ワイルド・スワン(中) の商品レビュー
文革とは何か。詳しく知りたければ、この一冊。 山崎豊子の不毛地帯でも分かるが、その時代の国家権力の暴力的な態度と、人権を全く無視した振る舞い、強制労働、思想教育は凄惨なものがある。これは決してアカに限った事ではない。人間が人間を、自発的に貶める。悪が善を支配する事が、社会的に許さ...
文革とは何か。詳しく知りたければ、この一冊。 山崎豊子の不毛地帯でも分かるが、その時代の国家権力の暴力的な態度と、人権を全く無視した振る舞い、強制労働、思想教育は凄惨なものがある。これは決してアカに限った事ではない。人間が人間を、自発的に貶める。悪が善を支配する事が、社会的に許され、発言に自由がない。そんな社会は、今もまだある。それにしても、その社会の中で一人硬骨漢、立ち向かうこの父親は凄い。
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毛沢東による文化大革命。人間の狂気・時代の狂気。ほんとにすごいとしか言えない。なんとなくしか知らなかった文化大革命とはこういうものだったのか。ここからどう今の中国に繋がっているのか、続きか気になる。
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中巻は父と母の物語.あの戦争が終わっても,この国の闇は深かったのだと,大きなショックを受けた.外から見る歴史と内から描かれる歴史,こんなにも違うのか.想像を絶する迫害の日々,それでも両親は決して魂は売らなかった.いよいよ下巻を残すのみ,どんな真実が描かれているのか,早く読みたい.
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悪政と失政で翻弄される国民。 拡大し続ける犠牲と狂気。 ここまで人は残虐になれるのか。 20世紀最悪とも言える人災。 高級官僚の両親をもつ著者だからこそのリアリティ溢れる内容。
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国民党と共産党との熾烈で不毛な権力闘争。毛沢東の悪政と失政に振り回される国民たち。人為的な大飢饉や、江青や紅衛兵による圧政と拷問。当時の中国が抱えていた闇が読み取れ、現代にも繋がる発言と真意の裏腹という、中国が抱える自己矛盾を感じさせる。 恥ずかしながら毛沢東についてはあまり知...
国民党と共産党との熾烈で不毛な権力闘争。毛沢東の悪政と失政に振り回される国民たち。人為的な大飢饉や、江青や紅衛兵による圧政と拷問。当時の中国が抱えていた闇が読み取れ、現代にも繋がる発言と真意の裏腹という、中国が抱える自己矛盾を感じさせる。 恥ずかしながら毛沢東についてはあまり知らなかったが、文化大革命という語韻に反してここまで酷い「文化大虐殺」が行われていたことに驚きを隠せない。現代の中国は批判されがちだが、当時の内部搾取より、現代程度の外部攻撃のほうが情勢としては健全なのかもしれない。 単なる史書や随筆ではなく、高級官僚の一家であった筆者ならではの時代の翻弄されたリアリティある体験が非常に価値のある内容となっている。
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ナチスとかと比べると、毛沢東を非難する声は圧倒的に少ない気がする。対外的か対内的か、直接的か間接的か、みたいな違いがあるせいで、上手くカムフラージュされてるんだろうけど、結果的に起こった人災は、毛沢東によってもたらされたものの方が甚大とも思える。ここに描かれている時代から、まだ半...
ナチスとかと比べると、毛沢東を非難する声は圧倒的に少ない気がする。対外的か対内的か、直接的か間接的か、みたいな違いがあるせいで、上手くカムフラージュされてるんだろうけど、結果的に起こった人災は、毛沢東によってもたらされたものの方が甚大とも思える。ここに描かれている時代から、まだ半世紀も経っていない。この時代を生きた方々が、心的外傷を完全に克服して現代を生きるのって、かなり難しいことじゃないかと思える。国内にも根深い問題を抱えているのですね。
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清朝支配末期の1920年から、市場開放された中国の1985年までを、著者、著者の母及び祖母の記憶を辿って語っている。 読んでいて、中国の教科書や他の本では決して記憶に刻まれなかった自分の母国の歴史や文化を生々しく学ぶことができました。素晴らしい本であり、特にこの本が手に入る海外...
清朝支配末期の1920年から、市場開放された中国の1985年までを、著者、著者の母及び祖母の記憶を辿って語っている。 読んでいて、中国の教科書や他の本では決して記憶に刻まれなかった自分の母国の歴史や文化を生々しく学ぶことができました。素晴らしい本であり、特にこの本が手に入る海外にいる華僑や華人は読むことをオススメします。 -回顧録のため、容易に想像できる生活に根ざした事実によって記録されている -事実の羅列のため、当時の時代背景で暮らすことの意味合いを考えることができる -他の公式な記録では味わえない臨場感がある -結果、自分は1985年に中国で生まれることができてなんと幸せかと思うようになりました このような莫大な記録を書き綴って記録として残してくれた著者に敬意を表します。本当に素晴らしい本です。
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面白かった。 日本では考えられないような過酷な人生。 それでいて、前向きな主人公には、励まされる。 みんなに読んでほしい。
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凄まじい事実に本を読んでいるにも関わらず目線をそらしてしまうほどの内容だった。 人は、ここまで自然と残虐になれるのか、大衆の心をコントロールし暴動へと誘導する独裁者。 あらゆる好奇心とそれを満たす活動を制御され、全てを暴動へとぶつけて行く若者達。 更には、人への妬み恨みを抱え、人...
凄まじい事実に本を読んでいるにも関わらず目線をそらしてしまうほどの内容だった。 人は、ここまで自然と残虐になれるのか、大衆の心をコントロールし暴動へと誘導する独裁者。 あらゆる好奇心とそれを満たす活動を制御され、全てを暴動へとぶつけて行く若者達。 更には、人への妬み恨みを抱え、人を陥れる事を今か今かと狙っているもの達。 信じて尽くして来たものから、ある日突然裏切られ迫害される恐怖。 全てが鮮明に描写され、その時代(私が生まれる約20年前)の中国の恐怖をまざまざと見せつけられた。 今、上海で生活している身としては、たった40年弱でここまで変化した事に驚きを隠せなかった。
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著者のユン・チアンとは年齢が一つしか違わない。 本来なら恋を語り、夢を語り、夢見る頃、青春時代を過ごしたのだろう。 当時文化大革命という言葉は聞いていたけど、どこか遠い国の話で、それが、私が幸せで平和な青春を過ごしていたころのことだとは、初めてこの本を手にしたころまで知りもしなか...
著者のユン・チアンとは年齢が一つしか違わない。 本来なら恋を語り、夢を語り、夢見る頃、青春時代を過ごしたのだろう。 当時文化大革命という言葉は聞いていたけど、どこか遠い国の話で、それが、私が幸せで平和な青春を過ごしていたころのことだとは、初めてこの本を手にしたころまで知りもしなかった。 初めて単行本を読んだとき、かなりショックを受けたけれど、改めてもう一度読んでみて、なんとも言えない気持ちになった。 人はあれほどまでに残酷で残虐になれるものだろうか・・ たった一人の言葉によって、いともたやすく隣人を身内を上司を、教師を罵倒したり、暴力をふるったり、死にまで貶めるほどの行為をできるものだろうか・・ 伝染病のように国全体に広がっていく、信じられない狂気の世界。 しみじみ思うことは、同じ世代に生まれながら、生まれた地が日本でよかったと思うこと。
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