 メドウズ嬢のことを思い浮かべてマスターベーションをしたらどうだろう? あまりにも安っぽすぎる。 わたしは闇の中でのたうちまわっていた。何かが起こるのを待ちながら。
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原題は、"HAM ON RYE" ハムを挟んだライ麦パンという意味だという。解説の中川五郎によれば、ハムを挟んだライ麦パンのそれ以上でもそれ以下でもなく、何か特別な暗喩がされているわけではない。けれども中川が付けた「くそったれ!少年時代」がA面だとしてその裏に...
原題は、"HAM ON RYE" ハムを挟んだライ麦パンという意味だという。解説の中川五郎によれば、ハムを挟んだライ麦パンのそれ以上でもそれ以下でもなく、何か特別な暗喩がされているわけではない。けれども中川が付けた「くそったれ!少年時代」がA面だとしてその裏には確実に"HAM ON RYE"という名が付いている小説だと思う。あくまで推測でしかないが、この作品で描かれた家族や生活のなかで、描かれないものの、そこには当たり前のものとしてハムを挟んだライ麦パンがあったのではないだろうかと。それはブコウスキーによるくそったれた世界へのかすかな希望の表れとも読めるかもしれない。何が言いたいかというと、この作品を読んだ後に原題に立ち返って僕は感動したのだ。ほんとうにひどいことばっかり書かれた小説だった。最後までひどい。でも最後のメキシコ人の少年とのボクシングゲームの場面がとても心に残った。右手だけの赤ボクサーにチナスキーは2回負ける。なぜか少年に勝てない。勝とうとしたのに。父性とは暴力だ。父性をどかすのも暴力しかない。(後はながい時間経過による忘却および解決)僕にも身に覚えがある。こんなにはひどくないけれど、少年時代にそういった感覚を持ちえた父から似たような体験がある。この本を薦めてくれた彼は、僕に薦めるときに「父親とうまくやれてた?」と聞いた。「ううん」と答えたらこの本を薦めてくれた。
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チャールズ・ブコウスキーが主人公ヘンリー・チナスキーに託した描く、自伝的長編小説。 暴力的な(といっても当時はある程度一般的だろうが)父と、それに服従する母。大恐慌時代で荒んだ下町での陰鬱なある種の諦念がただよう空気。喧嘩や揉め事の絶えない人間関係。そんな中で、腹を立てながらも、...
チャールズ・ブコウスキーが主人公ヘンリー・チナスキーに託した描く、自伝的長編小説。 暴力的な(といっても当時はある程度一般的だろうが)父と、それに服従する母。大恐慌時代で荒んだ下町での陰鬱なある種の諦念がただよう空気。喧嘩や揉め事の絶えない人間関係。そんな中で、腹を立てながらも、なんだかんだ友人が出来たり離れたりと生活をしていくチナスキーの姿は、エンタメ的物語的ではない、ある種の真に迫ったリアルがあるように思える。 劇的な救いは無い。ためになる教訓も無い。そこにはヘンリー・チナスキーという男が辿った足跡があるだけだし、それが文章として成したものを文学という。 大統領のスピーチを聞いてきてレポートを書く課題を出され、父に家の用事を強要されてるためスピーチを聞けなかったチナスキーが、でっち上げた作文を披露してその面白さを受け入れられるシーン。 あれは間違いなくブコウスキーの原体験であり、創作を貫く初期衝動なのだろう。
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著者、チャールズ・ブコウスキーの自伝的要素のある小説。主人公ヘンリー・チナスキーの、1922年の1、2歳の記憶から1945年の日本の真珠湾の報道がされている時期までの生活を描く。父親からの虐待、学校教育への不信、喧嘩、容貌の劣等感など少年時代によくある悩みに加えて、特殊な家庭事情...
著者、チャールズ・ブコウスキーの自伝的要素のある小説。主人公ヘンリー・チナスキーの、1922年の1、2歳の記憶から1945年の日本の真珠湾の報道がされている時期までの生活を描く。父親からの虐待、学校教育への不信、喧嘩、容貌の劣等感など少年時代によくある悩みに加えて、特殊な家庭事情、社会状況も描き出し、読み進めるうちに面白くなっていった。社会と自分にうんざりしている様子に共感しつつ、不思議と絶望感は感じられないんだよなぁ…ラストのボクシング・ゲームは印象的。
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ブコウスキーファンなら必読の作品だろう。作者の分身ともいえるヘンリー・チナスキーの成長物語である。 貧しい幼年時代からカレッジを卒業して作家修行を始めたところまでが書かれている。後の『ポスト・オフィス』『パルプ』『詩人と女たち』とつながっていくインフラ作品と考えた場合、この自伝的...
