庭の桜、隣の犬 の商品レビュー
考えさせられます
持ち家はある、子供はいない。そんな30代の夫婦の日常。冷静にその夫婦生活を見る視点で、物語は進む。お互いに特に求めるものもない、強い情熱もない。そんなふたりが寄り添いあって、生まれるものは何だろう。
yoko
ローンはあるが、自分たちの家はある。 だけど宗二は、四畳半を借りている。 房子は、反対するわけでもなく合鍵は貰っている。 だけど何処にあるのかは聞かずに、最初に見せらせたいくつかの物件の間取りを頭に入れて、ゆっくり探し出す。 鍵を差し込み、開いたときの何もないスペースを見て恐怖を...
ローンはあるが、自分たちの家はある。 だけど宗二は、四畳半を借りている。 房子は、反対するわけでもなく合鍵は貰っている。 だけど何処にあるのかは聞かずに、最初に見せらせたいくつかの物件の間取りを頭に入れて、ゆっくり探し出す。 鍵を差し込み、開いたときの何もないスペースを見て恐怖を感じ、嫌悪を覚えた。 何もない。何もないことの恐ろしさ。 いったい、この空間で何をしているのか… 房子も家で何をするわけでもなく、時間があれば実家へ行き、ご飯を食べたり持ち帰ったり。 この夫婦、平凡なのか普通というのか… 気になりすぎるのである。 次にどうするのか。何を思うのか。 激しく言いあうこともなく、でも穏やかとはちょっと違うような…。 だが突き詰めてみれば、みんなこの夫婦とそう変わりはないのではないかとさえ思ってしまう。 房子の両親にしても、宗二の母親にしても特別変わっているわけでもない。 むしろリアルすぎて気になるのかもしれない。 結局、家族の描き方がとても上手いんだと思った。
Posted by
子どもがいない夫婦の話が読みたいと思い 江國さんではなく角田さんの本を手に取りました。 しかし、うーん、角田さんらしさが全開、 そして最後はオチもなく…という感じで とても感想が書きにくい作品ですが 人生の流れの一部を切り取ったら オチもなにもないかな、と思い至ったりもしました...
子どもがいない夫婦の話が読みたいと思い 江國さんではなく角田さんの本を手に取りました。 しかし、うーん、角田さんらしさが全開、 そして最後はオチもなく…という感じで とても感想が書きにくい作品ですが 人生の流れの一部を切り取ったら オチもなにもないかな、と思い至ったりもしました。
Posted by
こころここにあらず な ひと。 状況は違うにせよ、似た心持ちで過ごしているひとは多いんじゃないかな。 自分のことなのに、どこか第三者のことのように受け止めて。 言葉を発するそばからツルツル、にょろにょろ。どこかで聞いた台詞を使ってる。 過去の栄光を何度も箱から出して価値を推し測...
こころここにあらず な ひと。 状況は違うにせよ、似た心持ちで過ごしているひとは多いんじゃないかな。 自分のことなのに、どこか第三者のことのように受け止めて。 言葉を発するそばからツルツル、にょろにょろ。どこかで聞いた台詞を使ってる。 過去の栄光を何度も箱から出して価値を推し測って、やれば出来る自分を大切に大切に、しまい込む。 溢れるほどの気持ちを、爆発するほどの感情を、持てる方が幸せなのかもしれない、と思う。 疲れるけど、きっとよく眠れる。
Posted by
子供時代記憶力の良かった房子と宗二の夫婦の話。会社近くに小さなはやを借りた夫。うそつきでイカレタ女レミ(超不快)。実家にべったりな房子。今の生活の喪失感と虚無感を言葉に出来ないもやもやを言葉に出来ないまますすんでいく。結局この夫婦はこの先どうなっていくのか良く分からない終わり方を...
