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藤田嗣治「異邦人」の生涯 の商品レビュー

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20件のお客様レビュー

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2015/05/26

絵そのものの評価よりもむしろ表題どおりまさにその生涯を検討した本作。時流および権威に阿ることなく信念を貫き通す若き頃など色々読みどころ満載ですが、やはり戦時・後の描写がメインテーマかな。 確かに酷い仕打ちを受けているとは思うのだが、その一方で、やはり戦時協力ということに対してご本...

絵そのものの評価よりもむしろ表題どおりまさにその生涯を検討した本作。時流および権威に阿ることなく信念を貫き通す若き頃など色々読みどころ満載ですが、やはり戦時・後の描写がメインテーマかな。 確かに酷い仕打ちを受けているとは思うのだが、その一方で、やはり戦時協力ということに対してご本人もあまり拘泥していないように見受けられるのは看過できぬ事実だろうか?芸術家であればあるほど戦争という「悪」に敏感であって良いはずなのに、、、 全てを藤田に擦り付けたような日本(美術界)の振る舞いは当然に醜いものではあるし、国立近代美術館に展示中の戦争画は単に戦意高揚を狙ったものでは決してないとは思う。けれども、例えばピカソらと比して戦争に対する感度がどうも鈍く見えてしまう、あるいは権威と真っ向から対峙できないように見受けられるのは、何だか日本社会に生きる人間として考えさせられるものがあります。

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2013/11/09

こんなに偏見と誤解に翻弄された人生は、感受性の強い芸術家にはさぞかし辛かっただろう。また、国立近代美術館に戦争画が展示されるようになったのは画期的な事なのだと知った。藤田嗣治か晩年の穏やかな暮らしの中で作った様々な小物も見てみたいと思った。

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2013/01/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

国立近代美術館での絵を見るために備えた本。フランスでの成功と日本での低い評価、戦中は戦争画に協力し、戦後は戦争協力を理由に日本を追われ、再度渡仏した画家の生涯。戦争画の是非は別にして、誤解を受けることが多かった藤田について、藤田の未亡人も含め、丁寧に取材されています。

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2012/11/09

GUEST 054/イラストレーター・宇野亜喜良 :スミスの本棚:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京 http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/2012/04/post128244.html

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2012/09/07

1920年代のエコール・ド・パリの代表格、藤田嗣治。その実像に迫ったノンフィクション。著者はNHKのディレクターで、「NHKスペシャル」として取材した中身を書籍化した。 藤田は東京生まれ。「嗣治」という名前は「平和という意味だよ」と言っていたそうだが、同時期の日本人と同様、戦争...

1920年代のエコール・ド・パリの代表格、藤田嗣治。その実像に迫ったノンフィクション。著者はNHKのディレクターで、「NHKスペシャル」として取材した中身を書籍化した。 藤田は東京生まれ。「嗣治」という名前は「平和という意味だよ」と言っていたそうだが、同時期の日本人と同様、戦争に翻弄され続けた人生だった。 1913年に仏渡し、世界大戦下のパリでモディリアーニ、スーチンらと交流。当初は貧乏暮らしで苦労するが、1921年に「私の部屋、目覚まし時計のある静物」や「寝室の裸婦キキ」が高い評価を受け、「巴里の寵児」に躍り出る。 第二次大戦中は、「アッツ島玉砕」など戦争画を発表。敗戦後は、これがもとで日本美術界から追われ、再びフランスへ。55年にはフランス国籍を取得し、日本国籍を抹消し、レオナルド・フジタと名乗る。 副題に合わせて言うのならば、藤田はパリだけではなく、母国・日本でも「異邦人」だった。 藤田はパリで暮らしていたからこそ、余計に「日本人であること」を意識し続けただろう。戦争画を描いたのも、純粋な愛国心だった。しかし、その思いは敗戦というドラスティックな変化によって、非難へと変わる。このショックはいかばかりか。 フジタは日本を離れる思いをこう言った。 「私が日本を捨てたのではない。日本に捨てられたのだ」 このノンフィクションの最後、著者はフジタが大切にしていた未整理の箱を見せてもらう機会を得る。中に入っていた、という物が印象的だ。 ネタバレになるので、具体的には書かないが、「市民ケーン」の「Rose Bud」を思い起こさせた。

