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クリスマスの幽霊 の商品レビュー

3.5

11件のお客様レビュー

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2020/12/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「クリスマスの猫」に続き、もうひとつのクリスマス・ストーリー。 こちらは、男の子とお父さんの関係を描いたお話でした。 後半にウエストール自身の回想録が収められているんですが、ウエストールの少年時代をもとに描いているのですね。 クリスマスイヴの支度に忙しい家族。 ばあちゃんがクリスマスのご馳走になる鳥を、たくましい腕で裁いています。 そのばあちゃんのひとことで、父さんがべんとうを忘れていったことがわかり、ぼくはおつかいに行くことになります。 父さんが働くガス工場は、ぼくにとっては魔法の王国。 守衛の目を逃れ、王国に入り込み、父さんのいる現場まで古いエレベーターでのぼっていく。 そのエレベーターの中で、ぼくは幽霊にあってしまうのです! 壁の鏡に、まるでサンタクロースのようなおじいさんの顔を見たぼくは、そのことを父さんに伝えると、父さんのまわりの部下たちは、そいつはこの工場の主だったオットーの亡霊が、今夜死人が出るだろう、気をつけろと言いに来たのだと噂話をはじめる。責任者である父さんはバカバカしいと怒り始め、ぼくを引っぱって帰してしまう。 ガス工場では、昔から危険な事故で作業員たちがいく人か犠牲になっていた。そして、オットーの幽霊が出る晩には、犠牲者がでるのだという噂があった。 帰りの道すがら、また今夜誰かの家のお父さんが、クリスマスイヴに家に帰ってこられなくなるのかもしれない。 また未亡人とよばれる女の人が出てしまうかもしれない。 しまいには、事故に会うのが父さんだったらどうしよう!?と不安にかられる。 父さんにまた怒られるかもしれない。でも… 私の読後感は、まるでハードボイルド小説! お父さんが威厳のある時代だなぁ。でも、尊敬してやまない父と子どもとの関係は、ピリッとしていながらも温かいものがしっかり伝わりました。 労働者層の、ごちゃごちゃとした町と人々の雰囲気がお話の全体を包みこむ、ちょっと不思議なクリスマスのおはなしでした。

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2020/04/04

子どものころのお使いは冒険。 いろんなものが魅力的なものに見える感性や想像力の豊かさに驚く。 宮崎駿が好きなのもよくわかる。

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2015/11/01

ウエストール自身の子供の頃の記憶を元に書かれたファンタジーと、回想録が各一編収められています。挿絵も雰囲気があって大変素敵。

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2015/05/22

クリスマスイブにぼくは父さんの働いている工場までおつかいに行った。するとエレベーターの中で工場の創始者オットーの幽霊に出会ったのだった。しかもオットーの幽霊が出た日には事故が起こり死人が出るという… 併録されている回想録を読むと、作者の幼少期が色濃く反映されていることがわかります...

クリスマスイブにぼくは父さんの働いている工場までおつかいに行った。するとエレベーターの中で工場の創始者オットーの幽霊に出会ったのだった。しかもオットーの幽霊が出た日には事故が起こり死人が出るという… 併録されている回想録を読むと、作者の幼少期が色濃く反映されていることがわかります。前半1930年代イギリスのクリスマスの様子が詳細に描かれ、後半は工場に対するワクワクする想いと、父親への尊敬と愛情が描かれています。それが幽霊譚だけではない魅力となり彩っています。

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2014/11/24

他の作家なら★三つってところだけど、ウェストールほどの作家だと、このレベルでは二つになってしまう。 ウェストールファンなら、彼のエッセイ「幼いころの思い出」も収録されていて、読む価値があるだろうが、最初にこれを読んだらウェストールは大した作家ではないと思ってしまうだろう。 「クリ...

他の作家なら★三つってところだけど、ウェストールほどの作家だと、このレベルでは二つになってしまう。 ウェストールファンなら、彼のエッセイ「幼いころの思い出」も収録されていて、読む価値があるだろうが、最初にこれを読んだらウェストールは大した作家ではないと思ってしまうだろう。 「クリスマスの猫」は短くても様々な要素が入っていたが、これはあまりない。 ただ、「幼いころの思い出」を読むと「クリスマスの猫」のボビー一家はウェストールの幼いころの家庭に極めて近いのだな、ということがわかって感慨深い。 『指輪物語』のモルドールの描写を読むと父の職場を思い出して懐かしい気持ちになるというのが面白い。

