空の境界(下) の商品レビュー
この作品で一番印象深かったのは橙子の自分の存在に対する考え方だった。もし自身と全く同じ人格、知性、肉体、能力を持った人形があったら自分はどうするだろう?人形を壊すか、自分を殺すか、それとも橙子のように自身を捨て駒同然のように扱うか。本当にこの作品は今まで考えもしなかった体験を与え...
この作品で一番印象深かったのは橙子の自分の存在に対する考え方だった。もし自身と全く同じ人格、知性、肉体、能力を持った人形があったら自分はどうするだろう?人形を壊すか、自分を殺すか、それとも橙子のように自身を捨て駒同然のように扱うか。本当にこの作品は今まで考えもしなかった体験を与えてくれる。 最後のほうはやや普通の恋愛ドラマに傾いてしまって少し残念だったが、最終章ではその傾きをきちんと修正して、その手の作品の中でも異色を放つものとなっている。何かもう批判の仕様がない良作。
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2013年10月読了。 何年か前に友人から薦められて。 未来福音の映画を見たので、復習を兼ねて。 発売日に買ったのか、同じ本がなかったので、未来福音の読了もここに載せる。
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友人から一年以上借りて読了。 上巻を一度読み挫折してもう一度読み直してやっと理解してから下巻を読みだしたので、読み始めた当初よりは世界観や奈須さんの文体に慣れたような気がする。この巻で《矛盾螺旋》は終結を迎え、《忘却録音》《殺人考察(後)》へと繋がる。 両儀式が彼女の物語以外の出会う怪奇としては、この巻では《忘却録音》のみになるのだろうが、その章はどちらかというと両儀というよりも黒桐鮮花が主役の外伝的な位置であるように感じた。兄を愛する禁忌が己の起源であると考えており、勝気な性格はどこか遠坂凛を彷彿させた。 他のレビューも参考にさせてもらったが、これは物語を読むというよりも世界観を感じるというのは言い得ているように私も感じる。 登場人物もそれぞれ特徴的ではあるが、一貫して述べているのは根源の存在し魔術師などが暗躍している奈須ワールドでのルールだ。物語はその世界の解説であってその前後は関係がない。それゆえ章の構造が自由だ。またそれらで淘汰される敵たちはは、そもそも主人公である両儀式と言う存在が不可解であるため、周縁・外堀・彼らのいる世界を補いはしても本質である二年前の出来事・両儀式という存在について言及することはしていない、と思う。ただそれにおいては《殺人考察》《矛盾螺旋》において徹底的に述べられているとは思う。 《矛盾螺旋》で空の境界の物語は終結し、その後にやっと《殺人考察(後)》として両儀式の物語の始まりを知ることができる。構造が前後して理解が難しい部分が多いが、始まりの解明部分を最後に持ってきたのは、なんとなくではあるが、作者はひとえにして『両儀式』と言う少女を描きたかったかのように思う。彼女の成長や彼女の目覚めではなく、これは両儀式という存在がが生まれる物語のように感じた。彼女が困難に巻き込まれていくのではなく、そもそも発端がそこにある。両儀式という不可解な『怪奇』そのものが、空の境界という物語であるようにも考えられた。
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この前映画DVDで見たら忘れてた内容思い出して新鮮だった。エピソードでは忘却録音と殺人考察の下が好き。
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映画視聴後に読んだので、補足的なものとして楽しめた 原作での橙子さんは冷酷さ、意地の悪さが際立っていたように思う あと黒桐くん美少年設定だったのね…
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最も印象に残っている本のひとつ。今までこの種類の驚きを体験していなかったからこその驚きを得られた。同じページを何度も読み返した事を覚えている。本を多く読んでいる人なら、前例があって驚けないのかもしれない。私の場合は運が良かったのだと思う。
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「そら」じゃなくって「から」と読む模様。買うまで気付かなかった。 まあなんだか色々話題になっていたらしい本。作者は「月姫」っていう同人ゲームの作者。この作品も自費出版したものだとか。それがすごく話題になったとか。勿論、クオリティの高さでね。 ただ、それ以上にすごいのは解説が...
