オリガ・モリソヴナの反語法 の商品レビュー
プラハのソビエト学校で舞踊教師のオリガ・モリソヴナに魅了してしまう志摩。 大人になりモスクワで同級生だったカーチャとオリガの人生の謎解きに挑む。 スターリン時代の過酷な時代をオリガたちはどうやって生き延びたのか? 暗い過去の話も出てきますが志摩とカーチャ、そして彼女たちを助ける...
プラハのソビエト学校で舞踊教師のオリガ・モリソヴナに魅了してしまう志摩。 大人になりモスクワで同級生だったカーチャとオリガの人生の謎解きに挑む。 スターリン時代の過酷な時代をオリガたちはどうやって生き延びたのか? 暗い過去の話も出てきますが志摩とカーチャ、そして彼女たちを助ける仲間たちが本当に生き生きとしていて面白かったです。
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ブクログユーザーの感想から見つけて、タイトルの謎さに惹かれて手に取ったこの本。ミステリー要素も、ストーリー展開もよく、映像も浮かび上がるような文章。最高の読後感。良い出会いだった! ソ連のスターリン政権下に生きる人々の壮大で悲しい物語。オリガモリゾウナをめぐる謎解きにはシーマチ...
ブクログユーザーの感想から見つけて、タイトルの謎さに惹かれて手に取ったこの本。ミステリー要素も、ストーリー展開もよく、映像も浮かび上がるような文章。最高の読後感。良い出会いだった! ソ連のスターリン政権下に生きる人々の壮大で悲しい物語。オリガモリゾウナをめぐる謎解きにはシーマチカと一緒に引き込まれた。生き残った人たちの記憶や手記などの記録から、当時を辿り謎を解いていく展開にはワクワクしながらも苦しくて悲しい気持ちにもさせられた。 スターリンの時代、粛清対象となった夫から突然引き離され、夫と同じく粛清対象で収容所送りになる妻たち、さらに親から引き離されルー幼子たち(名前まで奪われる)。突然、家族がバラバラに引き裂かれてしまう。ソ連崩壊後も、あてがなく、記録も無いので、簡単には元の生活に戻ることができない。こんな悲しく酷い歴史があったのかと心が痛んだ。 それでも、自分たちの人生を取り戻していく人々の強さに、こちらも勇気づけられた。 またオリガモリゾウナの姉妹のシーンは、悲しみもありながら、強く生きる決意も感じた。意志の強い姉妹は良いね。。
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500ページ近い長編だったが、推理小説のようにワクワクしながら一気に読み終えた。先に『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を読んでいたから背景もよくわかった。 私自身もモスクワに留学した経験があるので、アルバート通り、トヴェルスカヤ通り、フルンゼンスカヤ駅、マヤコフスキイ広場など、懐か...
500ページ近い長編だったが、推理小説のようにワクワクしながら一気に読み終えた。先に『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を読んでいたから背景もよくわかった。 私自身もモスクワに留学した経験があるので、アルバート通り、トヴェルスカヤ通り、フルンゼンスカヤ駅、マヤコフスキイ広場など、懐かしい地名ばかりで、久しぶりに当時使っていたモスクワの地図を開いた。また、冷戦時代、チェコスロヴァキアにペンフレンドがいて、楽しく手紙のやり取りをしていたことをふと思い出した。いつの間にかどちらともなく連絡が途絶えてしまったが、彼女は今どうしているだろう?ビロード革命を乗り切って幸せに暮らしていて欲しいと思う。 巻末の池澤夏樹氏との対談、亀山郁夫先生の解説も含めて大いに楽しめた1冊だった。いつものことながら米原さんの博識、読書量、言葉のセンス(下ネタのセンス?)には感心する。対談の最後に述べておられる、アルジェリアの少年をモデルにした作品を是非実現してほしかった。筆者の早逝が悔やまれる。
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米原万里さんの本は2冊目。嘘つきアーニャ…と同じように一気に読ませる。強引なところや粗いところはもちろんあるけれど、それを上回る引き付ける力があって読み始めたら止まらない。スターリン政権末期のチェコが舞台。時代の大きな流れに圧倒される感もあった。 日本のバレエ界の内実を批判するよ...
米原万里さんの本は2冊目。嘘つきアーニャ…と同じように一気に読ませる。強引なところや粗いところはもちろんあるけれど、それを上回る引き付ける力があって読み始めたら止まらない。スターリン政権末期のチェコが舞台。時代の大きな流れに圧倒される感もあった。 日本のバレエ界の内実を批判するような部分もあった。蛇足のようでもあり、下世話な好奇心を刺激されて妙に面白くもあった。 嘘つきアーニャをもう一度読み返したい。
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米原万里のエッセイをたくさん読んでいたことがあって文体に馴染みがある。その経験と背景が思う存分生かされて書かれてる。オリガモリソヴナのぶっ飛んだキャラクター性も、理不尽で過酷なラーゲリで女性達が逞しく生きていくのも当時のロシアならありそう。一人の人生に焦点を追って見えてくるミステ...