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2014/08/04

クリスマスの日、工場のエレベーターのなかでサンタクロースに似た幽霊に出会う。その幽霊を見ると死者がでると言われている。どうしよう。父さんだったら。

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2012/11/11

ウェストールの作品の中では、自伝に近い小品。子どもたちよりも、大人たちが味わい深く読むかもしれない。

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2012/09/28

読みやすく、良作。 ウェストール作品はまだそれほど読んだわけではないが、これが最も万人受けしそうだ。 当時の街やクリスマスの様子、敬愛する父の工場の様子など、描写がイキイキしていた。 同時収録の、島、油まみれの魔法使いも良かった。

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2012/01/20

(No.12-5) 児童書です。 内容紹介を、表紙裏から転載します。 『クリスマス・イヴ、雪のふりつもった美しい町をとおって、ぼくは父さんが働いている工場へおつかいに行った。すると、エレベーターの中で不思議なものを見た・・・。 壁の鏡にサンタクロースみたいなおじいさんの顔が映っ...

(No.12-5) 児童書です。 内容紹介を、表紙裏から転載します。 『クリスマス・イヴ、雪のふりつもった美しい町をとおって、ぼくは父さんが働いている工場へおつかいに行った。すると、エレベーターの中で不思議なものを見た・・・。 壁の鏡にサンタクロースみたいなおじいさんの顔が映ったのに、振り返った見たらほかにはだれも乗っていなかった。ぼくが何の気なしにその話をすると、父さんとなかまの人たちの顔色が変わった。エレベーターには、工場をはじめたオットーという老人の幽霊が出る。だれかがオットーを見ると、その日工場で事故が起こり、死人が出るというのだ。どうしよう、今日事故にあうのが父さんだったら・・・? 1930年代のイギリスの小さな町を舞台に、男の子の冒険と、父と息子のきずなを描いた、心に残るクリスマスの物語。 作者ウェストールの回想記を併録。』 併録されている回想記は「島」「油まみれの魔法使い」の2編です。 短編としてどこかに紛れてしまいそうな短い小説です。これを回想記を併録したとはいえ一冊で出版してるのは徳間書店の本気振りが伝わってきます。ちゃんとその価値があるんだという。 私はそうたくさんウェストールの小説を読んではいないのですが、それでも気になっていたことがあります。父親、または父親格の男性に対するこだわりと、女性に対するこだわり。父親に対してと母親に対してが違いすぎる気がしてました。 この小説は自伝的なことを元にしているものらしいので、読んでみたくなりました。 この小説や回想から感じられることは、ウェストールは幸せな子供時代を過ごしたんだなということ。家族や周りの大人たちにとっても可愛がられています。お母さんやおばあさんとの関係も良好です。お母さんはやや過保護かもしれませんが・・・。 もしかして女性のことはウェストール自身の妻との何かなのかなと、訳者あとがきで思いました。 そして彼は、お父さんのことが本当に好きで尊敬してたんですね。こんなに真っ直ぐ父を愛することができる少年は幸せだと思います。 ウェストールは、父が働いていた工場が「指輪物語」に出てくる光景にそっくりだったと書いています。恐くはなくて魅力的だったと。 でも工場のシーンを読んだ私が連想したのは「天空の城ラピュタ」の最初の方の場面。パズーが弁当を届けるところです。大音響の中で機械が動いていて、おじいさんがいかにも技術屋という感じで働いているシーンです。宮崎駿さんはウェストールが好きだと聞いたことがあります。何かイメージを投影したのかもしれないなとか想像しました。 小説は作品としてそれだけで独立したものです。でもやっぱり作者のことを知っていたほうが、より理解でき楽しめるでしょう。 ウェストールのことがいろいろ分かり、この本を読んで良かったと思いました。

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2017/11/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

寒くなってくると読みたくなるのがクリスマスの本、とゆーわけで読んでみた。主人公の男の子が素直に父親を尊敬してて、大好きな気持ちが伝わってきてすてきな作品。短いのであっという間に読める。油まみれの魔法使い、かあ。自分の父親をそーゆー風に思えるのってすごく幸せなことだと思う。作者の幼いころの思い出をもとに書かれたらしいけど、よい子ども時代を過ごされたのだろーなあ。父親を想って一生懸命に自分のできることをしようと工場にひとりもどっていくとこがけなげだ。にしてもオットーさんいい奴だなあ。 七年ぶりの再読のようだ。 読んだかなー読んでないかなー いや確かよんだはずーっと思いながら読了。 感想としては同上。 父親をこーゆー風に尊敬と憧れをもって育てる子供は幸せだ。

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