「そら」じゃなくって「から」と読む模様。買うまで気付かなかった。 まあなんだか色々話題になっていたらしい本。作者は「月姫」っていう同人ゲームの作者。この作品も自費出版したものだとか。それがすごく話題になったとか。勿論、クオリティの高さでね。 ただ、それ以上にすごいのは解説がなんと笠井潔。ミステリ読みならこれだけでも手を伸ばすだろうな。ミステリじゃないって分かっていながらも、笠井が推すんだから、と思わず手に取ったし。相変わらず、彼の書く解説は読みづらくて読んではないが(笑) 「新伝綺」と銘打ってあるから、伝綺小説なのだろうが、伝奇小説とどう違うのかが分からない。違いがあるのかも分からない。 根源に通じてしまっている元二重人格者(ちょっと微妙)の少女と、彼女を無条件で受け入れ側にいる青年の話。 魔術師とか普通に出てくるし。何かの比喩かと思っていたら、その人ほんとに魔術師だった。現代日本が舞台だとは思うが。つまりはそういう世界。 戦闘シーンとかはとても勉強になったかな。途中、登場人物の薀蓄やら思考の流れやら魔術に関する知識やら、非常に緻密で調べこまれていてこれも面白い。(ただ難しくて斜め読み。) あと、面白いくらいに人が死なない。絶対死んでるって、って怪我でも、何故か生きてる。不思議だ。 一般的にライトノベルと言われているものをあまり読まない高柳は、その語の定義を「神坂一」あるいは「あかほりさとる」として認識している。(別に彼らを下に見てるわけではないが。)だから、ブギー・ポップの上遠野浩平はやや外れたライトノベルス。どちらかというと、これは上遠野に近い。 ただ、上遠野以上に救いがない感じがした。 04.06.10
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一時期話題になっていたが、安く入手できた。ジャンルは伝奇もの、となっているけどライトノベルではなかろうか。上下巻を読み終わっての感想。 <文体> どうやら同人誌の伝説的(?)作品が講談社よりノベルズ化されたということらしい。読む人を選ぶ(広い層に読んでもらおうというより、これを...
一時期話題になっていたが、安く入手できた。ジャンルは伝奇もの、となっているけどライトノベルではなかろうか。上下巻を読み終わっての感想。 <文体> どうやら同人誌の伝説的(?)作品が講談社よりノベルズ化されたということらしい。読む人を選ぶ(広い層に読んでもらおうというより、これを楽しいと思う人に読んで欲しい)感じが、何となく納得。ある情景、シチュエーションを、シンプルに削ぎ落とし凝縮してダイレクトに伝えるのではなく、難しい言い回し、用語、独白を多用し、「雰囲気」を作り込んでいってその中にストーリーを織り込んでいく。入り込めない人には、冗長でうざったいだろう。自分も、最初のうちは苦労したけれど、ストーリー、登場人物にふと入り込めたときに、意外とスッと頭に入ってくるようになった。 PSPの傑作サウンドノベルゲーム「428」のボーナスシナリオで、この作者の文章には触れていたのだけれども、その時に、あまり感じなかったのは、ゲームの場合には、完全に世界観に没入できている状況だったのだろうか。そういう意味では、ゲーム向きの文体なのかもしれない。 <話の内容> 話としては、基本的にはボーイ・ミーツ・ガール的なラブストーリーとして読んでしまって良いのではないかと思う。まあ、登場人物はほぼ全員ありえない能力とか性格とかを持っているんだけど、そんなのはマンガやライトノベルだと思えば普通だし。ストーリーやトリックの巧みさや、登場人物への共感ではなく、世界観を楽しむ作品だと思う。 <余談> 解説も上下巻二部作になっていて、しかも上巻の解説はこの作品の伝奇小説としての歴史的立ち位置を、解説者の知識を列挙しながらひたすら語り続け、作品の内容についてはほぼ一切コメントなし。解説者はこの作品が嫌いなのでは、と思ってしまった。小説の巻末解説は好きな方で、普通は余さず読むんだけど、上巻の解説は、あまりに読みづらく飛ばしてしまった。どうやら下巻の解説とセットで読まなければならないみたい。こんな解説は初めての経験。実はこの本で、そこが一番印象に残ってしまった(^^;)
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本屋で目に付いたので読んでみました。 物の「死」を見る能力・『直死の魔眼』を身につけた両儀 式という 女の子が主人公。 魔術師とかが普通に出てきますw 元は同人誌なのでまぁ、抜け出せてない感じは無くは無い。 でも、相対的には満足できたかな。 正直、第七章の殺人考察(後)ではちょっとだけ涙が出そうになった。
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こちらも映画見た後に。下巻は映画のほうが面白かったなあ。映画すっごく丁寧に作ってあったしね。脳内で映画を再生しながら読んだ。迫力とか殺気とかは映画のほうがずっとつよいよねやっぱり。 とにかく映画のイメージが強すぎて。人物の性格が小説だと特にわかんない。だから何?なんておもっちまっ...
こちらも映画見た後に。下巻は映画のほうが面白かったなあ。映画すっごく丁寧に作ってあったしね。脳内で映画を再生しながら読んだ。迫力とか殺気とかは映画のほうがずっとつよいよねやっぱり。 とにかく映画のイメージが強すぎて。人物の性格が小説だと特にわかんない。だから何?なんておもっちまった。私としてはぜひ映画を見てもらいたいかなあ。映画も分けわかんないけど音楽とか映像とかすっごくがんばってらっしゃるから。
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