西の善き魔女(6) の商品レビュー
気怠い読後感の中で、この文章を書きました。 最高に上質な物語の中を通り過ぎたあとに残る、あの感覚です。 日本人作家の書く、Hi-fantasyは少ないのが現実と思います。 それはたぶん、この環境によるものが多いのではないでしょうか。 空想に遊ぶまでもなく、取り巻く世界が美しいか...
気怠い読後感の中で、この文章を書きました。 最高に上質な物語の中を通り過ぎたあとに残る、あの感覚です。 日本人作家の書く、Hi-fantasyは少ないのが現実と思います。 それはたぶん、この環境によるものが多いのではないでしょうか。 空想に遊ぶまでもなく、取り巻く世界が美しいから。 季節に合わせて、くるくると移り変わる景色がすぐ傍らにあるから。 手を伸ばせば感じられる場所に、「魔法」が遍在しているから。 だからこそ、極上のfantasyが産まれる土壌でもあるのだな、と。 本作を読んで、それがよく分かったような気がしています。 全8巻からなる、長大な物語です。 しかし、その長さは、読書中には全く感じません。 読後に、もう終わりなの?と思ってしまうほどです。 けれども、改めて振り返れば、いかに多くのsceneを経たのか思い当たります。 とても濃いお話なのにも関わらず、あくまでも優雅で華麗で、おまけに軽い。 作者である、かの「勾玉三部作」の萩原規子さん。 本作でも、その描写の素晴らしさは健在です。 登場人物、状況、環境、風景、心情、会話、‥‥。 その瞬間に存在しているものを、活き活きとありのままに写し取ったかのようです。 実際にはページを繰っていても、読者の目は、グラールの風景を観ているのです。 そこで繰り広げられる沢山のdramaを、多くの人物と共に体験できるのです。 これこそが、物語を読む悦楽に他ならないと思います。 そして何よりも、storyの良さ! ただのlove storyに落ち込みそうでありながら、それを簡単に越えてます。 人と人とを繋ぐ関係性の意味と、その力。 沢山のthemeを内包していながら、決してぶれることのない方向性。 あちこちに散りばめられているhumorのsenseも卓越しています。 思わず微笑んでしまうようなsceneが、数え切れないほど出てきます。 心から、「信頼」できる作家さんだなぁ、と改めて思いました。 「終わらせ方」があまりにも潔すぎて、続編が無性に読みたいです。 フィリエルとルーンのその後はもちろん、この世界がどうなっていくのか。 それは明らかに、この物語にとって蛇足であることは間違いない。 けれども、ただのミーハーな気持ちから、続きを知りたいと思ってしまいます。 きっと、この物語が終わって欲しくない、と言う気持ちの表れなのでしょうね。
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これで本編は終了。 壁が出てきた辺りで薄々そうではないかと思っていたけれど、ファンタジーというよりはSF。それも最新の技術を駆使している世界。 女王候補争いはフィリエルを含めて三人の擁立の方向へ。 アデイルとユーシスは、いつかお互いの気持ちを確かめ合う日が来るのかどうか。 いつまでたっても二人になれないフィリエルとルーンは、先へ進むのも時間がかかりそう。 ところでユニコーンはそんなに頭数いたのかと。このユニコーンの存在が、ただのSFとひとくくりにできないファンタジー要素を含んでいて、最後まで読者の目をそらせ続ける要素となったのかもしれない。
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いやはや、まさかこんなSFのような結末を迎えるとは…。母星を滅ぼしてしまった人々が新たに建国した女王制の国…それがグラールの正体。この巻で一気に広がり、一気に収束したような。フィリエルもなんらかの形で女王になるんだろうとは思っていたけど、やっぱり荻原さんには脱帽です。 「(前略)動物も植物も滅ぼして、やがてはみずからも住めない環境を作り出してしまう。(後略)」今の地球も、そんな危機に向かいつつあるのではないだろうか。思想や研究の自由と、それに伴う危険。人間の支配欲や権利欲。彼女たちが立ち向かわなければいけない問題は、今の私たちにも言えることだ。それでも、したたかでたくましい彼女たちなら、なんとかしてしまうのではないかと思える。 グラールの秘密が明かされたとはいえ、気になることはたくさん。最後まで登場しなかったディー博士と、謎に包まれたエディリーン。アデイルとユーシスはどうなるの?イグレイントヴィンセントは?生徒会三人娘は?フィーリの記憶とは!?母と同じ道をたどるかに見えたフィリエル。紆余曲折を経て、今後彼女はどんな選択をしていくのか。やっぱり、まだまだ目が離せない…!
