赤い長靴 の商品レビュー
かみ合ってないのに、収まってる。 この居心地の悪さと、笑ってしまうおかしさ。 こんな旦那さん、いそうだ... しっくりこなさ加減、でもそこで「おかしい」って笑ってしまう日和子に、なんともいえない気持ち。 なんなんだー、この本。
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日和子と逍三(しょうぞう)夫婦の日常を、それぞれの視点で進んでいく連作短編です。 ずっと、とらえどころのない不安定さがあって、「いいのかー?」と思いつつ、日和子は淡々とした日々を過ごします。 大きな事件があるわけではなく、本当に普通の日常なんですが、二人の距離感がなんともいえま...
日和子と逍三(しょうぞう)夫婦の日常を、それぞれの視点で進んでいく連作短編です。 ずっと、とらえどころのない不安定さがあって、「いいのかー?」と思いつつ、日和子は淡々とした日々を過ごします。 大きな事件があるわけではなく、本当に普通の日常なんですが、二人の距離感がなんともいえません。多分、私だったらどこかで爆発しているだろうな…。 日和子の言う、「ほんとうのこと」がクリアにならないまま終わってしまいますが、どこか、「それでもいいのかな…」と思ってしまいます。 薄い膜の様な愛がある気がします。
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子供がいなくて夫婦二人だけ…の関係を江國さんが書くとこんな風なんだよね、と納得するような話です。恋人でも新婚でもないからラブラブという感じではないけど、そこはかとなく漂う甘さ。この甘さをキープするために江國さんは子どもがいないのかな…と邪推したくなる程。江國さんの描く夫婦の話は他...
子供がいなくて夫婦二人だけ…の関係を江國さんが書くとこんな風なんだよね、と納得するような話です。恋人でも新婚でもないからラブラブという感じではないけど、そこはかとなく漂う甘さ。この甘さをキープするために江國さんは子どもがいないのかな…と邪推したくなる程。江國さんの描く夫婦の話は他にもあるけど、例えば夫婦でダブル不倫して終わってます…なスイートリトルライズより受け入れられます。いや受け入れるとかいうレベルでなく、日和子夫婦は結構好きです。いやスイート…の瑠璃子夫妻がうすら寒くて受け入れられない。 話を聞かないし、家ではグウタラ風な夫に溜め息をつきつつ、結局自分にはこのひとが合ってるんだよね…という実は結婚賛歌の話じゃないかな…と私は思ってます。ま、結婚はそれくらい自分を認めてあげないと、やってられないしね。 この夫婦、特にダンナさんは私のママ友のダンナさんとイメージがかなりかぶる…。多分、世間的にはおとなしいイメージの奥さんの気持ちも違和感はない。私は日和子のようなおとなしいけど人から好かれるタイプではないけど…。しかしイマドキではないよね。思うにイマドキ奧さんはしっかりしてテキパキしてて車もバリバリ運転、ダンナさんは家事にも育児にも協力的…という私的には僻みとも劣等感とも言えるイメージを持ってます。だからこの夫婦に違和感を感じる奥さんは多分、イマドキ奥さんです。ある意味健全だと思うよぅ。私はイマドキじゃない夫婦の時々漂う甘やかさすら羨ましくなる更に困った人です。
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結婚して十年経つ日和子と逍三の連作短編集。 こんなにも会話が成立しない夫婦は空恐ろしい。 逍三は日和子の話の十分の一も聞いてないのではないだろうか。 それでも他人といると窮屈に感じる同士だから ベストカップルというか他にどうしようもない。 日和子のくすくす笑いがかなしくなる。 ...
結婚して十年経つ日和子と逍三の連作短編集。 こんなにも会話が成立しない夫婦は空恐ろしい。 逍三は日和子の話の十分の一も聞いてないのではないだろうか。 それでも他人といると窮屈に感じる同士だから ベストカップルというか他にどうしようもない。 日和子のくすくす笑いがかなしくなる。 「結局のところ言語は人格なのだし、人格にない言葉を無理に発音したところで、それは音にすぎない。」
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こんなんで楽しいのか… これから先まだまだ何年もこんな風でいいのかね… と思いながら読んでいた。 主人公が、すぐ、クスクス笑う。 笑いたくてクスクスするときもあれば 笑いたくないのにクスクスすることもたくさんあって イライラする(笑) でもあるんだろうなぁ~ こんなのってある...
