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ワイルド・スワン(中) の商品レビュー

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27件のお客様レビュー

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個人崇拝・魔女狩り・…

個人崇拝・魔女狩り・破壊など、文化大革命の内情はあまりにも衝撃的でした。お隣の国でそれも半世紀足らず前に社会が恐怖に陥っていたとは!国父・毛沢東のイメージが覆されました。

文庫OFF

想像を絶する迫害の日…

想像を絶する迫害の日々―ついに逮捕された父は精神に異常をきたす。なんとしても夫を救いたい!母は周恩来首相に直訴すべく、北京行きの列車に乗る。

文庫OFF

2024/06/24

如何に非人道的な政策を行使しようとも、毛沢東が人民を統率する力に長けていたことは確かだ。自身を神聖化し、反発勢力を徹底的に排除する事で、人々の理性と自己決定欲を削ぎ落として従順な犬に仕立て上げた。 平和な世の中に犬として生きる方が、戦乱の世に人間として生きるよりましだ。(それは...

如何に非人道的な政策を行使しようとも、毛沢東が人民を統率する力に長けていたことは確かだ。自身を神聖化し、反発勢力を徹底的に排除する事で、人々の理性と自己決定欲を削ぎ落として従順な犬に仕立て上げた。 平和な世の中に犬として生きる方が、戦乱の世に人間として生きるよりましだ。(それは間違いなく、「無知が理性を圧倒」する異常な時代である。) 人民の私的な怨恨や恨みつらみを晴らす場として文化大革命や共産主義が利用されたと言うのも新しい視点だった。(中国で政治闘争が行われる場合、誹謗中傷の根底にあるのは大抵個人的な怨恨だ p.263/ 野蛮な破壊行為や拷問は、必ずしも毛沢東の呼びかけに忠実に応じた結果ではない。人間の最も醜い側面を心ゆくまで解放して良いと言われた結果である。p.187) •1950年代、中国を成功した唯一の社会主義国家へと仕立て上げ、イギリスを超越するために、中国全土で鉄鋼の大量生産や食料自給が急がれる(大躍進政策)。毛沢東の過度な要求に応えるためにと、桁違いな収穫量を目標に掲げ、宣言する風潮が強まった。こうした状況の中では「言葉が現実から乖離」し、誰もが大言壮語する時代であった。→この習慣が今でも中国に根強く残っている。 •ブルジョワジー↔︎プロレタリアート 労働者、農民、革命幹部 ↑ 地主、富農(資産家)、反革命分子 ↑ ↓ その他の家系出身

Posted byブクログ

2021/01/26
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「ことばというものが、意味を持たなくなっていった。ことばが現実から乖離し、裏付けを失い、本心とは似ても似つかぬものになっていった。だれも人のことばを本気で信じなくなったから、うそ偽りを語っても良心が痛まなくなった。」 第十二章あたりからはもう狂気。"米がなくても飯は炊ける"っすごいスローガン。自国の政治をここしばらく冷ややかな目で見るしかなかったけど、当時の中国共産党のやってたことは比じゃない。。。中国ってやっぱ半端ない国だわ。 毛沢東の教えに少しでも沿わないものを"右傾してる"とし「反革命分子」として弾圧する。抹殺するかおさえつけ共産党の批判の声をなくす。党員は右傾してる者をでっちあげてでも、とにかく担当地域で一定数の反革命分子を炙り出し報告しないといけない。 数千万もの餓死を出し狂気の経済政策による"人災"で起こった飢饉。浮腫を患う農民で溢れる。誘拐し子供の肉を干してウサギの肉として売るもの、自分の赤子を空腹のあまり食べてしまうもの。 飢饉を通して著者の両親は共産党に対する信頼を根底から揺さぶられる。 その後幹部の一応の大反省のもとまた事態は好転し鉄鋼生産、隠蔵反革命分子摘発運動や反右派闘争、右傾機会分子摘発運動も終止符が打たれ、話は著者の十代に入っていく。 平穏だった時代は過ぎ、焦りを感じる毛沢東は人民を思い通りに動かすため、党から権威を奪い、毛沢東ただ一人に対する絶対的な忠信と服従を確立させ、文化大革命を起こす。教育によりガチガチの毛主席傾倒分子を大量生産し、「父よりも、母よりも、毛主席が好きです」と言わしめ、少しでもブルジョア的要素を感じたものを徹底排除。西洋を例に出し資本主義に少しでも傾くようであれば今ここにある甚大な努力のものに作られたこの天国は終わるのだと信じこませ、現状の破壊へと向かわせる。恐怖という手段を使いあらゆる思考を停止させる。情報は制御され歴史は修正され信じこまされた世界に少しずつ疑問を抱く著書。 そして若者に火をつけ本格化する文化大革命。紅衛兵に残虐な行為を見せしめとするため奔走させ、世を混乱に巻き込む。「われら紅衛兵、天をおそれず、地をおそれず。偉大なる指導者毛主席が、われらの最高司令なり」というスローガンを掲げ暴君の道具となりブルジョア的なものを破壊していく。 そして著者の父と母も標的となり精神がおかしくなるほどの迫害を受けることになる。 読むのが辛くなってきた。

Posted byブクログ

2019/04/27

掲載されている写真の一つ、「文化大革命が始まる前の父」を見て、張守愚氏の精悍な顔立ちに感心した。それと同時に、文化大革命で彼の身になにかあったのか不安になってしまう。その予感は的中し、彼の運命のあまりの辛さに読みながら泣いた。毛沢東氏は確かに中国を生まれ変わらせた偉大な人物だ。だ...

