春になったら苺を摘みに の商品レビュー
普段狭い視野で生活している自分の世界が少し広がった気がした。 人と人との向き合い方、いろんなバックグランドがあるなかで、たとえ理解できないものであっても、尊重する姿勢を持っていたいと感じた。
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三浦しをんさんの三四郎~より至。 梨木さんにとっての人生の宝物が、この一冊に集約されているのかなと、タイトルの意味を知って深く感じました。英国、北米など描かれている情景も綺麗で、想像の中で楽しめました。この本を通じて一緒にまだまだ旅したいと思えるような一冊でした。
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著者がイギリスで経験した多くの人との交流を,素晴らしい筆力が書き留めた楽しめる文章が満載だ.ウェスト夫人のキャラクターは凄いレベルの包容力が醸し出すものが基本になっているようだ.それにしても,多くの人との交流をうまくこなすのは,大変な苦労があったと推察するが,一人でやってのけるバ...
著者がイギリスで経験した多くの人との交流を,素晴らしい筆力が書き留めた楽しめる文章が満載だ.ウェスト夫人のキャラクターは凄いレベルの包容力が醸し出すものが基本になっているようだ.それにしても,多くの人との交流をうまくこなすのは,大変な苦労があったと推察するが,一人でやってのけるバイタリティーは特筆ものだ.イギリス社会の奥深さを実感する場面が多くあったが,未だに訪れたことがないので,機会を作りたいと思った.
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著者が学生時代に英国へ留学した先で出会った人々やそこでの交流、感じたことを綴った初エッセイ。 梨木香歩さんの作品は好きで何冊も読んでいます。フィクションからも感じ取れるのですが、鋭い観察眼や落ち着きある文体は、このような常日頃からの視点や海外での経験があったからなんだと腑に落ち...
著者が学生時代に英国へ留学した先で出会った人々やそこでの交流、感じたことを綴った初エッセイ。 梨木香歩さんの作品は好きで何冊も読んでいます。フィクションからも感じ取れるのですが、鋭い観察眼や落ち着きある文体は、このような常日頃からの視点や海外での経験があったからなんだと腑に落ちるようなエピソードが多く描かれていました。 梨木さんの留学先であるウェスト夫人がきりもりする下宿所。ここには様々な国籍の学生たちが異なるルーツ・文化・思想を抱えてやってきます。 いわゆる“違う者同士”が集まる一つ屋根の下で、ウェスト夫人は彼らを等身大で受け入れ接します。来る者を拒まず、去る者を追わず。一人一人を気に掛けながらも適度な距離をたもつウェスト夫人の人との接し方や振る舞い、さりげない気遣い、優しさとユーモアを併せ持つおおらかさは読者としても気持ちの良いものだし感心することばかりです。そんなウェスト夫人と、彼女のもとに立ち寄り去って行った多くの下宿者たちの様子を、梨木さんは大局的に、鋭くも優しい眼差しで切り取っていきます。 全てを捨てて犯罪者である恋人の背中を追ったジョー、気さくに交流していた日々が一変し一国の王となったアダ、一夜にして町中の嫌われ者となったベティなど。ウェスト夫人はそんな彼らを前に困ったり、傷ついたり、不快に感じたりしますが、「理解はできないが受け容れる」姿勢を崩しません。彼らの考えをまるっと受け容れ寄り添います。 全体を通して感じたのは「違い」。 親友でも、恋人でも、家族だとしても、自分自身とは違う人間です。自分には自分のルールがあるように、他人には他人のルールがあります。会話によって埋まる溝もあれば、歩み寄りの域をとうに越えた深い深い溝もあります。深い深い溝に対峙したときにどう対処するか。このエッセイにはそのヒントが書かれていました。 狭い世界でも広い世界でも、ギスギスとした緊張が続く毎日。自身と相容れない思想に対し壁をつくり、反発し、敵視し、ついには排除しようと躍起になるのは簡単ですが、「なぜ?」という疑問を常に抱えながら一度立ち止まる冷静な姿勢が、今後ますます必要な世の中になってくるように思います。 柔らかなタイトルと留学先の日常という舞台に反し、深く考えさせられる内容が詰まっていました。 ================== 「世界は、相変わらず迷走を続け、そして私もその中にいる。」 「理解はできないが受け容れる。ということを、観念上だけのものにしない、ということ。」
