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歩兵の本領 の商品レビュー

3.9

90件のお客様レビュー

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    21

  2. 4つ

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一度読む価値あり!

1970年代、高度成長期で沸き立つ日本で、敢えて自衛官という道を選んだ男たちがいた……。未だ戦時中の匂いを残した自衛隊。そこで生きる者たちのドラマを描いた連作短編集だ。男くさく泥臭く、切ない。

abtm

2024/08/04

今の時代、自衛隊の中の事だとしても完全にアウト。でも当時は世の中的に当たり前だったのかな。自分としては森士長や和田士長のような人は嫌いではない。(やられる側はたまったもんじゃないと思うが)面倒見の良いというところでは、そういう人間関係は現代ではなくなってきていると思う。

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2023/08/18

1970年頃の東京を舞台とした陸上自衛隊(市ヶ谷駐屯地)がテーマの中編9編が収録。それらの初出時は99~00年頃、01年刊行、04年文庫化。 収録されている作品の時代背景となった時期は、令和となった今となっては、もはや半世紀以上も前で、読者の年代によっては、時代小説さながらの感慨...

1970年頃の東京を舞台とした陸上自衛隊(市ヶ谷駐屯地)がテーマの中編9編が収録。それらの初出時は99~00年頃、01年刊行、04年文庫化。 収録されている作品の時代背景となった時期は、令和となった今となっては、もはや半世紀以上も前で、読者の年代によっては、時代小説さながらの感慨があるかもしれない。初出時からも四半世紀近く経ち、その間だけでも、日本のみならず世界も驚くほどに変わってしまった。もちろん、この四半世紀近い間だけでも、この作品のテーマとなった自衛隊(陸海空いずれも)、その自衛隊の動静を大きく左右する政治情勢も、そうしたものを取り巻く様々な動きも、大きく変わってしまった。 とりわけ、昨今では、日本が近い将来、再び戦火にまみえる可能性や、他国のそうした動きに多大な影響を受ける可能性が示唆されてもいる。また、そうしたことに対する懸念を抱く人たちも著しい。そうした時代にこそ、まだ先の大戦の際に、最前線に立っていた人たちが先頭に立っていた時代に日本という国の自衛隊がどのような状況の中にあったのかを彷彿とさせられるこの作品を読むことは、極めて意味の大きなことであると考える。ただし、令和のこの時代とは、あまりに時代背景の差異が開きすぎているので、読む人の年代によっては、理解が容易ではないかもしれない。

Posted byブクログ

2023/07/03

これは、兵隊の話!士官ではない。鉄拳制裁は、表向き、真は世渡り下手の苦労人たちなんだよ。そんな彼らが自衛隊と言う柵のなかで織りなす物語。

Posted byブクログ

2023/05/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

変わりゆく時代の中で、反動と言われようが偏屈者と呼ばれらようが、かつて、軍人であった矜りを捨ててはならなかった。銃も剣も国に返したが、返納してならぬ歩兵の本領を、おいても尽きぬ背骨に、私はしっかりと刻みつけていた しかしながら、変わり、ゆく時代に逆行するように、変わらぬ何かがあるはずだ。本作は、歩兵の本領ならぬ、まさしく作家の本領を見せつけた作品と言えるだろう よくも悪しくも古き良き時代の自衛隊は終焉を告げた。いよいよ次の時代に突入したわけだが、この作品に描かれていた頃の自衛隊が、実は1番良い時だったなと言うようなことにならないようにしたいものだ

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2023/04/29

背表紙を見て終戦の月に読む本にピッタリだと思って手に取ったけれど、任期制陸上自衛官のお話だったんですね。今でいう3Kに安月給、それに加えて国民からは存在すら認められず尊敬も得られない悲しくなるような国防の仕事・・・。それぞれの訳あり理由により入隊した若者たちが織りなすミリタリー青...

