赤い長靴 の商品レビュー
130223*読了 旦那さまの逍三さんに、イライラしてしまうんだけれど、でも、愛おしくてたまらなくなる。 わたしはきっと、日和子さんのような性格なのかもしれない。 そして、逍三さんのような人を好きになるのかもしれない。
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日和子と逍三。 結婚して、10年経つ、子供は、いない。 二人の気持ちと、時折すれ違う言葉。それでも居心地はよくて、愛しくて悲しくて、互いに距離を保ちながらも傍にいる。 短編集風で、場面は違うけど日和子と逍三の話。 噛み合わない会話は見事だ。 川上弘美やら小川洋子に出てきそうな登場人物だた。 こういうのが自分には合ってるなぁと思った)^o^(
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結婚して10年、日々を淡々と送る日和子と逍三の物語。 一緒にいると腹が立ったり悲しかったりするのに、離れているとすごく不安で寂しくてすごく会いたくなる。 ふとしたことで幸福感を感じながら、なぜか同時に暗い影が存在する。 夫婦のカタチとしては、結構切ないです。 話をちゃん...
結婚して10年、日々を淡々と送る日和子と逍三の物語。 一緒にいると腹が立ったり悲しかったりするのに、離れているとすごく不安で寂しくてすごく会いたくなる。 ふとしたことで幸福感を感じながら、なぜか同時に暗い影が存在する。 夫婦のカタチとしては、結構切ないです。 話をちゃんと聞いてもらえないのは、やっぱり悲しいし。
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連作短編集。来年40になる日和子。結婚して10年になる夫の逍三との間に子供はいない。ほとんど日和子目線。ときどき逍三目線。 わかりあえているようでわかりあえない結婚生活。どこかが互いに必要だけど不要でもあり、答えがあるようでない。そんな印象。 何となく居心地が悪く、悲しく、空虚...
連作短編集。来年40になる日和子。結婚して10年になる夫の逍三との間に子供はいない。ほとんど日和子目線。ときどき逍三目線。 わかりあえているようでわかりあえない結婚生活。どこかが互いに必要だけど不要でもあり、答えがあるようでない。そんな印象。 何となく居心地が悪く、悲しく、空虚さ漂う世界観に、正直つまらないと感じていたのですが、些細な表現にはドキッとさせられます。 日和子にも逍三にも共感はできない。特に逍三は男だからでなく、”膜”を感じるという理由だけで排他的な人間だと自身で決め付けているような印象を受ける。 読み終わって、最後まで別れることなく変わらない夫婦関係。一番わかってほしい相手でも結局はわかりあえない。そんなものなのかもしれないという虚しさが残る。 心のゆらぎや不安定さが生々しく文学的な作品だと思う。
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最初のおはなしを模試か何かで読んだことがあって、いくつかある江國香織のパタンの中でこれは狂気に属するものであるとおもう。 離れているほど、相手のことを愛しくおもえるのはなぜなんだろう。
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スィートリトルライズを読み終わったと、江國さん好きの姉に報告すると 「赤い長靴」も同じような、かみ合わない夫婦のお話だよ~と言ってたので 次はこれを読もうと決めてました。 スィートリトルライズを読んだ時、お互い浮気こそしていないものの、すれ違い方や生活の仕方が、自分達カップルと似...
スィートリトルライズを読み終わったと、江國さん好きの姉に報告すると 「赤い長靴」も同じような、かみ合わない夫婦のお話だよ~と言ってたので 次はこれを読もうと決めてました。 スィートリトルライズを読んだ時、お互い浮気こそしていないものの、すれ違い方や生活の仕方が、自分達カップルと似すぎていて、本当にいろいろと思うことがありました。 最終的に別れないで終わったので、少しホッとして読み終えたのですが、 この「赤い長靴」は結婚して10年にもなる夫婦が、スィートリトルライズの延長のようなすれ違い方をしていて、本当に読んでいて辛かったです。 10年経っても、やっぱり分かり合うことはないのかと思った。 どうして男は好きな女のことを理解しようとしないのだろう?? どうして女は自分を理解してくれない男のことなんか好きになるんだろう?? と、同時に、私のパートナーもきっと、主人公の夫のように、私のことを間違いなく好きで特別だと思っているんだろうなと分かった。 たとえ私の話は何も聞いていなくても! 世の中に、心から理解しあってる夫婦なんていないんじゃないかと思いました。
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まだ私が若いからなのか、なかなか共感できる部分は少なかったです。 夫婦の距離感にも男女の距離感にも、伝わらない、わかってもらえないといったもどかしさは少なからずあると思います。 きっと難しいのです。
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『それから日和子は笑いだしてしまう。くすくすと、そしてからからと。笑うことと泣くことは似ている。結婚して十年、幸福と呼びたいくらいな愉快さとうすら寒いかなしみ、安心でさびしく、所在なく…。日々たゆたう心の動きをとらえた怖いくらいに美しい、連作短篇小説集。 』 江國香織さんの本は一通り読んでいる。 好きな感じと、嫌いではないがとくに好きではない感じに別れる。 今回は後者だった。表現は美しいけど、読むにつれ、なんとなく息苦しい感じ。 でも読み手が息苦しいと感じるほどに、感情が伝わってきて、それって文章が上手いのだろうなと思って、やっぱり江國さんってすごいなぁとも思った。 個人的に、結末はすっきりしない感じ。離婚してしまえばいいのに。と何度も思った。 でも離婚しない結末こそが、この小説の良さなんだろうなとも思う。
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既視感がある本。自分がそう思ったんだったか、誰かがそう言ってたんだか。 夫は妻のことを、自分が拾ってきて面倒を見ないといけない子犬みたいに思ってる。 妻は、自分の言葉に聞く耳を持たない夫にいつまでも慣れられず、つい苛立って問い詰めては自己嫌悪に駆られる独り相撲を延々と演じてい...
