破戒 の商品レビュー
高校生の頃に課題図書として一度読んだ。 今回、ゆかりの地に行くことになったのでせっかくなので再読。 前は多分感想文書かなきゃだったから、差別が云々みたいな感じで書いたと思う。読んだ感想としても暗いとか思いとかそういう印象しか残ってなかった。内容すら覚えてなかった。(物覚えが悪い...
高校生の頃に課題図書として一度読んだ。 今回、ゆかりの地に行くことになったのでせっかくなので再読。 前は多分感想文書かなきゃだったから、差別が云々みたいな感じで書いたと思う。読んだ感想としても暗いとか思いとかそういう印象しか残ってなかった。内容すら覚えてなかった。(物覚えが悪いのでいつものことだけど。) で、再読してみて。面白かった。読みにくいんだけど、難しくはないし。 途中うつうつとした丑松にもどかしく思うところもあったけど。教え子に慕われ、周りの人にも恵まれる、人間関係も面白かった。 お志保のひたむきでかわいい感じもよかった。弱々しいのかと思いきや、強くてすてきだ。恋愛のあたりはあまり描写されないのも、それはそれでいい。 友人の銀之助も好きだ。悩みを打ち明けられなくても、丑松を信じ支えようとしているのがいい。 丑松の故郷への道中の描写も心に残った。電車内で読んでたから余計にそう感じたのかもしれない。 丑松の今後はどうなるんだろう。行き先海外だし想像が及ばないので、なんとなく不思議な余韻が残った。 島崎藤村ゆかりの地で、もう少し勉強をして、他のも読みたいとおもう。
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明治に四民平等が制度化されたが、それを契機に部落差別が激しくなったことは史実として間違いない。 江戸時代は、身分制度に基づく封建社会であったが、その身分毎の役割が明確化され、且つ身分の間での補完関係が成り立ち、幸せ度が高かった社会だといわれている。また互助互恵の精神も社会に根付い...
明治に四民平等が制度化されたが、それを契機に部落差別が激しくなったことは史実として間違いない。 江戸時代は、身分制度に基づく封建社会であったが、その身分毎の役割が明確化され、且つ身分の間での補完関係が成り立ち、幸せ度が高かった社会だといわれている。また互助互恵の精神も社会に根付いていた。 『破戒』は、欧米化を急ぐ明治維新時の負の部分を取り上げ、社会に大きな影響を与えた。 主人公の丑松の心情や舞台となる長野の情景を見事に描いており、本著は間違いなく傑作。
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ひとに勧められ、新年早々、島崎藤村の『破戒』を読みました。ディープなテーマで暗い気持ちになるかと思いきやそんなことなく。 一文一文、言葉の選び方がすごく丁寧で、すんなり頭の中に入ってきて、丑松の気持ちの変化はもちろん、長野の田舎の風景とか、校長室で悪巧みしてる光景とか、蓮華寺も...
ひとに勧められ、新年早々、島崎藤村の『破戒』を読みました。ディープなテーマで暗い気持ちになるかと思いきやそんなことなく。 一文一文、言葉の選び方がすごく丁寧で、すんなり頭の中に入ってきて、丑松の気持ちの変化はもちろん、長野の田舎の風景とか、校長室で悪巧みしてる光景とか、蓮華寺も、敬之進と飲んだ居酒屋も、細かい場面まで、そこで観ているかのような感覚で、最後まで飽きることなく読みました。 なかでも、 叔父さんから、お父さんが亡くなったときの話を聞くところ 仙太とダブルスを組んでテニスをするところ 丑松が夢のなかで無意識にお志保の顔を思い浮かべたところ 銀之助の最後の宿直の夜に、丑松と話をするところ がすきでした。 わりと序盤。 あと銀之助がとことん良い奴でした。 もう一回読みたいです。
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藤村は「こんな時代もあったと思って読んで欲しい」と云うような意味の事を言っているが、今も尚残る様々な差別を考えるとそのまま現代の問題とも受け取れる。 人に伏せなければならない秘密を心に抱えて苦しんでいる人には是非読んで欲しい作品。丑松が告白を決心する場面は思わず涙ぐんだ。 そし...
