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月魚 の商品レビュー

3.8

614件のお客様レビュー

  1. 5つ

    158

  2. 4つ

    181

  3. 3つ

    174

  4. 2つ

    42

  5. 1つ

    9

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2024/01/22

三浦しをんの『月魚』は、古書業界を舞台にした物語です。 古書店『無窮堂』の若き当主、本田真志喜と、同じ業界に身を置く瀬名垣太一。二人は幼い頃から、密かな罪の意識をずっと共有してきた。瀬名垣の父親は「せどり屋」とよばれる古書界の嫌われ者だったが、その才能を見抜いた真志喜の祖父に目...

三浦しをんの『月魚』は、古書業界を舞台にした物語です。 古書店『無窮堂』の若き当主、本田真志喜と、同じ業界に身を置く瀬名垣太一。二人は幼い頃から、密かな罪の意識をずっと共有してきた。瀬名垣の父親は「せどり屋」とよばれる古書界の嫌われ者だったが、その才能を見抜いた真志喜の祖父に目をかけられたことで、幼い二人は兄弟のように育ったのだ。しかし、ある夏の午後起きた事件によって、二人の関係は大きく変っていく…。 この本の主要なテーマは、本と人との絆です。本は、人の心に触れるだけでなく、人と人をつなぐ力があります。真志喜と瀬名垣は、本を通して互いに惹かれ合いましたが、本をめぐる事件によって離ればなれになりました。しかし、本は、彼らの間に残された唯一の繋がりでもありました。本に対する愛情と執着は、彼らの人生に大きな影響を与えました。本書のおすすめポイントは、作者の透明感のある文体と、幻想的な描写です。作者は、古書の魅力や、真志喜と瀬名垣の感情を、繊細で美しい言葉で表現しています。 総評として、この本は、古書業界の裏側や、本に対する様々な思いを描いた作品です。登場人物の感情や背景には、深い謎や秘密が隠されています。読者は、真志喜と瀬名垣の関係の変化や、事件の真相に引き込まれるでしょう。この本は、本に対する情熱や、人との絆を感じたい人におすすめです。

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2024/01/20

瀬名垣が真志喜の髪を優しく愛しむように撫でる描写が堪らなく好き。 負い目を感じながらも、瀬名垣を離したくない。 本と同じように瀬名垣にも執着してしまう真志喜も、堪らなく好き。 夏の風景とそれぞれの呼吸を感じる、「生」を感じる物語でした。

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2024/01/05

新年初読書は三浦しをんと決めていた。 すごく盛り上がる話ってわけではないのだけど、耽美で揺蕩うようなふたりの関係に夢中になります。すべてを語らずとも匂わせる秘密の関係。 年の差のある夫をなくし、蔵書を売りに出そうとしている妻の一言がぐっときた。愛でした。 たった150Pしかない本...

新年初読書は三浦しをんと決めていた。 すごく盛り上がる話ってわけではないのだけど、耽美で揺蕩うようなふたりの関係に夢中になります。すべてを語らずとも匂わせる秘密の関係。 年の差のある夫をなくし、蔵書を売りに出そうとしている妻の一言がぐっときた。愛でした。 たった150Pしかない本編なのに引き込まれました。

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2023/12/04

古書をめぐる話であるが、ところどころ真志喜と瀬名垣の不思議な関係性が見えてくる。BL!と後々気付くがそう思って読むと、また違う風に感じるのだろう、

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2023/11/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

何年経っても不動の一位というくらい大好きなお話。この本がなければ今の私はいないと言っても過言ではないほどに影響を受けています。 二人の関係が苦くて、それでいてとびきり甘くて大好きです。よく読むと身体の関係を匂わせる描写があって読み返すたびニヤニヤしてしまいます。 淡々とした文がすっきりとしていて心地よく、それでいて情景が目に浮かぶようです。父親の描写が少し弱いかもしれませんが、全体として甘美で耽美で、それでも後味がどこかすっきりとしている美しい作品です。

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2023/11/05

BL好きの中2娘からのオススメで読んでみた。三浦しおんさんの作品、初めて読みだったけれど、なんとも綺麗で情景の浮かぶ文章、心地よく読めた。 BLといえばそうだけれども、真志喜と瀬名垣の惹かれ合う様子が人としてとても微笑ましかった。 古書の世界のことも垣間見ることができて興味深く面...

BL好きの中2娘からのオススメで読んでみた。三浦しおんさんの作品、初めて読みだったけれど、なんとも綺麗で情景の浮かぶ文章、心地よく読めた。 BLといえばそうだけれども、真志喜と瀬名垣の惹かれ合う様子が人としてとても微笑ましかった。 古書の世界のことも垣間見ることができて興味深く面白かった。

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2023/10/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人間が人間へ抱く感情や関係性が複雑に丁寧に綺麗に描写されていると感じた。また、登場人物の欠点ともいえるような部分をどこか抱きしめたくなるようなわずかな暖かさをもって表現されており、そうして表現される人間臭さによって、彼らが実際に存在する人間であるかのように感じられる。葛藤や罪悪感、後ろめたさを抱えながらも相手へ抱く、捨てられない愛しさが行動や表情、会話、その全てにあらわれていて登場人物の一挙一動に目が離せなかった。近づきたいのに肝心な部分を曝せず、それでも離れられないぎこちない関係の中にちりばめられる確かな情を感じられる。 葛藤の部分については作品の中である答えが出されているが、関係性についてはこれからどうなっていくのだろうと想像を掻き立てられる幕引きであった。幕引きの描写も静かで耽美でいて綺麗な描写がされていて、読み終わった爽快感と余韻を充分に感じられる作品。

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2023/09/18

友達と、最近読んだ本を交換しようと言い合って受け取った2冊目。 主人公たちのぎこちない関係が瑞々しく描かれる。 古書という独特な世界についても垣間見ることができておもしろかった。

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2023/09/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

モヤっとして終わった。真志喜と瀬奈垣の関係性、無窮堂のその後、真志喜と父親。この本は白黒ハッキリつけたい人には向かないと思った。だが、真志喜と瀬奈垣は文字としてお互いがどう思っているかは書かれていなかったが、書かれなかったからこそ伝わる2人の関係の危うさ、言葉にすると崩壊してしまうかもしれない脆弱性があると思った。激しい同性愛の話ではなかったが、ぼんやりとしてなおかつ温かみのある話だった。

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2023/09/01

本編と付録2編が入った内容。 古本屋の「無窮堂」の店主、真志喜とその友人の瀬名垣、及び友人夫婦の物語。本編でも付録でもBLの雰囲気が濃厚に出ていてギリギリの表現が更にドキドキ感を増す。何かの事件があって、罪悪感や後悔の元になっているのが、後半に明かされる。真志喜の父親の失踪が意外...

本編と付録2編が入った内容。 古本屋の「無窮堂」の店主、真志喜とその友人の瀬名垣、及び友人夫婦の物語。本編でも付録でもBLの雰囲気が濃厚に出ていてギリギリの表現が更にドキドキ感を増す。何かの事件があって、罪悪感や後悔の元になっているのが、後半に明かされる。真志喜の父親の失踪が意外なところで顕在化する。こちらの古書買取勝負もドキドキしてくる。 値段の勝負は結局どうだったのだろうか? 本に掛ける二人の情熱が凄い。 付録の中では男性教師や友人女性にも好かれる真志喜が描かれる。脅されながらも従う教師が可哀想になる。

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