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歩兵の本領 の商品レビュー

3.9

90件のお客様レビュー

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2012/04/12

自衛隊の若手隊員を題材にした小説。時代設定は1970年頃、というから、ちょうど三島由紀夫が市ヶ谷の駐屯地で自決した頃だ。 実際に、小説の中に1箇所だけ、その事件に言及した部分がある。少し長くなるけれども引用する。 去年、市ヶ谷駐屯地のバルコニーで自衛官の名誉と尊厳を説いた末に腹...

自衛隊の若手隊員を題材にした小説。時代設定は1970年頃、というから、ちょうど三島由紀夫が市ヶ谷の駐屯地で自決した頃だ。 実際に、小説の中に1箇所だけ、その事件に言及した部分がある。少し長くなるけれども引用する。 去年、市ヶ谷駐屯地のバルコニーで自衛官の名誉と尊厳を説いた末に腹を切った小説家がいたが、彼の口にした「正論」に当の自衛隊員たちが誰も賛同しなかった理由は、彼がおのおのの存在責任にまったく関与しない、他者(よそもの)だったからだ。すなわちすべての時間とすべての道徳とを共有しない他者である限り、自衛官は誰ひとりとして彼の説くところに耳を傾けるはずがなかった。 全くその通りだろうと思う。この小説には全く関係のない話になるけれども、これを読んで、いったい三島由紀夫はどんな成算があって事件を起こしたのだろうか、ということが気になった。 ある日突然、自衛隊に乗り込み演説をして決起を促し、本当にそれに乗ってくる自衛隊員がいると思ったのだろうか。クーデターみたいなことをやりたかったのだろうと考えると、三島由紀夫の主張に「賛同」する自衛隊員がいるだけでは全く不十分であり、自衛隊という戦闘力全体をその目的のために操ることが出来る状態になることが必要だったわけだし、それでもまだ不十分で、その戦闘力を使って、どのようにクーデターを展開するのか、という戦略や戦術が必要だったはずである。4人で自衛隊に乗り込み、実際にそんなことが可能だと考えていたのだろうか。そんなはずはない、と思うのだけれども、そうであれば、この事件を起こした意図は何だったのだろうか、ということが気になった。

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2010/09/14

好き。特になんにもない日常が描かれている、ただそれだけの本だけど、 浅田次郎独特の書き方で、すごくバカらしいことをみんなまじめにやっている、そんな実世界の亜空間を覗いているような気にさせる本。 短編集で、それぞれのハナシが根底でつながっている、そしてサクサク読める、アタマのリラッ...

好き。特になんにもない日常が描かれている、ただそれだけの本だけど、 浅田次郎独特の書き方で、すごくバカらしいことをみんなまじめにやっている、そんな実世界の亜空間を覗いているような気にさせる本。 短編集で、それぞれのハナシが根底でつながっている、そしてサクサク読める、アタマのリラックスにもってこいの本です。

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2010/07/09

7/9:1970年代の自衛隊員の短編集 大戦の生き残りやヤクザくずれ、大学受験に失敗した浪人くずれといった色んな背景を持った隊員が悩んだりにげたりと 7/7:ジロリアンの本領です。

Posted byブクログ

2010/05/20

1970年代の自衛隊、そこにいる様々な隊員が主人公の短編集。作者が自衛隊に実際に在籍していただけあって細部の描写まで面白い。特に士長達が一筋縄ではいかない人達だけど、とても良かった。

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2010/04/29

軍隊の話。浅田次郎さんは時々こういう話を書かれるけれど、こんなに抵抗感なく読めると、なんだか不思議。軍隊の中の人間関係が中心だけど、暴力を抜きにすれば、どこにでもありそうな人間関係でもあるね。

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2010/04/20

面白い! 結構何回も読んだけど飽きない。 劇的な何かが起きるわけじゃないけど、知らない世界を覗き見て共感して、というのがいい。

Posted byブクログ

2013/12/07

企業は高度経済成長真っ只中の好景気、大学は学生運動たけなわな1970年代、就職先に自衛隊を選択するような奴は余程の変わり者か事情のある者ばかり。 そんな怪しげな若者たちが地連勧誘員にビフテキや免許や資格で釣られて入隊して来る。 平和憲法の下で防御しか許されず、時に自国民からさえ拒...

企業は高度経済成長真っ只中の好景気、大学は学生運動たけなわな1970年代、就職先に自衛隊を選択するような奴は余程の変わり者か事情のある者ばかり。 そんな怪しげな若者たちが地連勧誘員にビフテキや免許や資格で釣られて入隊して来る。 平和憲法の下で防御しか許されず、時に自国民からさえ拒絶反応を起こされる、他の国に類を見ない「ヘンな軍隊」自衛隊。 世間と隔絶した、奇妙な屁理屈と拳固乱れ飛ぶ軍隊生活と人間模様を、著者の自衛隊在籍中の経験をもとに書かれた短編集。 時々ミステリ風味で懐古的。 気がついたらやるせなさに泣いている。 『泣きの浅田』の入門編。

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2009/10/09

高校時代、こんな素敵な青春があるのか!と思わず自衛隊に入りたくなった作品。自衛隊小説を読み出したきっかけでもあります。 あの時代だったからこそ、いろいろなものがまぶしくて、ジレンマになって、後々エッセイ等で現在の自衛隊の話をされる時の浅田先生は、「俺の時代は段違い〜」という空気が...

高校時代、こんな素敵な青春があるのか!と思わず自衛隊に入りたくなった作品。自衛隊小説を読み出したきっかけでもあります。 あの時代だったからこそ、いろいろなものがまぶしくて、ジレンマになって、後々エッセイ等で現在の自衛隊の話をされる時の浅田先生は、「俺の時代は段違い〜」という空気がぷんぷんして、微笑ましいです。赤間一士、現在地!

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2009/10/07

自衛隊を実際に体験した著者だから書ける自衛隊がらみの短編集。 地連のおっちゃんたちは「もうあそこまでのしごきはないよ〜」なんて言ってたけどどうなんでしょ。ちょっとビビるわな。 それにしても人生いろいろだな。年とればとるほど世の中って汚いとこだなって思うけど、それと同時にこんなにお...

自衛隊を実際に体験した著者だから書ける自衛隊がらみの短編集。 地連のおっちゃんたちは「もうあそこまでのしごきはないよ〜」なんて言ってたけどどうなんでしょ。ちょっとビビるわな。 それにしても人生いろいろだな。年とればとるほど世の中って汚いとこだなって思うけど、それと同時にこんなにおもしろいものもないわと思う。

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2009/10/04

高度成長期の陸上自衛隊を舞台にした短編集。 先輩に理不尽な鉄拳制裁をくらったり、監獄チックな集団生活に戸惑いながらも、次第に居場所を見つけて馴染んでいく様子には不思議な温かみが感じられた。自分自身は決して入りたいとは思わないけどね。 でも、今の時代にこんな生活を強いられたら、...

高度成長期の陸上自衛隊を舞台にした短編集。 先輩に理不尽な鉄拳制裁をくらったり、監獄チックな集団生活に戸惑いながらも、次第に居場所を見つけて馴染んでいく様子には不思議な温かみが感じられた。自分自身は決して入りたいとは思わないけどね。 でも、今の時代にこんな生活を強いられたら、脱退者続出でとてももたへんやろな。

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