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えええ~ってのけぞったわ、SFだったとは… それならもう少し、伏線を張っておいて種明かしにした方が、読んでてわくわくするんだけど… せいぜいフィーリが極秘の最新技術なのか、程度にしか思っていなかったから唐突すぎるし、いきなり現実とリンクしてしまったみたいで居心地悪い。 でも3人の...
えええ~ってのけぞったわ、SFだったとは… それならもう少し、伏線を張っておいて種明かしにした方が、読んでてわくわくするんだけど… せいぜいフィーリが極秘の最新技術なのか、程度にしか思っていなかったから唐突すぎるし、いきなり現実とリンクしてしまったみたいで居心地悪い。 でも3人の女王が仲良くなったまとめ方は面白かったから、前作よりは評価高め。
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この巻は面白かった。 アデイルじゃないけど、ユーシスとルーンの関係がいいなぁと思う。明るくて裏のない性格のユーシスだからこそ、ルーンも心を開いているんだろうな。(他の人よりましという程度だけど) また最後の方のフィリエルは痛快だった。フィリエルは自分の事しか考えてない所が苦手だったけど、だんだんと周りが見えるようになってきたなと思う。伯爵にちゃんとお礼を言いに行くところは良かった。 また、レアンドラもアデイルも立場は違えど言っている事は正しいと思っていたので、最後3人で女王になる選択肢が出てきたのにはなるほどと思った。この二人だけだと対立が激しそうなので、自由気ままなフィリエルが入ると確かにバランスが良い。それにしてもあでやかでにぎやかな3人組だ。 3人の女王が成立することにより、今までの女王制度に変化があるとよいなと思う。アデイルには是非ユーシスと幸せになってもらいたい。 しかしファンタジーと見せかけてSFだったとは…。 壁の意味には驚いた。世界遺産の保護区みたいなものかな。 後2冊は外伝らしいので、誰が何をするのか楽しみ。
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西の善き魔女 6 ブリギオン軍がグラールに迫る。 フィリエルは女王陛下への直談判に出向き、 ルーンはグラールの危機をユーシスに伝えるために旅立つ。 メニエール猊下の企みを知り、ブリギオン軍を撃退し 三人の女王候補は女王陛下と対面。 世界の成立の秘密を知る。 三人の連立女王の可能性を示唆される。
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図書館借用。 ここで本編終わり。なんとかここまで読めた…と思えるほど主人公の脳足りんさに苛立ちながら読む。 前巻の外伝から読まないとこの本編の急展開はついていけないのでは?猿の惑星か…
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ルーンに対するフィリエルの過保護というか、お節介ぶりは健在すぎて、ちょっとお腹いっぱいになってしまった6巻。 結末は駆け足でドタバタしちゃって、なんだか消化不良。 残り2冊の外伝で、もう少し何かしらを掘り下げてくれればいいのだけれど、其処此処に腐女子の雰囲気が漂っていて、このまま...
ルーンに対するフィリエルの過保護というか、お節介ぶりは健在すぎて、ちょっとお腹いっぱいになってしまった6巻。 結末は駆け足でドタバタしちゃって、なんだか消化不良。 残り2冊の外伝で、もう少し何かしらを掘り下げてくれればいいのだけれど、其処此処に腐女子の雰囲気が漂っていて、このままじゃ私のなかでは、軽薄な印象しか残らない。
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怒涛のハッピーエンド ハッピーエンド‥?おわり? 終 って文字があった やだやだやだ 全部読んだのは高校生?くらいだから覚えてないんだけど これで終わりだっけ‥? 楽しすぎるお話は終わってほしくない あと2巻あるよ‥? どゆこと?
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