掲載されている写真の一つ、「文化大革命が始まる前の父」を見て、張守愚氏の精悍な顔立ちに感心した。それと同時に、文化大革命で彼の身になにかあったのか不安になってしまう。その予感は的中し、彼の運命のあまりの辛さに読みながら泣いた。毛沢東氏は確かに中国を生まれ変わらせた偉大な人物だ。だが、晩年はおかしな方向へ行ってしまっているように私は感じる。

Posted byブクログ

2019/03/04
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ただただ辛い。改革の時代に翻弄されながらも、強い信念を曲げずに勇気ある行動をとっている父母は本当にすごい。実際にこの時代に毛主席に意見して生きていられることが不思議なくらい。一時期、気がふれてしまったことがあるが、それでも他人を貶めることなく貫く姿勢には、ほんと感服する。そして権力を嵩にきて自分の私利私欲に走る悪者がいるのもやはり世間だなとも思う。一時期、平和な期間もあったのも救いだけれど、時代に翻弄されつづけるのって本当に辛い。

Posted byブクログ

2018/11/04

・大躍進運動時(文化大革命の直前の時代)―役人が気に入るような誇大な増産目標を言わないと、言うまで殴られた ・文化大革命時―毛沢東が女子も戦闘的態度を身につけなければならないと呼びかけた。女の子の多くが粗野で攻撃的な男のようにしゃべり、歩き、ふるまい、そうしない子をバカにした

Posted byブクログ

2015/06/19
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中巻です。 国民党と共産党の内戦が終わり、毛沢東による統治がはじまり、文化大革命の混乱の様子までがとてもリアルに描かれていました。 上巻を読んだときには国民党の恐ろしさが際立っていて、共産党に変わることで内戦が終わりほっとしましたが、毛沢東の功績はそれだけ。 例えば「大躍進運動」 彼は中国を第一級の近代国家に仕立てるという夢想に取りつかれ、鉄鋼生産量を1年で倍増するよう指示をします。 ただし毛沢東は経済音痴だったため専門技術を持った本来の鉄鋼業を発展させるのではなく、全人民に鉄くず探しをさせるのです。本当にそれを政策として大真面目にやらせるのです。 国の食糧生産を支えていた1億の農民にも鉄の生産に駆り出させるから、翌年はおかげで大飢饉・・・国中が餓死する大惨事に発展するのです。 それでも暴動が起きないのは、情報が操作され、毛沢東の神格化教育が徹底させていたから。ひとりひとりが「考えない」教育を施したおかげで操りやすい国民が出来上がり、どんな理不尽なことも自由に行うことが出来るのです。もちろん、少しでも「考える」ことをする国民は投獄され殺されます・・・ 次に彼がやったことは「文化大革命」 自分以外の人間を戦わせ弱らせ殺させ、毛沢東は絶対的地位を築いていきます。 共産党に身を捧げた著者の両親は、熱心な党員(幹部)だったために逆に毛沢東の政策のために罪なき罪で惨い罰を受け続けます。 特に父はそれがもとで気が狂い精神病院に入るほど・・・ 毛沢東の狂気には想像を絶するものがありました。 こんな感じで中巻は文化大革命がエスカレートし、国中で大虐殺が行われているところまでが描かれていました。 下巻はどこまで書かれているんだろう。古い作品とはいえ著者はまだ生きてるからねえ。

Posted byブクログ

2015/05/26

毛沢東がヒトラーやスターリン並みだったこと、どうしてこんなに知られていないんだろうと思ったけど、やっぱり共産党政権が続いているからだろうか。ここまで読んできたものと「共産党政権が続いている」という現在の事実だけを見ると、どうして数十年前にここまでやった共産党が未だに政権を維持でき...

毛沢東がヒトラーやスターリン並みだったこと、どうしてこんなに知られていないんだろうと思ったけど、やっぱり共産党政権が続いているからだろうか。ここまで読んできたものと「共産党政権が続いている」という現在の事実だけを見ると、どうして数十年前にここまでやった共産党が未だに政権を維持できているのかまるでわからない。

Posted byブクログ

2015/02/13

著者の父母に物語の軸足がうつる。国共内戦が続く中、著者の父母は数千キロを徒歩で移動し、四川省の都市「宣賓」に移動する。その後、一家は成都に引っ越し。共産党幹部としての特権的な暮らしを営む。 しかし、1958年に毛沢東が開始する大躍進政策といわれるデタラメな農業・工業政策、そしてそ...

著者の父母に物語の軸足がうつる。国共内戦が続く中、著者の父母は数千キロを徒歩で移動し、四川省の都市「宣賓」に移動する。その後、一家は成都に引っ越し。共産党幹部としての特権的な暮らしを営む。 しかし、1958年に毛沢東が開始する大躍進政策といわれるデタラメな農業・工業政策、そしてその後1966年に開始される文化大革命により、著者の父母は大変な労苦をうけることに。

Posted byブクログ