藤村は「こんな時代もあったと思って読んで欲しい」と云うような意味の事を言っているが、今も尚残る様々な差別を考えるとそのまま現代の問題とも受け取れる。 人に伏せなければならない秘密を心に抱えて苦しんでいる人には是非読んで欲しい作品。丑松が告白を決心する場面は思わず涙ぐんだ。 そして別な面としては山々の描写が非常に魅力的だった。山の姿をずっと見てきた人にしか書けない文章ではないかと思う。語りかけるような口調も印象的。
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annex ~小説のススメ~ 爆笑問題 太田光:スミスの本棚:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京 http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/2010/12/post115115.html
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教科書に載せるには問題があるのかもしれないけれど、知っておいてもらいたい歴史であると思います。人間ってね…。
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島崎藤村といへば... その一。高校生の時分に、藤村が夢に登場しました。家の押入れの中からひよつこり現れるといふイムパクトの強い夢だつたため、それを元に短篇小説を書き、所属する同人誌に掲載したところ、案外な好評を得ました。 その二。やはり高校生時代、修学旅行で、バスガイドさんが小...
島崎藤村といへば... その一。高校生の時分に、藤村が夢に登場しました。家の押入れの中からひよつこり現れるといふイムパクトの強い夢だつたため、それを元に短篇小説を書き、所属する同人誌に掲載したところ、案外な好評を得ました。 その二。やはり高校生時代、修学旅行で、バスガイドさんが小諸にて「島崎藤村を記念した、ふじむら記念館です」と案内しました。 重いテエマの作品ゆゑ、思はずくだらない過去を告白してしまひました。瀬川丑松の告白とは雲泥の差でありますが。 部落出身の瀬川丑松は、亡父からその出自を「隠せ」と言はれ、戒めを守つてゐました。 しかし同じく部落出身の活動家・猪子連太郎の衝撃的な死をきつかけに、丑松の心は荒波のやうに揺れるのであります... 明治の世には「新平民」差別はあからさまだつたので、かういふこともあるのだなと得心もしませう。しかし以前勤務してゐた会社で、関西方面へ転勤する社員に対して「同和問題」の講義をしてから異動させるなんてこともありましたので、今でも差別は根強く残つてゐるのでせう。 求人広告に添付する「履歴書」の内容からして、東海地区と違ふのです。 瀬川丑松が生徒たちに告げるシーンでは、そのあまりにも卑屈な態度に疑義をはさむ人もゐますが、それこそが時代背景なのだと申せませう。 まあ、一度読んでみてと申し上げて、この稿を終ります。おやすみなさい。 http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11373113301.html
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面白かったし読みやすかったのだけど、結末についてはこんなに上手くいくものだろうかと疑問に思う。丑松の破戒も飽くまで小説的だと感じた。当時のことを詳しく知りたいと思った。銀之助が最後まで良き友だったことが意外…。
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穢多である小学校教師丑松が、思想家?の猪瀬蓮太郎との関わり等から自らの境遇について苦悩する話。 同和教育なんてなんでするんだろうと思っていたが、穢多は違う人種とまで言われているのに衝撃を受けた。 今でこそ多様性という言葉が普及しているが、長い間差別の対象と見做してきた感覚は、...
穢多である小学校教師丑松が、思想家?の猪瀬蓮太郎との関わり等から自らの境遇について苦悩する話。 同和教育なんてなんでするんだろうと思っていたが、穢多は違う人種とまで言われているのに衝撃を受けた。 今でこそ多様性という言葉が普及しているが、長い間差別の対象と見做してきた感覚は、なかなか変えることは難しいかったのだろう。
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この上なくマンガのほうがおもしろい。 小説は、人物がたいして丁寧に描かれてない。「罪と罰」の劣化版コピーではないか。
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