背表紙を見て終戦の月に読む本にピッタリだと思って手に取ったけれど、任期制陸上自衛官のお話だったんですね。今でいう3Kに安月給、それに加えて国民からは存在すら認められず尊敬も得られない悲しくなるような国防の仕事・・・。それぞれの訳あり理由により入隊した若者たちが織りなすミリタリー青春ドラマ。ちょっぴり切なくて最後にほっこりする物語でした。それにしても、浅田さんが元陸上自衛官だとは知らなかったな〜。

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2023/02/15

2023.02.15 私の中学の野球部のひとつ上の先輩は、先輩だから威張ってました。 野球はヘタでした。せめて尊敬できるヒトが1人でもいれば、こういう短編にもなったかもしれませんが、私の中学時代の理不尽を書いたら「イヤミス」になってしまうなあと、本編とは関係ない読後感。

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2022/06/18

人間味溢れつつもカラッとした雰囲気の短編。 私は集団行動が苦手で部活すら続かなかったタイプなので、読書を通してこういう世界を垣間見るのも良いなと。

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2021/08/01

1970年代の自衛隊の物語。 9編の短編連作集で、当時の自衛隊の若者たちの物語となっています。 戦闘シーンではなく、彼らの日ごろの生活が赤裸々に面白く、楽しく、哀しく語られています。 当時の自衛隊の世論での扱われ方がよくわかります。そして軍隊ではなく自衛隊であることの意味。 ■...

1970年代の自衛隊の物語。 9編の短編連作集で、当時の自衛隊の若者たちの物語となっています。 戦闘シーンではなく、彼らの日ごろの生活が赤裸々に面白く、楽しく、哀しく語られています。 当時の自衛隊の世論での扱われ方がよくわかります。そして軍隊ではなく自衛隊であることの意味。 ■若鷲の歌 幽霊化と思いきや、その正体は.. ■小村二等兵の憂鬱 靴をなくしてしまった小村。その真相は ■バトル・ライン 先輩を殺そうと決意するも.. ■門前金融 自衛隊員専門の金貸し ■入営 入営した新隊員の困惑 ■シンデレラ・リバティ 外出時に会いに行った恋人、時間通りに戻れるか? ■脱柵者 自衛隊から脱走.. ■越年歩哨 年越しに歩哨登板になってしまって.. ■歩兵の本領 除隊を決意した若者の自衛隊への決別 でも、一番驚いたのは作者の浅田さんが元自衛隊員だったってこと!

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2020/11/10

単行本で出版されたとき、買いそびれてた本。 う~ん。もっと、硬い本かと思ってた。 幻冬舎アウトロー文庫で員数合わせの話は読んだことある。本書の話はチョット違ってたけど。 70年代の自衛隊。理由のない虐めや暴力が横行するんだけど、浅田先生の文章力と設定で読まされてしまう。地連の街...

単行本で出版されたとき、買いそびれてた本。 う~ん。もっと、硬い本かと思ってた。 幻冬舎アウトロー文庫で員数合わせの話は読んだことある。本書の話はチョット違ってたけど。 70年代の自衛隊。理由のない虐めや暴力が横行するんだけど、浅田先生の文章力と設定で読まされてしまう。地連の街頭スカウトが職場だろうと借金だろうとヤクザだろうとアパートの借家契約だろうと話をつけてしまう。 (引用)普段戦闘服を着ている自衛官が、返送して街へ出、これぞと思う若者に声をかけていたのだと、米山はそのとき初めて知った。 (引用)「落ちこぼれはいない。なぜかわかるか」「(略)優秀な兵隊をつくるんじゃなくて、クズのいない部隊を作ろうとするんだ」 戦後の矛盾の塊のような軍隊ではない軍隊だけど、色々なモノを飲み込んで存在してたんだなと感慨した。時代は違って、今はこんなんじゃないと解説にある。 除隊の話もエッセイで読んだことある。自衛隊の同期に頼まれて自衛官を前にして公演をした話も読んだ。それでも読み応えあった。 70年代は僕は小学生。友人の家には自衛隊のお兄さんが下宿してしていたし、小学校の帰りには東の空に咲く落下傘を見ていたので、自衛隊に対する世間の冷たい目なんて馬鹿な話と思っていたんだけどね。

Posted byブクログ