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喧嘩両成敗の誕生 の商品レビュー

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26件のお客様レビュー

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2015/08/30

この本は単なる日本史の細かい分野の本ではない。現在に繋がる「集団社会と法」を考えさせてくれる良書。公的権力が社会秩序のためにつくる制定法と権力が後からやってくる前に社会が秩序を保つためにもってきた慣習

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2015/03/24

キレっぷりが激しい室町時代のバイオレンスな世界を堪能した。江戸時代は偉大だ。足利将軍家のメンタルの総崩れも無理は無い。

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2014/12/16

日本人は激情型の人種だった。これには非常に納得がいった。それを表に出さず、内に秘めて淡々と復讐のチャンスを窺っている。その通りだ。 柔和な日本人観の裏には憎悪を内に秘めた日本人がいるのである。

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2014/09/20

喧嘩両成敗法――紛争当事者の”理非を問題にせず”双方を処罰するという世界的に特異な法律が、なぜ近世日本に登場したのか。その源流を中世社会に求め、室町から戦国期の膨大な文献から紛争事案を引用しつつ、その時代の人々の心性、倫理観、法慣習を明らかにしていく。  読んで驚くのが中世の人々...

喧嘩両成敗法――紛争当事者の”理非を問題にせず”双方を処罰するという世界的に特異な法律が、なぜ近世日本に登場したのか。その源流を中世社会に求め、室町から戦国期の膨大な文献から紛争事案を引用しつつ、その時代の人々の心性、倫理観、法慣習を明らかにしていく。  読んで驚くのが中世の人々の異常な喧嘩っ早さと人の命の軽さ。下人同士のちょっとしたいざこざが大名同士の全面戦争に発展するとか、トラブルの報復のために無関係な周辺住人ごと焼き討ちとか、公道を歩く者(特に女)は誰のものでもないから拉致ってもOKとか、「修羅の国」どころの騒ぎではない。そしてそれらは決して社会規範からの逸脱的行動でも一部の階級独特の規範でもなく、庶民から貴族まで当然かつ正当な行動であった。  さらに、当時の人々の感覚として、紛争当事者の一方が損害を受けたならもう一方も同等の損害を受けなければ釣り合いが取れないという信念(衡平感覚)や一方の損害はもう一方の同等の損害によって贖われるという信念(相殺主義)が極めて強いかたちで共有されていたこと、さらにその均衡の感覚があくまでそれぞれにとって主観的なものであったことが、状況を一層苛烈な方向へと導く事となる。つまり、紛争により一方が損害を受けたなら、損害を受けた側は損害を均衡させるだけの損害を与えるべくもう一方へ報復を行う。しかし、報復を受けた側がそれを均衡ではなく過剰な報復であり釣り合いがとれないと感じたなら、再びの報復が行われる。さらに報復を受けた側は……と、報復の連鎖はどんどんエスカレートしてゆく。  こうしてみれば、十七条憲法の「和を以て貴しとなす」に象徴される穏やかで理知的な農耕民族イメージの日本人像などは、ほとんどファンタジーみたいなものだということがよくわかる(ちなみに、室町期よりも古い鎌倉期やさらに時代をさかのぼった古代はさらに好戦的で残酷な記録を多く見ることができるから、ほんまに恐ろしい「修羅の国」なのだ)。狩猟民族で好戦的な西欧人と農耕民族で温厚な日本人といった古典的で素朴なステレオタイプでは描くことのできない中世日本人像がみえてくる。現代の目から見れば、西欧人は西欧人で、日本人は日本人でやはり相応に残酷かつ凶悪なのだ。  この苛烈な自力救済的な社会規範の中で、紛争を解決する方策として喧嘩両成敗法が成立していく。衡平感覚と相殺主義を前提とすれば、双方の損害が釣り合うことが紛争解決の必要条件だと言える。だとするならば、その釣り合いを強制的に生み出してしまえばいい。紛争当事者のどちらに理がある非があるといったことは完全に議論の埒外において、とにかく双方の損害を一緒にしてしまう。つまり、紛争当事者の両方が等しく処刑されることで均衡をとる。これにより、有無をいわさず紛争は治められ、社会秩序は回復される。喧嘩両成敗法とはいわば、中世の社会秩序を守り維持していくための、ひとつの知恵なのだといえる。  やがて戦国期、安土桃山期を経て江戸期へと移行するにつれて、こうした喧嘩両成敗は影を潜めるようになる。法の支配と裁判による解決という近世の社会体制が確立していくわけだが、それでも喧嘩両成敗的なものを求める心性はそうそうなくならない。その最たるものが赤穂事件だといえる。忠臣蔵が今でも人口に膾炙しているのは、こうした心性が今の日本人にも少なからず受け継がれていると言えるわけで、そう考えるととてもおもしろい。

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2013/06/19

室町~江戸時代の人々の行動様式を知ることが出来る本。 昔の日本人は武士も農民も実はヒャッハーな人達が多かったと知り驚きです。 現代の感覚からしたらその程度でって理由でも簡単に切りつけるし、切りつけられたら当然のように切り返す。 それも当事者にとどまらず身内、同郷であればお構いな...

室町~江戸時代の人々の行動様式を知ることが出来る本。 昔の日本人は武士も農民も実はヒャッハーな人達が多かったと知り驚きです。 現代の感覚からしたらその程度でって理由でも簡単に切りつけるし、切りつけられたら当然のように切り返す。 それも当事者にとどまらず身内、同郷であればお構いなしなあたりがすごい。 といっても強者が弱者に切りかかるのは恥ともとられてたらしく、時代劇などでよく見る武士が町人を無礼討ちする話は実はそうはなく、下手にすると指差されて笑われるくらいに恥ずかしい行為になる時もあったそうで、単に野蛮というわけではなく考え方が完全に違っていたようです。 また、復習としての切腹なんてものもあり、日本文化って面白いナーとおもえる一冊でした。

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2013/04/21

喧嘩両成敗がルール化される経緯に多くのページを割いています。室町期の過酷な自力救済の世界が具体例豊富に描かれており、戦国時代等に比べて、イメージがわきにくい室町期にも興味を持つようになりました。室町殿や朝廷の権威はありつつも、完全に実力をもって統治できていない時代の動学的な社会の...

喧嘩両成敗がルール化される経緯に多くのページを割いています。室町期の過酷な自力救済の世界が具体例豊富に描かれており、戦国時代等に比べて、イメージがわきにくい室町期にも興味を持つようになりました。室町殿や朝廷の権威はありつつも、完全に実力をもって統治できていない時代の動学的な社会の変化が、何とも面白いのです。

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