水曜の朝、午前三時 の商品レビュー
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病床の母が娘に遺したビデオレター。中身は、母の恋物語だった。 日本中が熱狂した万国博覧会がその時代。時代描写がみごとだった。 母のビデオレターの最後の「もちろん、旅の途中には多くの困難があるでしょう。中には嫉妬や憎悪、悪意など、あらゆるマイナスの感情を持って、あなたの冒険を邪魔しにかかる人間もいるでしょう。私の前にも、そんな人たちが何人も現れました。そのたびに、私はいちいち彼らを憎んだり恨んだりしたものだけれど、あまでは感謝さえしています。皮肉で言うのではなく、ああした人たちがいなかったり、せっかくの宝探しもひどく味気ないものになっていたと思うから。」 彼女の人生観がすべてつまっている一言であるとおもった。とっても、共感できる一文だと思った。
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久しぶりにぐいぐいと引き込まれる物語だった。 時代背景は70年代だけれども、いまでも十分楽しめる。 とにかく切ない。切ない気分になりたい方にオススメ。
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「程度の差こそあれ、胸の内にほかの誰かを描かない既婚者などいるはずがない。」(抜粋) という言葉が、心に残ります。そんな経験をした人は、きっと胸が痛くなります。 人生におけるあらゆる決断において、どちらが正しかったかなんて結論出せないけれど、人は常にあらゆる決断にさらされ...
「程度の差こそあれ、胸の内にほかの誰かを描かない既婚者などいるはずがない。」(抜粋) という言葉が、心に残ります。そんな経験をした人は、きっと胸が痛くなります。 人生におけるあらゆる決断において、どちらが正しかったかなんて結論出せないけれど、人は常にあらゆる決断にさらされている、ということに気づかされました。 ただ、あたくしは万博世代じゃないからかもしれませんが、他の言う人のように、涙が止まらなくなる、というところまではいかなかった。 だけど、読まずにはいられない、情景がぱっと目の前に広がる素敵な文章だと思います。
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私の本棚からサヨナラすることがないだろう小説と出会ってしまった 「錦秋」を読んだ時の衝撃と同じものを感じている 昨日から読み始めて、さっきまで一気に読んだ もうもうもう、止まらなかった 「蓮見圭一」という作家も失礼ながら知らなかった なんでこの本を手にとったかと言うと、文庫の帯...
私の本棚からサヨナラすることがないだろう小説と出会ってしまった 「錦秋」を読んだ時の衝撃と同じものを感じている 昨日から読み始めて、さっきまで一気に読んだ もうもうもう、止まらなかった 「蓮見圭一」という作家も失礼ながら知らなかった なんでこの本を手にとったかと言うと、文庫の帯に 「こんな恋愛小説を待ち焦がれていた。わたしは、飛行機のなかで、 涙がとまらなくなった・・・・・・・」 と俳優の児玉清氏の言葉が書かれていたからだ・・・ 児玉清氏は大変な読書家で知られている そんな彼が言うのだから、いい小説に違いないと思い買ってしまった この帯の言葉が無かったら、多分、きっと私の手元には無かったでしょう この感動?今感じてる思いを正確に伝えるには、私にはあまりにも 言葉が足りなすぎる・・・ 児玉氏が言う「涙がとまらない」って言う表現がピッタリかも知れない 泣いた、泣いた、泣いた・・・ なんでこんなに哀しいんだろう 哀しいけど、だからこそ愛しいもの お互いに愛し合っていても、この世の中には「超えられないもの」があるのかな? それは70年代だったから?(小説の舞台が70年代) 今なら、越えられるのかな? いや、今でも難しいと思う・・・哀しい思いをしてきた友達を見てきたから・・・ こういう本や話を聞いたりすると、近くなっていた距離をまた遠くに感じてしまう でも、このままじゃダメだよね・・・ 私ならどうする? 分からない・・・難しい・・・でも・・・ また、しばらくしてゆっくりとページをめくりたい1冊になりました
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大阪万博のあの時代が、蘇る。母の過去の思い出っていうプロットは、「マディソン郡の橋」にも共通する。せつない恋のお話。 いつの世にもあるのだけれど。
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普通、かなぁ。 児玉清氏の帯の書評に惹かれて読んでみましたが、全然泣けず。 うーん、時代かなぁ? 確かに、高度成長期時代の、あのどきどきするような感じにはノスタルジアを感じます。 良い時代でしたね、大阪万博。 個人的には、主人公の打算的な生き方が結構好きでした。 打算的という...
