真田太平記(十二) の商品レビュー
今年の1月から読み始め、6ヵ月半かけて全12巻読了。最後まで生き延びた伊豆守信之が、将軍秀忠からの国替え申し渡しにより,上田城を追い出される。何ともやるせないラスト。
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全ては、この十二巻の為に描かれてきた物語。 信之は、父や弟、妻などに次々と先立たれ孤独になっていってしまう。 真田家のため、天下泰平のために生きた信之。 本当にこれで良かったのか。 『おもしろいほどに、人の一生は呆気ないものじゃ』 これこそが、本当の信之の本心であっただろう。
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大坂夏の陣の後の話であり、真田昌幸も幸村も既に世を去っているため、読む前はエピローグ的な内容になっているのかと思った。 確かにそういう側面もあるが、しかし物語はまだ続いていた。つまり真田vs徳川の闘いは終わっていなかったということである。 前巻までは真田昌幸・幸村vs徳川家康...
大坂夏の陣の後の話であり、真田昌幸も幸村も既に世を去っているため、読む前はエピローグ的な内容になっているのかと思った。 確かにそういう側面もあるが、しかし物語はまだ続いていた。つまり真田vs徳川の闘いは終わっていなかったということである。 前巻までは真田昌幸・幸村vs徳川家康だったのが、この最終巻では真田信之vs徳川秀忠になっている。もちろん、互いに武器をとってのドンパチというわけではないが。 信之が松代に移るところで話が終わっているため、信之と秀忠のどちらが勝ったのかは定かではないが、松代藩は明治維新まで生き残ったわけだから、その意味では信之の勝ちではないかと思う。
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幸村が死んだのに、まだ話は続くのかと驚きを持って読んだ。主人公は一人というわけではなく、真田一族と草の者の物語のような印象を受けた。この書き方は珍しい。 作者は9年間もかけてこの本を連載したという。それにしては、物語の繋がりの破綻もなく、伏線もあったりして、よく出来ているなと思った。
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最終巻十二巻「雲の峰」 豊臣は滅び徳川の天下となり、家康も死去。 二代将軍秀忠の時代となります。 さて、時代劇などにおいて、大阪の陣での豊臣家家臣たちは「数年籠城して、家康が死んだら、有利な状況で和睦、千姫の父である秀忠は家康より交渉しやすいだろう」と考えていた…ように描かれま...
最終巻十二巻「雲の峰」 豊臣は滅び徳川の天下となり、家康も死去。 二代将軍秀忠の時代となります。 さて、時代劇などにおいて、大阪の陣での豊臣家家臣たちは「数年籠城して、家康が死んだら、有利な状況で和睦、千姫の父である秀忠は家康より交渉しやすいだろう」と考えていた…ように描かれますが、 あくまでも「後世からみると」ですが、 大名家も公家も押さえつけ取り潰し、風紀が乱れたと朝廷の女官たちも処罰させるような秀忠のほうがよっぽど怖い。 やっぱり”大阪の陣”というものを起こした時点で豊臣家に行く末はなかっただろう…。 …とまあ、こんなコワい秀忠政権下で、真田信之は真田家の行く末に暗いものを感じ、ますます身体を引き締めます。 そして草の者のなかでただ一人生き残った女忍びのお江さん。 上田に戻り信之の元で真田家を守るための忍び働きを行います。 信之54歳、お江さん65歳くらい? まだまだ草の者としての腕前は超一流。 真田家を取り潰そうとする幕府との駆け引き。 このへんの描写は著者も実に楽しそうです。歴史に大きな流れは描いたのでこの長期小説をどう絞めるか、描きたい人の描きたいことを描くぞーという状態か(笑) そして最終巻らしく、生き残った者たちの”その後”が静かに語られます。 穏やかな晩年を過ごす者、失脚する者、飼殺される者、失意のうちに消える者…。 そんな姿が静かに描かれます。 この長期連載のラストは、真田家が上田から松代に転封となるところで終わります。 