破戒 の商品レビュー
学生時代文学史で習ったものの、実際に読むのは初めて。身分の差、部落出身ということがここまで個人の人生に重くのしかかる時代。現代でも当然差別はあるが、今の時代に感謝。丑松はテキサスに行って、向こうで納得できる人生を送ったのか、とその後が気になる。
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瀬川丑松は小諸出身の小学校教員であり、部落民である。彼は父の「隠せ」という戒めを厳に守り、一般の人々に紛れて生活をしていた。 しかし、同じ部落民の猪子連太郎の生き様に触れ、彼と交流するうちに、自分の出自について告白をしようという思いを徐々にあらわにし始める。 父の戒めを守...
瀬川丑松は小諸出身の小学校教員であり、部落民である。彼は父の「隠せ」という戒めを厳に守り、一般の人々に紛れて生活をしていた。 しかし、同じ部落民の猪子連太郎の生き様に触れ、彼と交流するうちに、自分の出自について告白をしようという思いを徐々にあらわにし始める。 父の戒めを守るか、告白(=破戒)をするか、様々な思いに揺れ動くなか、丑松の下した決断は…? ****** 世が日露戦争のさなか、島崎藤村が「人生の従軍記者」にならんと考えて執筆、自費出版した力作。発表当時から、現在にいたるまで、文学の世界ではその賛否が大いに議論されてきた作品である。(研究点数は、ゆうに300本を越える。) また、いわゆる「部落問題」を文学のテーマとして真正面からとらえた最初期の作品だともされている。もちろん、これ以前にも部落の人々の生活を描いた作品はあるが、ある問題意識をもって描いたのはこれがはじめてというのが定説となっている。 透谷との影響関係もほのかに感じられるような、浪漫的要素も読みとれる。とにかく、何度読んでも発見が多い作品。一度読んでみて、様々なことについてあれこれ考えてみるといいかもしれません。
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穢多に生まれた主人公。 その素性を隠し生きて来たが、ある日暴かれてしまう。穢多である事を告白し、新たな人生を歩む。 父の戒めを破る。そこに至るまでが話の9割。ラスト1割は引き込まれた。ちょっと希望がありそうな終わり方だったのも良かった。 こういう本を読むと差別社会は悪だ...
穢多に生まれた主人公。 その素性を隠し生きて来たが、ある日暴かれてしまう。穢多である事を告白し、新たな人生を歩む。 父の戒めを破る。そこに至るまでが話の9割。ラスト1割は引き込まれた。ちょっと希望がありそうな終わり方だったのも良かった。 こういう本を読むと差別社会は悪だと思うが、養老孟司とかを読むとインドのカースト制が例に挙げられたりして善だと思ってしまう。 自由を知ってしまった不幸 と 自由を知らない幸福 最近 良く思うのが、開けない方がいい箱もある。
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最近、差別系のものをよく読む。色々と考えさせられます。 自分を貫くことの大切さ。そして、周りの人たちを想うことの大切さを改めて実感した。
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高校生の頃に課題図書として一度読んだ。 今回、ゆかりの地に行くことになったのでせっかくなので再読。 前は多分感想文書かなきゃだったから、差別が云々みたいな感じで書いたと思う。読んだ感想としても暗いとか思いとかそういう印象しか残ってなかった。内容すら覚えてなかった。(物覚えが悪い...
