文明崩壊(下) の商品レビュー
前著「銃病原菌鉄」でピュリッツァー賞を受賞したダイヤモンド博士の警告の書。上巻から続く。 オーストラリアはイメージとは異なり非常に脆弱な土壌自然環境を持つ。自然環境の回復、維持へのオーストラリア政府と国民の対処の歩みに苦闘の色が滲む。共産党独裁による強権的な政治思想にもともとの中...
前著「銃病原菌鉄」でピュリッツァー賞を受賞したダイヤモンド博士の警告の書。上巻から続く。 オーストラリアはイメージとは異なり非常に脆弱な土壌自然環境を持つ。自然環境の回復、維持へのオーストラリア政府と国民の対処の歩みに苦闘の色が滲む。共産党独裁による強権的な政治思想にもともとの中華思想があいまって、民主主義陣営の我々には全く理解できない中国という国家の来し方行く末はしっかり見ていかないといけないだろう。 間違った施策による、または乏しい自然環境を気づかずに無計画に浪費してしまったことによる致命的な土地の劣化が、社会、共同体の滅亡にまで至ってしまうという過酷な現実。農業に適した肥沃な土壌が大変に貴重で、天然資源と同じく有限であるということ、そして我々日本人がいかに豊かな森林資源、水資源に恵まれているかに身をつまされる。 2023年現在、環境問題は温暖化をいかに食い止めるかの議論に集中しているが、地域個々の森林資源、土壌の減退や維持にも今一度注目してみるべきとは思う。 失敗の原因を解明することで将来成功に導けるかもしれないことに筆者は一縷の希望を抱いているが、中国によるアフリカ開発など今後も問題は山積してくるだろう。また、第三世界の歴史を紐解くとどうしてもヨーロッパ列強の侵略、収奪、先住民の奴隷化と滅亡、そして奴隷としてアフリカから連れてこられた黒人の現地人化、と人類史の暗部がこれでもかと出てきて読んでいてとても辛く、ニヒリズム、ペニシズムに陥りそうにもなる。 第14、15章は企業 消費者 地元住民 政府の複雑な利害関係 力関係の中で、いかにして環境保全が成されてきたのか、そして今後の可能性について詳しく考察されているが、とにかく細かい!長い!くどい! 本著が書かれて20年、挙げられている課題も解決に向けて進展してるものもあれば全く進んでいないものもあるし悪化しているものもある。新たに発生してきた課題もある。しかしノヴァハラリが称賛しているように人類は多くの飢餓と疫病を克服し戦争の機会も大きく減じてきたことも事実だ。 自然環境は地域の人々の共有財産であり、現代のグローバル社会においては全世界の共有財産でもある。現時点での一番の障害は、民主主義陣営と全く価値観が異なり話が全く通じない暴虐と収奪を繰り返す超大国中国とロシアだろう。トランプの出現や孤立主義、ナショナリズムの高まり、社会の対立等も国際秩序を大きく乱す巨大勢力に端を発する。いかに国際社会が団結するか、そして中国やロシアに対し忍耐と戦略をもって人類の方向性を形作っていけるかが決定的に重要だろう。 巻末に一市民がいかにして環境課題に行動を起こすかが書かれておりそれなりに参考とモチベーションになるかな。
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2010初読。 2020/4再読。 原書の刊行が’05年なので、本書で度々述べられていた、世界が持続可能な社会への道筋を見つけるか、資源を消費し尽して社会崩壊へ至るかの分かれ目の数十年の、下手すりゃ半分が経過してしまった事になる。中国は形振り構わぬ大量消費社会となり、アメリカを始...
2010初読。 2020/4再読。 原書の刊行が’05年なので、本書で度々述べられていた、世界が持続可能な社会への道筋を見つけるか、資源を消費し尽して社会崩壊へ至るかの分かれ目の数十年の、下手すりゃ半分が経過してしまった事になる。中国は形振り構わぬ大量消費社会となり、アメリカを始めとする自国第一主義の風潮が、新型コロナウイルス肺炎のパンデミックの影響で更に広がっているような時期での再読であった。
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現代世界が直面する深刻な環境問題として12の問題が挙げられている。天然資源の破壊、大気の汚染、エネルギー問題、生物の多様性、土壌の汚染など
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下巻では、ニューギニア高地とティコピア島のボトムアップ方式と江戸時代のトップダウン方式を上げ、どのように崩壊を回避したかを探る。そして、現代のルワンダ、ドミニカ共和国とハイチ、中国、オーストラリアから今なお進行する崩壊の予兆について。最後は、過去と現在から見えてきた四つの失敗、予...