ブコウスキーファンなら必読の作品だろう。作者の分身ともいえるヘンリー・チナスキーの成長物語である。 貧しい幼年時代からカレッジを卒業して作家修行を始めたところまでが書かれている。後の『ポスト・オフィス』『パルプ』『詩人と女たち』とつながっていくインフラ作品と考えた場合、この自伝的要素が深い小説は、ブコウスキーファンとしては、見逃せない作品であるわけだ。 この作品がすばらしいのは、ありのままの日常を“ありのまま”に捉えているところで、その一生懸命さに思わず応援のエールを送りたくなってしまうだろう。ある種の差別(敵国出身という人種・移民)を受けながらも貧しい少年時代をけなげに生きるチナスキーがいじらしくなってしまうし、戦争を控えた時代背景と、父親との対立、性への目覚め、将来への不安と野望、そして、時折垣間見えるブコウスキーらしさともいえる一流の倦怠感と醒めた意識が作品全体にわたって滲み出ている。 ブコウスキー作品の魅力に触れるなら、まずこの作品からとも言っていい定番となりえる佳作である。
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1930年代の大恐慌の時代。父親が失業者で子どもを虐待するような家庭で育つ主人公。 多感な少年は、こんな生きづらい時代にどのように成長していくのか。 反骨心、劣等感など読むべきところはあるけれど、共感できる部分はあまりなく、淡々と過ぎてしまったというのが正直なところ。
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傑作 原題は HAM ON RYE つまり、ライ麦パンのハムサンド 意味がありそうで特になさそうな、それは無情とも即物とも違う諦念なのかぶっきらぼうなのか、その雰囲気を感じさせるタイトルだか、なぜか、「くそったれ少年時代」という、愚にもつかぬ邦題。 ブコウスキーらしさ!と...
傑作 原題は HAM ON RYE つまり、ライ麦パンのハムサンド 意味がありそうで特になさそうな、それは無情とも即物とも違う諦念なのかぶっきらぼうなのか、その雰囲気を感じさせるタイトルだか、なぜか、「くそったれ少年時代」という、愚にもつかぬ邦題。 ブコウスキーらしさ!といって読者に媚びる態度すら見えるこのタイトルが大嫌いだった。その方が売れる?ブコウスキーが売れるタイトルをつけると? Womenが、「詩人と女たち」なのは翻訳の範囲として許せるとして(意味は多少変わっても、わかりやすくするもので、媚びてない)、こういう改題をする権利は翻訳者や編集者にあるのだろうか、、、 いや、それは著作権としての法的な権利の話ではない。 まぁ、そのお陰で翻訳本を読めてるんだと言われればその通りなんだけども、こういう、読者のレベルを下げるような翻訳は、結果的に読書のレベルを下げていくと思う。 日本語訳するなら、「ハムサンド」とかそれくらいのぶっきらぼうレベルでもよかったのかもしれない。 いや、それがうまい訳とは思いませんが、少なくとも「くそったれ少年時代」という本棚に並べたくない愚かなタイトルほどではない。
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3冊目のブコウスキーはチナスキーの少年〜成人する辺りまでの本作。太いストーリーは無く、思い出した通りにエピソードを積み重ねている感じ。割とずっと絶望的な状況であるのに、読んでるこちらは楽しい。相変わらず下品で喧嘩っ早くて口が悪い……にも関わらず、魅かれるところがあり、なんだか私は...
3冊目のブコウスキーはチナスキーの少年〜成人する辺りまでの本作。太いストーリーは無く、思い出した通りにエピソードを積み重ねている感じ。割とずっと絶望的な状況であるのに、読んでるこちらは楽しい。相変わらず下品で喧嘩っ早くて口が悪い……にも関わらず、魅かれるところがあり、なんだか私はこのチナスキーといると気持ちが落ち着いてくる(間違った感想……?)。
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30過ぎてブコウスキーなんて残酷すぎる。もっと早くに読んでしまえばこんなに滅入ることはなかった。ガリ勉メガネの黒髪真ん中分け大学生がパンクという言葉を彼に見出したところでそんなものはパンクでもなんでもなく、自転車屋で修理する類いのパンクだ。穴が空いて、塞いで欲しくて、何かを埋める...
30過ぎてブコウスキーなんて残酷すぎる。もっと早くに読んでしまえばこんなに滅入ることはなかった。ガリ勉メガネの黒髪真ん中分け大学生がパンクという言葉を彼に見出したところでそんなものはパンクでもなんでもなく、自転車屋で修理する類いのパンクだ。穴が空いて、塞いで欲しくて、何かを埋める。そんな人生は誰にだって起こりうるし、その大半が20代に起こるからこそ急いで読まなくてはならない。文字が読めるようになったあたりでブコウスキー。っていうのが丁度いいのではないでしょーか。
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