ワイオミングの惨劇 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
非常に複雑な想いを抱く読後である。 少なくとも昨日の、マシューが無頼漢リーダーとその一味を殺し、そして二十マイルの保安官に、いやヒーローに成り損ねた所までを読んだ時には、安易な予定調和に流れず、これが現実だろ?と突きつけたトレヴェニアンの現実を透徹する視座に身震いを憶えたものだが、今日のこの物語の創作メモめいたパラグラフを読むに当って、これら登場人物が実在したという事実に戸惑いを感じた。 この部分はこの小説にとって果たして必要だったのだろうか? あとがきで語られるべきエピソードではなかったのだろうか? ここに至り、今まで語られたストーリーの結構というものが揺るぎを持ち、何とも評し難い思いが渦巻いている。 結局、何が語りたかったのだろう、作者は? 恐らくはハリマンの贈ってきた『デスティニーの最期』とペダーゼン氏が綴った二十マイルとデスティニーでの出来事に触発されて書かれたのだろう。とにかく通常ならばヒーローとなるべきマシューが二十マイルの走り使いとして描かれ、最後も保安官になり損ね、しかも後日談では愛していたルース・リリアンとも結ばれず、単に彼女の家の雑用として余生を過ごすといった具合である。これは事実であるから、既に決められた結末なのだ。 今に至って私は思う。 このルース・リリアンという女性に最後まで付き添って亡くなったマシュー・ダブチェクとは一体何者なのか、そしてその墓碑銘に何故「リンゴ・キッド」と書かれているのか、この点に作者は非常に興味をそそられたのではないか? だから主人公はマシューでありながらも最後までヒーローにはなり得なかったのだ。 感想としては最後の一文に救われる思いがしたが、やはり後味が何とも悪いのである。
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悪い奴が村にやって来てわうわうしちゃう、って話は良くあるっちゃあ良くあるんだけど、このやりたい放題の悪党に感情移入するか、それとも村人に感情移入するかってのが運命の分かれ道。なんかあんまり悪すぎるやつでもひいちゃうしね、難しいところよね。死霊のはらわたみたいになっても困るしね。 ...
悪い奴が村にやって来てわうわうしちゃう、って話は良くあるっちゃあ良くあるんだけど、このやりたい放題の悪党に感情移入するか、それとも村人に感情移入するかってのが運命の分かれ道。なんかあんまり悪すぎるやつでもひいちゃうしね、難しいところよね。死霊のはらわたみたいになっても困るしね。 というわけで、今回は一般向けの小説だからそこまで悲惨な事にはならなくて一安心。 それ、死亡フラグ立ってる!とか、それやったらアカンやつやで、とかいうイベントをコツコツとこなしながら、確実にエンディングに向かっていくのはある種の既定路線というか、予定調和というか。でも盛り上げ方を間違えなきゃいつものやつを頼んでも普通に美味しいってことかな。
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ワイオミングが準州から正式の州になった頃、炭鉱と町の間の小さな街を舞台にした、西部劇っぽい話。 この作者、めったに作品書かない、そんでもってものすごい覆面作家なんだそうで。しかも、1作1作で作風を全くかえてくるらしい。テクニシャンってことですか? 中盤までが、なかなかのれな...
ワイオミングが準州から正式の州になった頃、炭鉱と町の間の小さな街を舞台にした、西部劇っぽい話。 この作者、めったに作品書かない、そんでもってものすごい覆面作家なんだそうで。しかも、1作1作で作風を全くかえてくるらしい。テクニシャンってことですか? 中盤までが、なかなかのれなくて(もともと、西部劇みたいなの好きじゃないので)しんどかったが、中盤以降がすごかった。特に、事件が終わったあとがね。ふっと、テンション落とされて、うむ、って思ったらまたじわじわと。最後の1行まで、本当にすごかった。 しかし、この邦題はどうなんだろうねぇww
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『ワイオミングの惨劇』は『MONSTER』のラスト近くの展開のようです。冷酷な作家の目と暖かい人間観察。ユーモアと皮肉。
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