子供時代記憶力の良かった房子と宗二の夫婦の話。会社近くに小さなはやを借りた夫。うそつきでイカレタ女レミ(超不快)。実家にべったりな房子。今の生活の喪失感と虚無感を言葉に出来ないもやもやを言葉に出来ないまますすんでいく。結局この夫婦はこの先どうなっていくのか良く分からない終わり方をした。ただ、それが一番おはなしの締めだったと思う。レミ以外は嫌いじゃない。
Posted by
人生はビジョンか ビジョンを持つことだよ、といいながら、田所宗二はだらだらとした自分が一番安心している。 妻の房子は、彼女がナシング坂と呼ぶ道の途中にある木幡さんちの動かない犬に今日も口笛を吹く。 彼女は、小さいとき記憶力の天才少女ということでテレビに出ていた。...
人生はビジョンか ビジョンを持つことだよ、といいながら、田所宗二はだらだらとした自分が一番安心している。 妻の房子は、彼女がナシング坂と呼ぶ道の途中にある木幡さんちの動かない犬に今日も口笛を吹く。 彼女は、小さいとき記憶力の天才少女ということでテレビに出ていた。いまは、宗二の妻で、夕方になると近くの実家で夕食にするおかずをもらい、宗二の帰宅しない家の中で、ひとり食べ寝る生活をしている。 ある日宗二が仕事場の近くで部屋を借りたいという。彼女は嫉妬して反対するが、合鍵をもらえるならと許可する。 なんとなく結婚し、なんとなく家庭を作っているが、夢とか人生計画とか無縁でいる二人はなんとなく似ている。 平和ボケということかもしれない、が、「私たちって何をやっても結局ゼロだね」という房子の言葉に納得している自分がいる。 いろんな事に意味を見つけて人生をつくっていくことも、どんなことにも意味をみいだせなくダラダラと過ごしていくことも、そんなに差はないのではにか、というところで、安心できる人が少なくはないだろうと思う。 でも、日々は過ぎていき、何らかの関わりを外ともちながら、時々自分の生きていることを実感したりするのだ。 2007-04-18
Posted by
しょせん「夫婦」といっても、まったく違う親から生まれてまったく違う環境で育った相手。自分はこの人のことどれだけ知っているんだろう、という漠然とした感覚や不安が、日常の小さな出来事に紛れて描かれている。角田さんてやっぱりさすがだと唸りました。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
子どものいない30代の夫婦。 仕事もあり、ローンはあるが親に頭金を出してもらったマンションもあり、一般的で平均的な印象を受ける夫婦だけど、お互いにちょっとズレていて夫婦という実感を持っていない。 夫は仕事が多忙なのを理由に職場の近くに安アパートを借りてしまう。妻はそんな独りの場所を手にいれた旦那を心配するでもなく、反対に羨ましく思ってしまう。 夫婦でいることの意味っていったい何なのでしょうね。 夫婦がともにリアルを素直に感じることができない人間だからか、フワフワした感じがしますが、その親たちは対比するように生活にリアリティを感じます。 お互いに行き場がなく、夫婦という像に戸惑っている二人はどうなってしまうのか、、、最後までうやむやと終わってしまいます。 独りの場所がほしいなぁ~と思うことってあるなぁと思います。
Posted by
30代って怖いかもしれない。 房子のように、0は0のままという感覚。 わからなくもないが、わかりたくない。 あと3年半で30歳になってしまうが、ある程度の想定とこの物語自体を反面教師にしなくちゃいけない。 結婚したときにでも読み返してみようかな。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
房子と宗二 仕事を理由に部屋を借りた宗二と、いつからかすれ違う日々。 なにをしてもゼロになってしまうから、なにかそれらしいことをやってみせても、宗二とだと、やっぱりゼロになってしまう。 幼い頃天才少女といわれた房子の感覚とビジョンで生きる宗二。 似た者同士で、ちょっと変で、憎めない夫婦。 和田レミがこわいwww こういう人いるよねまじで。 感覚的な話。こういう話好きだわー。
Posted by