これからは実直な昔ながらの武士のままでは生きられない政治の世界となります。そんな中古い時代を生き抜いた誠の武士である信之、古い時代の卓越された忍びの術を持つお江さんは老境に入ってもまだまだ隠居などしていられないようです。 お江さんについては…後書きで作者は「お江のその後を私は知らない」と書いています。「しかし彼女のことだからきっと長寿を保っただろう」。あとは読者の想像にお任せということなので、信之の裏で忍び働きしながら穏やかに老後を過ごしたと思っておきましょう。信之さんは94歳で亡くなるのだからこの先まだ人生は長い、身分を超えて良い茶飲み友達は必要だろう(笑) そして後書では、真田家のその後が描かれて…終幕。
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天下を取った徳川家も太刀打ち出来なかった、 真田家の興亡を描いた作品。 著者の抜群の文才で戦国の世の泥臭さ、友情、愛情、激情、権謀術数が堪能でき、読者は戦国時代にタイムスリップ出来る。 敵味方に分かれても変わらない兄弟の絆、最後の最後の最後まで不屈の闘志を貫く幸村に感動。 全...
天下を取った徳川家も太刀打ち出来なかった、 真田家の興亡を描いた作品。 著者の抜群の文才で戦国の世の泥臭さ、友情、愛情、激情、権謀術数が堪能でき、読者は戦国時代にタイムスリップ出来る。 敵味方に分かれても変わらない兄弟の絆、最後の最後の最後まで不屈の闘志を貫く幸村に感動。 全12巻。
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死に場所を得た幸村。 しかし、家臣・領民、そしてその家族を支える真田家の存続は果たさねばならない。それは残された者の責務である。信之は小藩ながらも、父弟がなし得なかった目標を果たすべく、忍従の日々を送る。 お江もまた、幸村が望んだであろう信之の安泰を図るべく力を尽くす。 ただ、讒訴の種は尽きるものではない。冬の陣後の幸村との邂逅がまさにそれ。辛くもそれを逃れるが、秀忠の骨髄までの恨みは晴れることなく、ついに、住み慣れた地、上田から転封の沙汰が届く。 父弟からバトンを受け、「領主として生きねばならぬ」信之は、涼やかな表情を持ちつつ、お江に見送られながら、松代に歩みを進めていく。
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信之が松代へ国替えとなり、上田から出発するところで物語は終わる。 信之って家康より忍耐強いかも、 佐助の死が伝えられる場面は、通勤車中にありながら涙が止まらなくなった。この歳になって涙もろくなったのに加え、人前でも平然と泣けるようになった。末期的かも。
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真田、武田、織田、徳川という面白い時代を歯切れのよいタッチで興味深く書かれていた本であった。只、十二巻は幸村の亡くなった後で信之が松代へ行くところで終わったので尻切れトンボだ。間延びしてしまっている。人間は死に向かって生まれた日から進んでいる、人生は死ぬために生きる、人の一生は呆...
真田、武田、織田、徳川という面白い時代を歯切れのよいタッチで興味深く書かれていた本であった。只、十二巻は幸村の亡くなった後で信之が松代へ行くところで終わったので尻切れトンボだ。間延びしてしまっている。人間は死に向かって生まれた日から進んでいる、人生は死ぬために生きる、人の一生は呆気ない、ということから目的をもって生きないといけないと感じた。そしてお江を初めとした草の者に焦点を当てていたことも本小説の優れている点だ。今一度生きるとは何か考えてみたい。
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全巻読了。 公共放送で大金かけて制作している茶番のドラマがあまりにも情けなくて、本物を読んでみた。時代にそって縦軸横軸がしっかりしていて、登場人物にも魅力がある。(十一)(十二)はほとんど泣きながら読んでいた。幸村が息を引き取る時佐平次がそばに居てよかった。
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