高校生の頃に課題図書として一度読んだ。 今回、ゆかりの地に行くことになったのでせっかくなので再読。 前は多分感想文書かなきゃだったから、差別が云々みたいな感じで書いたと思う。読んだ感想としても暗いとか思いとかそういう印象しか残ってなかった。内容すら覚えてなかった。(物覚えが悪いのでいつものことだけど。) で、再読してみて。面白かった。読みにくいんだけど、難しくはないし。 途中うつうつとした丑松にもどかしく思うところもあったけど。教え子に慕われ、周りの人にも恵まれる、人間関係も面白かった。 お志保のひたむきでかわいい感じもよかった。弱々しいのかと思いきや、強くてすてきだ。恋愛のあたりはあまり描写されないのも、それはそれでいい。 友人の銀之助も好きだ。悩みを打ち明けられなくても、丑松を信じ支えようとしているのがいい。 丑松の故郷への道中の描写も心に残った。電車内で読んでたから余計にそう感じたのかもしれない。 丑松の今後はどうなるんだろう。行き先海外だし想像が及ばないので、なんとなく不思議な余韻が残った。 島崎藤村ゆかりの地で、もう少し勉強をして、他のも読みたいとおもう。
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明治に四民平等が制度化されたが、それを契機に部落差別が激しくなったことは史実として間違いない。 江戸時代は、身分制度に基づく封建社会であったが、その身分毎の役割が明確化され、且つ身分の間での補完関係が成り立ち、幸せ度が高かった社会だといわれている。また互助互恵の精神も社会に根付い...
明治に四民平等が制度化されたが、それを契機に部落差別が激しくなったことは史実として間違いない。 江戸時代は、身分制度に基づく封建社会であったが、その身分毎の役割が明確化され、且つ身分の間での補完関係が成り立ち、幸せ度が高かった社会だといわれている。また互助互恵の精神も社会に根付いていた。 『破戒』は、欧米化を急ぐ明治維新時の負の部分を取り上げ、社会に大きな影響を与えた。 主人公の丑松の心情や舞台となる長野の情景を見事に描いており、本著は間違いなく傑作。
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ひとに勧められ、新年早々、島崎藤村の『破戒』を読みました。ディープなテーマで暗い気持ちになるかと思いきやそんなことなく。 一文一文、言葉の選び方がすごく丁寧で、すんなり頭の中に入ってきて、丑松の気持ちの変化はもちろん、長野の田舎の風景とか、校長室で悪巧みしてる光景とか、蓮華寺も...
ひとに勧められ、新年早々、島崎藤村の『破戒』を読みました。ディープなテーマで暗い気持ちになるかと思いきやそんなことなく。 一文一文、言葉の選び方がすごく丁寧で、すんなり頭の中に入ってきて、丑松の気持ちの変化はもちろん、長野の田舎の風景とか、校長室で悪巧みしてる光景とか、蓮華寺も、敬之進と飲んだ居酒屋も、細かい場面まで、そこで観ているかのような感覚で、最後まで飽きることなく読みました。 なかでも、 叔父さんから、お父さんが亡くなったときの話を聞くところ 仙太とダブルスを組んでテニスをするところ 丑松が夢のなかで無意識にお志保の顔を思い浮かべたところ 銀之助の最後の宿直の夜に、丑松と話をするところ がすきでした。 わりと序盤。 あと銀之助がとことん良い奴でした。 もう一回読みたいです。
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藤村は「こんな時代もあったと思って読んで欲しい」と云うような意味の事を言っているが、今も尚残る様々な差別を考えるとそのまま現代の問題とも受け取れる。 人に伏せなければならない秘密を心に抱えて苦しんでいる人には是非読んで欲しい作品。丑松が告白を決心する場面は思わず涙ぐんだ。 そし...
藤村は「こんな時代もあったと思って読んで欲しい」と云うような意味の事を言っているが、今も尚残る様々な差別を考えるとそのまま現代の問題とも受け取れる。 人に伏せなければならない秘密を心に抱えて苦しんでいる人には是非読んで欲しい作品。丑松が告白を決心する場面は思わず涙ぐんだ。 そして別な面としては山々の描写が非常に魅力的だった。山の姿をずっと見てきた人にしか書けない文章ではないかと思う。語りかけるような口調も印象的。
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annex ~小説のススメ~ 爆笑問題 太田光:スミスの本棚:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京 http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/2010/12/post115115.html
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教科書に載せるには問題があるのかもしれないけれど、知っておいてもらいたい歴史であると思います。人間ってね…。
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