オリガ・モリソヴナの反語法 の商品レビュー
世間での評価は高いが,私はそこまで評価しなかった。 ・本作はミステリー要素含めたフィクション仕立てとなっているが,話を進めるための都合の良さが見えてしまう。 ・短編『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』と比較して,冗長でキレに欠ける。 ・ラーゲリについてはよく調べられていると思う...
世間での評価は高いが,私はそこまで評価しなかった。 ・本作はミステリー要素含めたフィクション仕立てとなっているが,話を進めるための都合の良さが見えてしまう。 ・短編『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』と比較して,冗長でキレに欠ける。 ・ラーゲリについてはよく調べられていると思うが,登場人物の反応が俯瞰的にとどまっている印象。 ・反語法のもつ魅力が生かされていたのは冒頭くらいだと思う。 ・本作が感動作であるは私も保証できるところだが,私は感動は陳腐に成り下がる要因だと考えている。
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人との繋がり。 旦那氏が買ってきた本。 米原万里さんのエッセイを読んだことがあったので気になって読んだ。 旦那氏は読みにくかったらしいけど、わたしはとても読みやすかった。(笑) 人物がたくさん出てくるけど、なんとなく覚えていれば大丈夫。 赤毛のアン好きな人は好きだと思う。 主人公がソビエト学校に通っていた時の強烈なダンスの先生(オリガ・モリソヴナ)の過去の謎を解いていく物語。 どんどん新しい事実が判明していって、先が気になる。 ダンサーをしていたけど、外国人と結婚をしたことから政府に捕まり、多くの人たちと収容所で過ごし、また日常生活を取り戻す、大変な人生を送ってきた人(たぶんこんな感じ。。)、ということが、当時の記録などでわかってくる。 いまの平和な世界じゃ考えられない非人道的なことが行われている。これが本当にあったことなんて。 そんな中でも、どうにか強く生き延びようとしたオリガ・モリソヴナの行動、それが周りの人々に与えた影響はとても大きかった。 主人公が日本に帰ってきて、日本の‘みんなが平等’の義務教育に馴染めなかった描写にハッとさせられた。 子どもの頃は当たり前だと思っていたから不思議に思わずに受け入れていたけど、いま思うとたしかに個性は潰されてたな〜と。 自分の意見を自分の言葉で発するの苦手だし、将来どうなりたいのか明確な目標がなかった(いまも特段ないけど…)もんな。 だからといって、日本の教育でしか得られないものを得られたとは思っていたりもする。。 正解はないからいろいろ試してみるしかないのよね。(誰)
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3つの時代、複数の国を行き来する壮大なストーリー。ページ数の分厚さに見合った、重厚な読了感。 スターリン時代の歴史に詳しければより楽しめるかも。
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(2005年に別のところに書いたレビューの転載) 文庫になってからやっと手を出したなんておそすぎた! と後悔の嵐です。あっというまに物語の世界に引きずり込まれ、寸暇を惜しんで読み終えてしまいました。米原万里女史のはじめての長編小説ですが、まるで本場ロシア小説さながらの個性あふれ...
(2005年に別のところに書いたレビューの転載) 文庫になってからやっと手を出したなんておそすぎた! と後悔の嵐です。あっというまに物語の世界に引きずり込まれ、寸暇を惜しんで読み終えてしまいました。米原万里女史のはじめての長編小説ですが、まるで本場ロシア小説さながらの個性あふれる登場人物に、それぞれの人生をつないで二重三重、縦横に緻密に張り巡らされた物語は、舞踊教師オリガ・モリソヴナの半生を追うミステリーであると同時に近現代ロシアの現実のノン・フィクションもたっぷり読ませてくれます。最後まで気を緩めることなくクライマックスもじゅうぶんですし、タイトルを見て手に取ったときには想像もつかなかった深く重い内容でありながら、なぜかさわやかな読後感です。 久々に小説らしい小説をじっくり楽しめて大満足です。
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劇的謎解き大河。 登場人物を覚えるのが苦手な人間でも、最後まで混乱せず読めました。迷っている人には是非手にとって読み始めてほしいです。 読了後に単行本版の装丁を見て驚きました。 私には、文庫版で削られている部分にこそ、表紙絵である意味があるように思えました。
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それなりにページ数がある本ですが、一気に読み終えてしまいました。 それにしても、プーチン大統領がKBG出身だったことを知らず、びっくりしました…
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1960年代、当時のチェコスロバキアのソビエト学校で学んでいた日本人、シーマ力が主人公である。通っていたプラハ・ソビエト学校にいた、オリガ・モリソヴナを中心とした各登場人物の謎を、ソ連崩壊直後のロシアにて次々に究明していく物語。なによりも時代考証が凄まじい。謎解き要素だけでなく、...
1960年代、当時のチェコスロバキアのソビエト学校で学んでいた日本人、シーマ力が主人公である。通っていたプラハ・ソビエト学校にいた、オリガ・モリソヴナを中心とした各登場人物の謎を、ソ連崩壊直後のロシアにて次々に究明していく物語。なによりも時代考証が凄まじい。謎解き要素だけでなく、スターリン主義に巻き込まれた犠牲者の、悲痛な経験や思いがひしひしと伝わってくる構成となっている。予想よりも分厚いものだったが、読み応え満点だった。ほぼノンフィクションなフィクション。
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●積読書だったが、やっと読めた。読み出したら止まらない。土日を費やした。 ●今の国際情勢の時にソビエトの本を読むのは皮肉なものだけれど、本当に独特な国だと思う。 ●今の屈折した結果も過去のしがらみが要因とも言えるし… ●一時期に、米原さんの本を集中的に買って読んだが、これがその最...
●積読書だったが、やっと読めた。読み出したら止まらない。土日を費やした。 ●今の国際情勢の時にソビエトの本を読むのは皮肉なものだけれど、本当に独特な国だと思う。 ●今の屈折した結果も過去のしがらみが要因とも言えるし… ●一時期に、米原さんの本を集中的に買って読んだが、これがその最後となる。 ●疾走感があるし、過去の描写が凄く細かくて圧倒される。情景が思い浮かぶ。
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前に読んだ嘘つきアーニャの真っ赤な真実が面白かったので読みました。登場人物が立っていて、著者の人間を見る目の鋭さに驚きます。最後まで読んだあとにもう一度読み返せばだれがなにをかんがえていたのかが推察できそうです。
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「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」が好きすぎて、この本を読みました。作品の中で描かれる歴史が残酷すぎて衝撃でしたが、オリガ・モリソヴナが何者か解明していくのが気になって最後まで読みました。作品を通して、酷い歴史は繰り返されてはならないというメッセージも感じられました。
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