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日本の田舎に閉じ籠っている私に、ちょっぴり刺激的でふんわりとした優しい風を吹き込んでくれた! 梨木さんが若い頃下宿していた英国の女主人と、その下宿先等で出逢った人達との交友記。 色んな国の老若男女との異人種交流。 楽しいことばかりではなく、時に緊張に満ちていて、価値観や倫理観の違いに驚かされる。 世の中には人種や障害の有無等様々な境界が存在する。 自分とは「異なる」相手の全てを理解することは限界があり「理解はできないが受け容れる」の考え方に共感した。 梨木さんの描く物語の礎がここに詰まっている。
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やっぱり、梨木香歩さんのエッセイが好き。 丁寧で、物事をよく見て、人の話をよく聞いてる。 中学生のときに読んで感動した「西の魔女が死んだ」、どうやったらあんな本が書けるんだろうと思ってたけど、このエッセイを読んでなんか納得。 イギリスの郊外で毎日丁寧に大切に日々を過ごしていたんだ...
やっぱり、梨木香歩さんのエッセイが好き。 丁寧で、物事をよく見て、人の話をよく聞いてる。 中学生のときに読んで感動した「西の魔女が死んだ」、どうやったらあんな本が書けるんだろうと思ってたけど、このエッセイを読んでなんか納得。 イギリスの郊外で毎日丁寧に大切に日々を過ごしていたんだなぁと。 私は1年間ロンドンに暮らしてたけど、こんなエッセイ書けないわ。笑
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理解できないが受け容れる、 異文化間で感じるのは生きるうえでの究極みたいなところ。 一番好きなのはここ 「ただひたすら信じること、それによって生み出される推進力と、自分の信念に絶えず冷静に疑問を突きつけることによる負荷。 相反するベクトルを、互いの力を損なわないような形...
理解できないが受け容れる、 異文化間で感じるのは生きるうえでの究極みたいなところ。 一番好きなのはここ 「ただひたすら信じること、それによって生み出される推進力と、自分の信念に絶えず冷静に疑問を突きつけることによる負荷。 相反するベクトルを、互いの力を損なわないような形で一人の人間の中に内在させることは可能なのだろうか。その人間の内部を引き裂くことなく。豊かな調和を保つことは。」
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※このレビューにはネタバレを含みます
著者の学生時代の英国での下宿話を中心としたエッセイ。 その中では様々な人種・考え方の人と暮らしていく中でみにつけた(もしくは本質的な本人の性質としての)、ウエスト夫人の生き方から 著者が感じたこと・学んだことが描かれている。 英国人の気質・外国で外国人として生きるということ・日本人とは、、、など 随所に考えらせられることがたくさん。
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世の中にはいろんな人がいるんだ、ということ。たとえその人をどうしても理解できないし受け入れられなくても、その人はただ世界中にたくさんいる‘いろんな人’の1人でしかないことをしっかり理解すること。 世界をしっかりと見つめ、理解するにはまずそこから始めなければならない。ものすごくエネ...
世の中にはいろんな人がいるんだ、ということ。たとえその人をどうしても理解できないし受け入れられなくても、その人はただ世界中にたくさんいる‘いろんな人’の1人でしかないことをしっかり理解すること。 世界をしっかりと見つめ、理解するにはまずそこから始めなければならない。ものすごくエネルギーが要りそうだけど、ものすごく淡々と描かれているのがかっこいい。
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英国、米国、カナダにおいて、日本人の著者が様々な人々と出会い、その土地ならではの体験を綴ったエッセイ。旅をすること、異文化に触れることは、その人に多くの発見と気づきを与え、感性を養い、人生を豊かにするものだ。
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