こんなんで楽しいのか… これから先まだまだ何年もこんな風でいいのかね… と思いながら読んでいた。 主人公が、すぐ、クスクス笑う。 笑いたくてクスクスするときもあれば 笑いたくないのにクスクスすることもたくさんあって イライラする(笑) でもあるんだろうなぁ~ こんなのってあるんだろうなぁ~ うちだって よその夫婦から見たら イライラするようなこと…あるかもしれないもんなぁ… なんやかんやいって、この小説の夫婦は ずっと、ずーっと夫婦していくんだろうなぁ。 印象に残ったところ そばにいるときより離れている方が主人が好き というあたり。 私も仕事しているときとか友達と遊びに出ているときに 旦那のことを変にいとおしく思うときが あったりするもんな。(笑)
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江國 香織さんの赤い長靴 前回読んだ江國さんの作品が読んでいて予想以上に至福の時だったので、ついつい続けて読んでしまいました。 今回は連続短編小説集になっていました。 結婚10年目夫婦のおはなしです。 奥さん目線と旦那さん目線で話が進んでいたのがまた新鮮でした。 最初から...
江國 香織さんの赤い長靴 前回読んだ江國さんの作品が読んでいて予想以上に至福の時だったので、ついつい続けて読んでしまいました。 今回は連続短編小説集になっていました。 結婚10年目夫婦のおはなしです。 奥さん目線と旦那さん目線で話が進んでいたのがまた新鮮でした。 最初から最後まで話がつながっていたのでのんびり楽しんで読むことが出来たと思います。 物語はいい意味で単調で、ある夫婦の日常が淡々と書かれているだけなので緊張したり意気込んだりしないで読めるのがとてもよかったです。 何なんでしょう、読んで気持ちがほぐれるような安心感は。 ただ読み終わってからの疑問が何点かあって・・・ちょっと消化不良な気持ちはありますが、あんまり深く考えなければすっきり読めるかも。 結婚10年目で子供のいない夫婦のお話で、とにかく旦那さんが話すのが得意じゃないんです。 基本会話をしないので奥さんが一方的に話しているシーンが多くみられました。 奥さんが話しかけても、ほとんど旦那さんは話の内容を聞いてないし、ひどいと無視。凄い自分勝手でよく奥さんは旦那さんの面倒見れるよなぁなんて感心しちゃうくらい。 私が疑問に思ったのは、旦那さんは ・病的に人との会話がうまく出来ないのか ・それとも夫婦として、長年連れ添うと夫婦の会話は最小限に短縮されてしまうのか ・この旦那さんがもともと会話をしない人なのか・・・ 私の周りにここまで会話が成り立たない人はいないからちょっと腑に落ちなくて。 ただ、奥さんはこんな旦那さんに対してイラついたりもするけれども、喜んだり、微笑んだり、幸せに感じてるシーンがたくさんあってちょっと感動しちゃいました。 すぐ感情的になって想っていることを口に出したり、自分の気持ちを相手に押し付けることなく、普段の生活で見つける小さな幸せや、旦那さんが居てくれることの至福や温かい感情が読んでいて伝わってきました。 人それぞれ、日常で感じる幸福感や幸せのバロメーターは違うけれども、この本のように今の環境の中でふとした幸せを幸福と感じ、笑顔になることって大切だな。と実感しました。 怒るを通り越したら笑うしかないんだな。とも・・・・。 ただ・・・・。 残念ながら私にはこんな旦那さんと一緒に生活できるだけの度量がないと自負しております・・・・。私だったら、この奥さんが幸せに感じられる部分でさえ私はストレスに感じてしまうかもしれない・・・。 もう少し歳を重ねれば器の大きい女になれるかな・・・?
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私の結婚生活のバイブル的本。 結婚前に読んだんだけど結婚してから二人のすれ違いがとても愛おしく感じる。 現実のすれ違いも小説のようにクスクスと笑えれば夫婦円満間違いなし!
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2005年9月18日読了。以下、過去の日記から抜粋。 一組の夫婦の連作短編集。 全然会話がかみ合わない、一見、これでいいのかと 首を傾げたくなるような夫婦なのですが、 全体に流れる雰囲気は江國流。 静かで、幸せそうなのに、どこか寂しくて不安定。 夫婦って不思議な関係だなぁと思い...
2005年9月18日読了。以下、過去の日記から抜粋。 一組の夫婦の連作短編集。 全然会話がかみ合わない、一見、これでいいのかと 首を傾げたくなるような夫婦なのですが、 全体に流れる雰囲気は江國流。 静かで、幸せそうなのに、どこか寂しくて不安定。 夫婦って不思議な関係だなぁと思いました。 いまいち印象に残らない話でしたが。 そういや、先週結婚した友人がオーストラリアから 帰ってきたはず。お土産話が楽しみだ。 でも、あの夫婦はこの小説のような静かな夫婦じゃないな。 なにせ、嫁さんがよくしゃべるから(苦笑)
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人は生まれるときも死ぬときもひとりだから、自分のことを孤独だ、なんて言うのは傲慢だ、とかつて言った人がありました。江國さんのストーリーだと、ひとりよりもふたりのほうが余計に孤独な感じがします。結婚ってお互いに一緒にいよう、でも、あなたと私は決して同じ人間ではないのだから、私は私、...
