向田邦子の恋文 の商品レビュー
三分の一くらいが、邦子氏とN氏の手紙やメモ帳の引用である。後の三分の二は邦子氏の妹の和子さんによって、姉によせる回想である。邦子氏の恋文はアイシテルの恋シテルの云々ではなく、常に相手を思いやった情にあふれる手紙である。それに対してN氏は男性のためか時代がそうだったのかはわからない...
三分の一くらいが、邦子氏とN氏の手紙やメモ帳の引用である。後の三分の二は邦子氏の妹の和子さんによって、姉によせる回想である。邦子氏の恋文はアイシテルの恋シテルの云々ではなく、常に相手を思いやった情にあふれる手紙である。それに対してN氏は男性のためか時代がそうだったのかはわからないが、冷静である。邦子氏の料理を喜び二人がいい関係だったのがよくわかる。 しかし、果たして邦子氏(N氏もだが)は手紙が世に出ることをのぞんでいたのかは、どうしても思えない。N氏は自殺し、邦子氏も不慮の事故によって亡くなっている。そのことが、恋文として公になってしまっている。どうしようもない無力さを感じる。
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家族もうかがい知れなかった姉の秘めた恋。向田ドラマの原点と、男女の間にある「何か」を感じられる一冊。
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