長崎乱楽坂 の商品レビュー
なんとも泥くさい、そして人間らしいドラマだ。
時代の波に遅れつつあるヤクザの一家。そこで育つ幼い兄弟、彼らの目を通して見る生々しい男と女の生き様が描かれる。故郷を捨てたいけど捨てきれない、兄の姿。なんとも泥くさい、そして人間らしいドラマだ。
zxc
長崎のヤクザというか、そこまで行かないけれど、そんな感じの家に育った駿という子の話。 周りは色々と嫌なこと言ったりするけれど、それに気がつくのだけれど、どんな嫌なことなのか?という、具体的な部分は子供ゆえに分からず。 周りはまともと思われる大人や、友達も少なめ。 それでも...
長崎のヤクザというか、そこまで行かないけれど、そんな感じの家に育った駿という子の話。 周りは色々と嫌なこと言ったりするけれど、それに気がつくのだけれど、どんな嫌なことなのか?という、具体的な部分は子供ゆえに分からず。 周りはまともと思われる大人や、友達も少なめ。 それでも、それなりに普通に育っていく駿。 普通の人よりかなり濃い故郷の暮らし。抜け出すにも勇気や色々な物が必要なのはもちろん、そこに留まるのも、色々なものや勇気が必要。なのかなぁ。と思いました。
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地方のやくざ一家の没落、そしてそこで育った二人の兄弟の話なのだけど読ませる。というか読み終わった後なんともいえない気持ちにさせた。やるせないというか、これも人生というか。 長崎というロケーションも大林映画のようなノスタルジーがある。
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6つの短編が、駿と悠太の兄弟に関わる多くの大人たちの生き様をリアルに描いている.母の千鶴は夫文治がいながら、やくざの正吾との関係を保っているが、弟の哲也の生き方を自慢していた.が、哲也は離れの家で絵を描くことに専念し、自死してしまう.家には多くの男たちが出入りし、夜な夜な宴会が繰...
6つの短編が、駿と悠太の兄弟に関わる多くの大人たちの生き様をリアルに描いている.母の千鶴は夫文治がいながら、やくざの正吾との関係を保っているが、弟の哲也の生き方を自慢していた.が、哲也は離れの家で絵を描くことに専念し、自死してしまう.家には多くの男たちが出入りし、夜な夜な宴会が繰り広げられるが、駿や悠太はほったらかし状態.いつしか離れには幽霊が出るという噂が伝わって、近所の評判になる.ドタバタ劇のような展開だが、駿と梨花の話や、ちょっとしたエピソードが盛り込まれていて、楽しめた.
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駿と怒りの沖縄編のカレが持つフラストレーションは近いのではないかと思った。矢印の方向が違うだけで。 まだ読んだ数は少ないけど、吉田修一作品には人の視線の存在がとても強く感じる。 長崎が舞台の本を読んでいて「〜げな」が頭の中で音でちゃんと変換されることに驚いた。
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長崎のヤクザの家に育った少年の物語。厳つい男たちに囲まれて、反発しつつも憧れて、やがて廃れて行くその世界に置いてけぼりになる繊細な若者の危うさが胸に痛い作品でした。変動の時代に翻弄され家族に翻弄された長男に比べ、幼いままに激動を通り過ぎ兄に甘えるだけ甘え、シレっと淀んだ世界から明...
長崎のヤクザの家に育った少年の物語。厳つい男たちに囲まれて、反発しつつも憧れて、やがて廃れて行くその世界に置いてけぼりになる繊細な若者の危うさが胸に痛い作品でした。変動の時代に翻弄され家族に翻弄された長男に比べ、幼いままに激動を通り過ぎ兄に甘えるだけ甘え、シレっと淀んだ世界から明るい世界へ飛び立った弟のなんと自由で自分勝手なことか。世の兄弟とはこういうものかもしれない。逃れたくても逃れられない故郷と環境の閉塞感に、息苦しくなりました。吉田修一、深いです。(旅の予習読書)
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7章からなる連作短編。主人公は6章まで長男の駿で、最後だけ弟の悠太の視点。 一章を読んで、小学生が主役で、やくざと幽霊が出る「離れ」の話で、どうも読めないかもと思ったけれど、主人公が成長し、やくざは落ちぶれていき、家族の形が変わっていくのがおもしろかった。特に6章と7章は、長男と次男の性格の違いがよく出ていて、小さい頃(1章、2章)はあんなにかわいかったのに、こんなになっちゃって、と母親視点で泣きそうになった。長崎の方言もよかった。
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切ない……これは切ない。 なんとも、じわじわと胸を抉るような切なさ。 すべては生まれてきた環境ゆえ、とも言えるし、確かに自分で決められることなど実は何もないのだとは思うけど。 この切なさはなんなのか。悲しいのか憤っているのか。それともまったく違う、泣くに泣けない感じが強烈に残る。...
切ない……これは切ない。 なんとも、じわじわと胸を抉るような切なさ。 すべては生まれてきた環境ゆえ、とも言えるし、確かに自分で決められることなど実は何もないのだとは思うけど。 この切なさはなんなのか。悲しいのか憤っているのか。それともまったく違う、泣くに泣けない感じが強烈に残る。 荒々しくも空虚な日常に、「叔父の幽霊」という異次元が入り込んでくるのが秀逸。 うんざりするくらい人間臭い内容なのに、どことなくお伽噺めいてくる。 駿に母性本能をくすぐられてしまったせいか、とにかく彼の生き方に胸が詰まる……
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章と章の間に数年の月日が流れてるので、めっちゃ妄想を掻き立てられました。 駿というキャラクターの魅力を表現するのは難しいけど、私はとても好き。 哲也についてはもう妄想が止まらなかった、、、、! 吉田さん4作目。 まだはずれなし♪
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最初は舐めてたんですが、いやぁとても面白かった。 描かれている風景が鮮明に浮かび上がり、汗や涙やぐしゃぐしゃした感情みたいなものまでも、とてもはっきりと描かれていました。 結局駿は何がしたかったんだろうね。 神戸に連れてってもらえなかったこととか、そもそも母親が男と抱き合うとこ...
最初は舐めてたんですが、いやぁとても面白かった。 描かれている風景が鮮明に浮かび上がり、汗や涙やぐしゃぐしゃした感情みたいなものまでも、とてもはっきりと描かれていました。 結局駿は何がしたかったんだろうね。 神戸に連れてってもらえなかったこととか、そもそも母親が男と抱き合うところを想像しているあたりで何かが産まれて幽霊と会話が出来てたりしたんだろうな。 それに比べて弟は健気で素直な印象。 この兄弟はとても魅力的。伊坂幸太郎の重力ピエロに匹敵。 これ、映画とかになってるのかな、もしそうなら見てみたい。
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