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2012/03/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

レオナール・フジタ展に行った際に壁一面に貼られた人間のあまりに人間的姿に本質を問う事が何なのかを魅せつけられた。 とかく彼の人生は日本より冷遇され続けた。 日本人にとって、あまりにも人間的執着的な絵画は自己の内面をえぐるようでいて、普段目にする己の忌々しさをより一層自認させるのだっただろう。 フランス人として帰化したのも、自由とい言うよりも個性の枠をはみ出した「恋愛人」としての生涯何度も結婚をしていることからも窺い知れる 。 ただ、彼の乳白色の質感は「白」にこそ純化された思いを託することができたのだろう。

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2012/02/08

面白い小説という感じの本ではない。 フランスでは絶大な評価をされた日本人画家の、日本画界で冷遇された悲しい話。事実を誇張無く、平等に記述した本だと思う。なので特に魅力的だとか、ワクワクするとか、感激するという感情は沸かない。ただこの画風は私も余り好きではないし、日本人に受けなか...

面白い小説という感じの本ではない。 フランスでは絶大な評価をされた日本人画家の、日本画界で冷遇された悲しい話。事実を誇張無く、平等に記述した本だと思う。なので特に魅力的だとか、ワクワクするとか、感激するという感情は沸かない。ただこの画風は私も余り好きではないし、日本人に受けなかったのもなんとなく分かる気がした。

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2010/05/01

今まであまり明かされなかった画家・藤田の誤解を解き明かすという意味で、意義深く、かつとてもわかりやすいドキュメンタリーだと思う。戦争画に関わった詳細やその後のことも丁寧に描いてあったのでとても満足。同時にこの本を、藤田を誤解したままの多くの人たちに読んでもらいたい、と痛切に思う。

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2009/10/04

秋田市平野政吉美術館で購入。同美術館にある藤田氏の大壁画を見て深い感銘を受けた。 エコール・ド・パリと呼ばれた1910年代のパリでのハングリー精神は正直すごいと思った。パスキンやモディリアーニととともに送った日々は貧乏でも、充実したものだったろうと思う。 日本で強い非難を浴びなが...

秋田市平野政吉美術館で購入。同美術館にある藤田氏の大壁画を見て深い感銘を受けた。 エコール・ド・パリと呼ばれた1910年代のパリでのハングリー精神は正直すごいと思った。パスキンやモディリアーニととともに送った日々は貧乏でも、充実したものだったろうと思う。 日本で強い非難を浴びながらも、力強く生きた藤田氏の生涯を知った。生きる意欲をこの一冊から頂いた気がする。

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2009/10/04

第34回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。 巨匠藤田嗣治の華麗なる人生、流転の人生を、未亡人その他大勢の藤田に関わった人々らの証言を元に丁寧に綴っている。 この本を読むと、1920年代のパリ、社交界の寵児であった藤田を取り巻く面子の豪華さには驚く。 例えば、ピカソ、ルノワール、モ...

第34回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。 巨匠藤田嗣治の華麗なる人生、流転の人生を、未亡人その他大勢の藤田に関わった人々らの証言を元に丁寧に綴っている。 この本を読むと、1920年代のパリ、社交界の寵児であった藤田を取り巻く面子の豪華さには驚く。 例えば、ピカソ、ルノワール、モディリアニなどなど。 しかし、フランスで成功をおさめた藤田ではあったが、日本画壇は彼に冷たかった。 2度の世界大戦を経験し、特に第二次世界大戦では国策に協力して戦争画を多数描いたということが問題となり、戦後はまたパリに戻り、そこで一生を終える。 時代の波に翻弄され続けながらも、常に自分の信ずる道を歩み続けた彼。 女性遍歴を重ね、豪放磊落な奇人のように見られがちな彼だったが、実はとてもナイーブで回りをとても気にする人であった。 そんな彼の内面に光を当てた作品。

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