既視感がある本。自分がそう思ったんだったか、誰かがそう言ってたんだか。 夫は妻のことを、自分が拾ってきて面倒を見ないといけない子犬みたいに思ってる。 妻は、自分の言葉に聞く耳を持たない夫にいつまでも慣れられず、つい苛立って問い詰めては自己嫌悪に駆られる独り相撲を延々と演じている。架空の夫に頼り、現実の夫には幻滅してばかりいる。 互いに外にいる時は、そこが自分の居場所と感じられず、家に帰ってくるものの、帰ってきても違和感を感じる。 うまいのは、女性視点が主だけど、男性だけを悪者にしない、どっちの言い分もわかるところ。ただ、それ以上の感動とかはなく、読み終わった後なんとなく憂鬱になってしまう。
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とても変わった、しかし面白い小説だった。 40歳を迎えて、子供はなく、二人で生活をしている夫婦の物語で、主に妻である日和子の視点から語られる。 最も近しい存在でありながら、宇宙人のように遠い隔たりを感じてしまう、夫、逍三に対する、もどかしくも愛しいという奇妙な感情がテーマ。 仲が...
とても変わった、しかし面白い小説だった。 40歳を迎えて、子供はなく、二人で生活をしている夫婦の物語で、主に妻である日和子の視点から語られる。 最も近しい存在でありながら、宇宙人のように遠い隔たりを感じてしまう、夫、逍三に対する、もどかしくも愛しいという奇妙な感情がテーマ。 仲が良くなかったりケンカをしているわけではなく、何がどう悪いということではなく、ただ、コミュニケーションがしっくりといかない。 切なく、空虚な感じがありながら、しかしはっきりとした不幸があるというわけでもない。 現実には、ここまで噛み合わない会話というのはなかなか無いかもしれないけれど、これと同じような状況というのは実際によくあると思うし、多かれ少なかれ似た部分は、ある程度以上に距離が近くなれば誰と誰との関係の中にも必ず潜んでいるものなのだと思う。 そこから浮かび上がるのは、「人と人とは、わかりあえない」というシビアな寂しさなのだけれど、それでもなお、互いを大事に思うことが出来るというのは大きな救いだと思った。 ほとんどの部分は、日和子からの視点なのだけれど、時々、語り手が入れ替わって、逍三からの視点になるところが面白い。 妻の目から見れば、なんと奇妙な夫だろうと思えるのに、逆に夫の立場に立って見ると、その行動にもそれなりの理由があり、それほど奇妙でもないように思えてくる。 ただ視点が異なるというだけで、同じ出来事がこんなにも違った意味を持つという、その当たり前のことの面白さに気付かされた小説だった。 忽然と、ほんとうに忽然と日和子は理解する。逍ちゃんのいるときよりいないときの方が、私は逍ちゃんを好きみたいだ。 それは発見だった。自分でも信じ難い、そして、露ほども疑う余地のない−−。その発見に日和子はざっくり打ちのめされ、でもどういうわけか、納得がいった。(p.76) 不満を託つことをたのしんでいる自分を、日和子は発見する。やっぱり、本物の逍ちゃんがいると、このマンションは俄然賑やかになる。逍三は喋らないのに、逍三の存在そのものが、静けさを著しくかき乱すのだ。 不協和音。それは、でも、単調な和音とくらべて、どんなに魅力的だろう。(p.83) 「いけしゃあしゃあと」 その言語は、歌うような節をつけて日和子の口から転がりでた。 「はい?」 なんでもないわ、とこたえて、日和子は祐一をまっすぐに見た。たった十五、六しか違わないのに、目の前に立っている男とのあいだに、百年も隔たりがあるように思えた。 ほんとうのことは言ってはいけないのだ、という真実を、いつかこの人も知るだろうか。(p.119) 「逍ちゃんって、可笑しいのね」 くすくす笑いながら、日和子は自分が、またしても心底驚いていることに驚く。自分は逍三に、いつまでたっても慣れることがない。それは愉快なことに思えた。愉快で幸福な、かなしくて身軽なことに。 衝動的に、アイロン台をまわりこんで、逍三の頬に唇をつけた。それからかがんでバナナの皮を拾い、ゴミ箱に捨てる。逍三の頬は思いがけずひんやりと冷たく、焼肉と酒とバナナの、混ざりあった匂いがした。(p.260)
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