下巻では、ニューギニア高地とティコピア島のボトムアップ方式と江戸時代のトップダウン方式を上げ、どのように崩壊を回避したかを探る。そして、現代のルワンダ、ドミニカ共和国とハイチ、中国、オーストラリアから今なお進行する崩壊の予兆について。最後は、過去と現在から見えてきた四つの失敗、予期できない、感知出来ない、試みない、成功しないがある。主には環境についてだが、文明に限らず、自分たち個人にも当てはまると思う。色々な要因が絡み合い、早期解決は困難だが、未来の、子供たちのために出来ることをすべきだと感じた。
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ジャレドさんの2作目。 下巻では、過去の社会で長期的な視点で環境の保護が上手く行った事例を紹介している。日本の江戸時代の森林保護もここに含まれている。ただし、後段で、現代の日本は大量に木材を消費していて、さまざまな国から輸入している。そのため、輸入先の国の環境を破壊している首謀者として挙げられている。 次に、現代の社会における危機と環境破壊の事例を紹介。とくに、ドミニカとハイチの章は印象的。同じ島の東側と西側に位置する国が、それぞれの政策の違いで環境に大きな差が出ることの実験場のよう。 森林を伐採し、家畜を飼い、外国から小動物を入れると、その土地が破壊される。もともとの環境にも大きく左右されるとは言うものの、早晩同じような結果となってしまうだろう。 ただし、文明を崩壊させる環境破壊は、破壊するほう、破壊されることで被害を受ける側のどちらにも正しい主張が見られる。ただ、環境が破壊されれば結局のところ、どちらの人も被害を受けることになる。 では、この事実を知った私たちは何をすれば良いのか。より影響力のある企業へ圧力をかけるのが良い、とジャレドさんは言ってます。購買拒否であったり政府に環境に配慮することを義務付ける法律や規制を実施するよう働きかけることだ、と。 過去の文明崩壊を紐解くと、環境破壊が原因であった。でも、当時のその人々は、それが環境を壊すことになるとは考えていなかったことが多い。過去に学ぶ機会があった地域では、教訓を活かして存続できたところもある。でも、それはそこに生活する人々が等しくその被害を受けるような地域、もしくは断固として環境破壊をさせない意志を持った指導者がいた地域であって、今の日本には望むべくも無い。
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前半は滅亡した文明史であり、退屈。 後半は現代史であり、興味深い。人口圧力が環境破壊、ひいては、虐殺を招く要因のひとつなど。 ジャニス 集団思考 ケネディ大統領が学んだもの
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文明の話しというよりは、環境問題の本といったほうが良いだろう。LOHAS規制が強くなっているのもこの本を読むと納得できる。 また、本書では、これまで持っていた視点とは異なる視点を得ることができたのは収穫だった。日本の江戸時代の森林保護政策、ルワンダの貧困が虐殺の一因となっているこ...
文明の話しというよりは、環境問題の本といったほうが良いだろう。LOHAS規制が強くなっているのもこの本を読むと納得できる。 また、本書では、これまで持っていた視点とは異なる視点を得ることができたのは収穫だった。日本の江戸時代の森林保護政策、ルワンダの貧困が虐殺の一因となっていること、ドミニカとハイチとでは、ドミニカのほうが雨量が多いことが発展の違いに寄与していることなど。 以下注目点 ・江戸幕府は、明暦の大火以降、森林の保護政策及び人工抑制策を取ったことで、日本は崩壊を免れた。また、こうした施策が取れたのは、江戸時代が250年の長きにわたって続いたから。 ・ルワンダの虐殺の原因は、ツチ族とフツ族との憎しみ合いもあるかもしれないが、それ以上に、人口密度が高い地域で環境破壊が進んでいる地域特有の土地の奪い合いという面があったことも否定できない。殺すことはやむを得ないことだ、それにツチ族を殺せば土地が手に入る。恐ろしいことだ。 ・本来、区別できないほどよりあわされていたツチとフツは、ベルギー人によって持たされた身分証明書によって、区別されるようになった。 ・石油生産の副産物として、得られた天然ガスが他に使い道がないので、燃やされている。 ・病気にかかってしまってから治療を受けるより、安価で簡便な公衆衛生の手段によって病気を予防するほうが、ずっと経済的で効果も高い。それは、油田にて、大企業が環境対策に邁進するのと同じ原理。環境対策をすることで、環境被害、ひいては補償問題を起こさないようにしている。 ・シェルは世界の30年後を予測する部署を持っている。油田は何十年も運営していくから。 ・従業員に一定の振る舞いをさせたかったら、最も効果的な動機付けは、経営者みずからがそう振る舞っているところを従業員に見せることだ。「エクセレントカンパニー」の結論とも一致する。
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銃・病原菌・鉄の方が圧倒的に面白かった。下巻の後半は退屈でとても苦痛だった。 グリーンピースの歪んだ環境意識の根幹は、オーストラリアの歴史的におかしな環境意識なんだな。
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現代を分析する下巻は、一層示唆に富む。環境破壊と貧困と戦争の因果関係。環境に配慮する企業としない企業の差。希望は現代は過去を知っていること。
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下巻では、文明が崩壊しなかった日本やティコピア島の例を分析し、私たちはこれからどうすればよいかを考察する。このままでは、人類は滅亡する。綿密な論理と大胆な推論で危機からの脱出を示唆する警世の書だ。
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