米原万里のエッセイをたくさん読んでいたことがあって文体に馴染みがある。その経験と背景が思う存分生かされて書かれてる。オリガモリソヴナのぶっ飛んだキャラクター性も、理不尽で過酷なラーゲリで女性達が逞しく生きていくのも当時のロシアならありそう。一人の人生に焦点を追って見えてくるミステリ感も面白いし、何より女性達の会話や生活が生き生きとしていて読み応えがある。
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※このレビューにはネタバレを含みます
あの人は誰だったのか——。 志摩は、プラハのソビエト学校にいた舞踊教師オリガ・モリソヴナのことを考える。エネルギーに満ちた恩師は、謎も多かった。あの頃から30年経ち、ソビエトが崩壊したモスクワで、志摩がたどる歴史。 一気に読んでしまった。志摩のソビエト学校時代の友人たちの魅力に、細い糸を辿っていく謎解きに、明かされるラーゲリの生活に、ページをめくる手を止めることができなかった。限られた滞在期間をめいいっぱい使う志摩も、再会したカーチャも、謎解きに参加するナターシャやマリヤ・イワノヴナも、大きな情報をくれるガリーナも、ついに現れたジーナも、そしてもちろんオリガ・モリソヴナも皆エネルギーに満ちていて、その言葉がイキイキと聞こえてくる。そのほとんどがセリフやモノローグ、手記で進むこの作品は、実に多くの声が聞こえてくる。誰もが自分の人生に誠実にあろうと、飲み込めないような苦いものを飲み込んで生きている。 作者の自伝的要素もありながら、資料に基づいて書かれたフィクションである。だからこそ、とてもリアルだった。迫ってくるものがあった。
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著者の幼少期の体験をヒントにした小説。粛清、密告、恐怖政治、… 参考文献の厚さ。能登ボランティアのバス中でも読んでしまう展開。読み急ぎたくなる、参考文献も読みたくなる面白さ。あとでじっくり読み返そうと思いながら飛ばし読みしたが、読了して種明かし後は次の本を読みたくなっている。
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「良かったら話してみない。なぜダンサーにならなかったのか」 「ならなかったじゃなくて、なれなかったのよ。才能が足りなかった……ううん、いいよ、慰めてくれなくて。自分が一番分かってるんだから」 「シーマチカの言い方には悔しさと未練がタップリ残ってるなあ。才能って素質の実現能力のことよ。どういう経緯でその方向で努力をするのをやめたの?」 . 「わたしはね、ダンサーになりたいんだ」 志摩がそう言っても、誰も身を入れて話に乗ってこない。受験一色に塗り固められた同級生たちの海に浮かぶ、今にも溺れそうな帆掛け船のような心境だった。◯╳や選択式テストには、人格を切り刻まれるような恐怖をおぼえた。 . 教室の片隅で、ひとり想像の中のオリガ・モリソヴナとやり取りしながら、フフフフと忍び笑をする。日本の授業は、ほとんど教師の一方的なモノローグに終始するから、ひとり想像にふけるにはもってこいだったともいえる。 . 「ああ、神様!これぞ神様が与えて下さった天文でなくてなんだろう、そこの眉目秀麗な神童!あたしゃ感動のあまり震えが止まらなくなるよ」 (中略)威勢がよくて、どことなく滑稽なオリガ・モリゾヴナの罵詈雑言を投げつけられると、何だかウキウキしてくる。 . 「えっ、もう一度言ってごらん。そこの天才少年!ぼくの考えでは……だって‼︎ フン、七面鳥もね、考えはあったらしいんだ。でもね、結局スープの出汁になっちまったんだ。分かった⁉︎」 また聞こえてきた。思わず吹きだしてしまう。その瞬間に思った。オリガ。モリソヴナの反語方は、悲劇を訴えていたのではなくて、悲劇を乗り越えるための手段だったのだ、と。 .
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小さい頃、世界をあるがまま受け入れていた。物事の機能も社会の仕組みも人間関係も、その複雑さを理解する経験も知識もなかったから。それでも、何故か理解出来ずに引っかかる記憶がある。あの時、母親はなぜ悲しんでいたのか、なぜ、先生は休暇から戻って来なかったのか。この小説は、人生のそんな謎...
小さい頃、世界をあるがまま受け入れていた。物事の機能も社会の仕組みも人間関係も、その複雑さを理解する経験も知識もなかったから。それでも、何故か理解出来ずに引っかかる記憶がある。あの時、母親はなぜ悲しんでいたのか、なぜ、先生は休暇から戻って来なかったのか。この小説は、人生のそんな謎解きを求めた内容。部隊はソ連、共産主義下。当たり前に粛清や拘束が行われた時代。あるダンサーでオールドファッションの先生を巡り。 悲しくも明るく。運命を受け入れながら、強く生き延びた人々。米原万里の半生と重なるが、フィクションである。この作家の小説は、生き様も性格も全てが物語に反映されていて、迫力が違う。 暫く積読していたが、読んで良かった。ロシアの話だからだろうか、冬によく合う小説だった。
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色んな意味で日本離れしてる作品。 どちらの立場でも考えられんということでしょうが、それでもソ連時代の国内統治はまぁ独裁ということですな。日本もそうだったように。 その中でも、庶民であっても懸命に生きないといけないんですなぁ、でないと何年も経ってこの作品の中の生き残った人たちのよう...
色んな意味で日本離れしてる作品。 どちらの立場でも考えられんということでしょうが、それでもソ連時代の国内統治はまぁ独裁ということですな。日本もそうだったように。 その中でも、庶民であっても懸命に生きないといけないんですなぁ、でないと何年も経ってこの作品の中の生き残った人たちのように「共有」できないのかと。 熱い作品です。
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