人は生まれるときも死ぬときもひとりだから、自分のことを孤独だ、なんて言うのは傲慢だ、とかつて言った人がありました。江國さんのストーリーだと、ひとりよりもふたりのほうが余計に孤独な感じがします。結婚ってお互いに一緒にいよう、でも、あなたと私は決して同じ人間ではないのだから、私は私、あなたはあなた、という感じで、淡々と時がすぎていくものなのかもしれません。淡々とすぎていくのが実は平凡な幸福なのかな。
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(2005.01.18読了)(2005.01.15購入) 日和子と逍三の夫婦が主人公の連作短編集。江國さんは、初期にはすばらしい短編をいくつも書いているので、この形式が書きやすいのかもしれない。 夫婦の会話のすれ違いぶりをこれでもかとばかりにしつこく書いている。文学なので極端な表...
(2005.01.18読了)(2005.01.15購入) 日和子と逍三の夫婦が主人公の連作短編集。江國さんは、初期にはすばらしい短編をいくつも書いているので、この形式が書きやすいのかもしれない。 夫婦の会話のすれ違いぶりをこれでもかとばかりにしつこく書いている。文学なので極端な表現で書いているけれども、夫婦なら思い当たる節がないわけではないようなことが書いてあるので、身につまされるところがないわけではない。少しは、神さんの話に耳を傾けることにしようかと思ったりする読後感でした。 「逍三と結婚して、十年になる。(日和子は、来年四十になる)十年という歳月は、日和子には、でもなんとなく実感が湧かない。新婚ではないが、落着いた夫婦というふうにも感じられない。ただふわふわと漂っている。ただふわふわと、寄る辺もなく。子供がいないせいかもしれない。」 日和子は、半年ほど前から園芸用品店で、パートタイムの仕事を始めた。子供ができないし、時間が余っていたから。 「日和子は逍三を善人だと思う。善人の逍三に、大切にされていると思う。それなのにさびしかった。逍三に触れるよりも逍三の洗濯物に触れるほうが幸福なことが、逍三のいる場所でよりいない場所での方が、逍三を好きである気のすることが。」 「-どうしてあなたには言葉が通じないの? 公園を歩いている間中、日和子は怒っていた。夏で、空はむなしいほど青く晴れ渡っていた。 ―あなたはここにいるのに、いないみたいよ。 言葉は次々に口を付いて出た。 ―そんなのはさびしいし、私、あなたといるとどんどんさびしくなっていく。さびしい事はやめたいの。 逍三は、うん、とか、嗚呼、とか答えた。 ―逍ちゃんだってさびしいでしょう?私たち、二人でいると二人ともさびしくなるのよ。 ―うん 「本当のこと」が危険なのは、きっかけが何であれ、最後には必ずそこにたどり着くからだ。結論は、常に明白だ。私たち、一緒にいない方がいいのよ。」 (夫とコミュニケーションがうまくいかない。日和子が言ったことに対し、ちゃんとした答えが返ってこない。問い詰めていくと、本当のことに行き着いてしまう。そのことを夫に言っても全然通じない。) 夫は、クリスマスに赤い長靴菓子を買ってくる。毎年同じものを買ってくる。もう買ってこないでといっても、買ってくる。困るの。嫌いなの。といっても、まあいいじゃないか、クリスマスなんだから、というのだ。 「赤い長靴菓子は、自分と逍三の結婚生活と似ているように日和子には思えた。齟齬の象徴のように。」(この赤い長靴菓子が本の題名になっている。) 何年分もダンボール箱に入れて押入れに入れてある。捨てたいと思うが捨てられない。 結婚ってこんなことなの!それなら独身のほうがずーっといい。独身主義者はそう思うに違いない。 ☆江國香織さんの本(既読) 「いつか記憶からこぼれおちるとしても」江國香織著、朝日新聞社、2002.11.30 「すみれの花の砂糖づけ」江國香織著、新潮文庫、2002.12.01 「とるにたらないものもの」江國香織著、集英社、2003.07.30 「号泣する準備はできていた」江國香織著、新潮社、2003.11.20 「スイートリトルライズ」江國香織著、幻冬舎、2004.03.25 「雨はコーラがのめない」江國香織著、大和書房、2004.05.20 「思いわずらうことなく愉しく生きよ」江國香織著、光文社、2004.06.25 「間宮兄弟」江國香織著、小学館、2004.10.20 (「BOOK」データベースより)amazon それから日和子は笑いだしてしまう。くすくすと、そしてからからと。笑うことと泣くことは似ている。結婚して十年、幸福と呼びたいくらいな愉快さとうすら寒いかなしみ、安心でさびしく、所在なく…。日々たゆたう心の動きをとらえた怖いくらいに美しい、連作短篇小説集。
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