普通、かなぁ。 児玉清氏の帯の書評に惹かれて読んでみましたが、全然泣けず。 うーん、時代かなぁ? 確かに、高度成長期時代の、あのどきどきするような感じにはノスタルジアを感じます。 良い時代でしたね、大阪万博。 個人的には、主人公の打算的な生き方が結構好きでした。 打算的というか、論理的というか。 あと、自分の内の声にきちんと耳を傾けているところとか。
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池上冬樹氏の解説には 本書はオールド ファッションド ラブソングである。 人間たちが味わう感情、その喜びと不安と哀しみを切実に響かせて、ときにエモーショナルに、ときに内省に沈み、人生の宝探しにおいて必要な豊かな感情と、そして指針となるべき思索をさずけてくれるのである。 とあります。 とてもいい小説。 人生のいろいろな苦労、回り道はすべて、人生の宝物を見つけるためのもの。 主人公は感情の人ですが、共感はもてます。 前向きに生きていける とてもいい作品でした。。
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死に際に残したカセットテープで、かつての恋人との恋話を告白… ただそれだけの話最後まで大した盛り上がりもないまま終わった感じの物語。 結局、葉子さんは、直美と臼井さんとの子供ってことなんだろうけど、だとすると、それを知らずに葉子を育ててくれた父親が一番可哀想。 いろいろ詰っ込みど...
死に際に残したカセットテープで、かつての恋人との恋話を告白… ただそれだけの話最後まで大した盛り上がりもないまま終わった感じの物語。 結局、葉子さんは、直美と臼井さんとの子供ってことなんだろうけど、だとすると、それを知らずに葉子を育ててくれた父親が一番可哀想。 いろいろ詰っ込みどころあるけど、せめて母親が死にそうならば、娘はニューヨークから帰国するべきじゃないかと思った。
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45歳の若さで逝った翻訳家・詩人であった直美が、娘のために遺した4巻のテープ。 もう長くはない、そう悟った彼女がテープに吹き込んだのは彼女自身の人生と、娘に向けた強くて逞しい言葉の数々でした。 直美が語った『もしかしたら有り得たかもしれないもう一つの人生』。 1970年の大阪...
45歳の若さで逝った翻訳家・詩人であった直美が、娘のために遺した4巻のテープ。 もう長くはない、そう悟った彼女がテープに吹き込んだのは彼女自身の人生と、娘に向けた強くて逞しい言葉の数々でした。 直美が語った『もしかしたら有り得たかもしれないもう一つの人生』。 1970年の大阪万博の夏---自由を求めるという時代の流れの中で、直美もまた宝物のような何かを探していました。 万博の最中、彼女が出会ったのは、『ちょうどいい時期に、ちょうどいい場所にいてくれた』理想の恋人・臼井礼という将来を嘱望された青年だったのです。 本作のテーマの根幹にあるのは、テープに遺された『無惨な恋』と、差別・許されるはずもない過去と、ひとつの死。 日ごと近づいて来る死を前にして、自分の四半世紀にも及ぶ人生を振り返った時。 『私はどんな宝物を見つけたのでしょう?』という自らの問いに、直美ははっきりと、テープの最後で答えを提示しています。 彼女が遺した最後の言葉は、死を受け入れている人間とは到底思えないほどに力強く、慈愛に満ちたもののように感じました。 直美の告白という形で物語は進みながらも、当時の人間関係や各々の心情を正確に描き分ける文体は、とても精錬されていて美しいとさえ思いました。 そして、直美が娘に向けて遺した言葉は、まるで読者に対して向けられているような錯覚を覚えてしまうのです。 とても好きな物語でした。 流麗で穏やかな筆致が、物語の本質的な美しさに華を添えています。
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ひとりの女性の強さ、プライド、弱さ、切なさにぴったりと寄り添うように引き込まれていく内容。たぶん30代になった今読むと、また違った感想になりそうだけど、20代半ばで読んだ時は強烈な印象で何度も読み返した。女の強さとは、人生の幸せとは、愛情とは、決断するということはどういうことなの...
ひとりの女性の強さ、プライド、弱さ、切なさにぴったりと寄り添うように引き込まれていく内容。たぶん30代になった今読むと、また違った感想になりそうだけど、20代半ばで読んだ時は強烈な印象で何度も読み返した。女の強さとは、人生の幸せとは、愛情とは、決断するということはどういうことなのか、いろんな人の人生が激しく交錯する昭和の時代を舞台に、読み手の心も揺さぶられるはず。
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