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象られた力 の商品レビュー

3.9

64件のお客様レビュー

  1. 5つ

    20

  2. 4つ

    18

  3. 3つ

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  4. 2つ

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2019/02/17

シャム双生児として生まれた天才的ピアニストを題材にした「デュオ」や、絵や文字ではなく形・デザインが持つ力の可能性を説いた表題作など惹きつけられる設定の短編が収められた作品。だけど、オチがどれもピンと来ないものが多かったかな…。個人的にはそこまではまれなかった。

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2019/02/07

『知る人ぞ知る』とか、『伝説の』とかが頭につく作家。 どういう経緯で知ったんだったか……思い出せないけど、シリーズものがドはまりで、それを執筆するまでの作品が読みたくて借りた。 この収録作を最後に10年のブランクを経て、わたしが続きを熱望しているシリーズが発売された。 やはり、す...

『知る人ぞ知る』とか、『伝説の』とかが頭につく作家。 どういう経緯で知ったんだったか……思い出せないけど、シリーズものがドはまりで、それを執筆するまでの作品が読みたくて借りた。 この収録作を最後に10年のブランクを経て、わたしが続きを熱望しているシリーズが発売された。 やはり、すごい。 文章で、これほど視覚的に訴えてくるSFははほかにない。

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2018/12/28
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※このレビューにはネタバレを含みます

面白かった。読んでいる途中で書かれた年を知って少し驚いた。 デュオ>象られた力>夜と泥の>呪界のほとりで、の順に好き。『デュオ』がすごく読ませる。切なさと恐ろしさが同居した読み心地。設定的にはSFなのだが、偉大なピアニストを殺すべきなのかという葛藤、殺しても死なない「名無し」の行く末、誰が死に、誰が生きるのかという展開の妙が面白い。この文学的なSFこそ本邦のSFの持ち味だと個人的には思う。 『象られた力』はもっとSFへの振り幅が大きいが、破壊や破滅の正体がSF的設定を紐解く中で徐々に明らかにされていく、という仕掛け自体は『デュオ』に似たホラーな感触がある。図形が人間の持つ本来の能力のみならず、なぜ超能力的な力まで呼び覚ますことができたのか、そのあたりの解説が無く腑に落ちた感じがしないのが惜しい。 『夜と泥の』は彼のテラフォーミングを題材にした世界観を彩る掌編と言うところか。描写の美しさに舌を巻く。『呪界のほとりで』は安易な役割語(『象られた力』でも見られるが)で話す老人に入れ込みにくく、全体的に読みづらかった。

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2018/11/09

日本SFの本を探していれば必ず目に入る題名なので。 思ったよりも昔(1980〜1990年代)に書かれたもの。 最初は目新しい単語と色彩で置き換えただけのSF短編集か、と思っていましたが、後半は全くそんなことなく。社会の仕組みや人間の根本を改変するSFではなく、宇宙の見方、人の感...

日本SFの本を探していれば必ず目に入る題名なので。 思ったよりも昔(1980〜1990年代)に書かれたもの。 最初は目新しい単語と色彩で置き換えただけのSF短編集か、と思っていましたが、後半は全くそんなことなく。社会の仕組みや人間の根本を改変するSFではなく、宇宙の見方、人の感じ方と空気を変える着想と描写に力強さを感じました。 「夜と泥の」「象られた力」が素晴らしい。 宇宙に咀嚼され消化される人類、人工生物によって永遠に引き起こされる神話。視覚言語と、形に詰まったエネルギー、崩壊の文様。図形と形に満ち溢れている世界はなんて力に満ちているのだろう。満ち溢れている力に気づき感じとり、圧倒された。圧倒的な力の存在に気づいた。

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2018/08/25

初めて読んだ飛先生作品。 静かで不思議で美しいSF小説短編集。 例えると、広く暗い宇宙の片隅でいつかあった誰かの人生の一部を物語として切り取ってきたという短編が連なっている。なぜ?という質問には決して答えない。そこが逆に素晴らしい。あるがままの状況を切り取ってきて、物語として仕上...

初めて読んだ飛先生作品。 静かで不思議で美しいSF小説短編集。 例えると、広く暗い宇宙の片隅でいつかあった誰かの人生の一部を物語として切り取ってきたという短編が連なっている。なぜ?という質問には決して答えない。そこが逆に素晴らしい。あるがままの状況を切り取ってきて、物語として仕上げた、いわばフォークソングのような物語たち。

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2018/06/30

イメージが想起される魅力的な短編。風景と情感の描写がよく、ラストに向けて物語世界の反流に襲われる感覚となった。

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2018/01/04

 三本の短編と一本の短めの中編からなる作品集。  この手の本を読んでいつも思うのは「これがSFか?」ということ。  別にSFに拘る必要もないし、読んで面白ければそれでいいのだけれど、例えば本書の冒頭の作品「デュオ」なんかは、SFのS……科学……というよりも、非科学的事象を題材...

 三本の短編と一本の短めの中編からなる作品集。  この手の本を読んでいつも思うのは「これがSFか?」ということ。  別にSFに拘る必要もないし、読んで面白ければそれでいいのだけれど、例えば本書の冒頭の作品「デュオ」なんかは、SFのS……科学……というよりも、非科学的事象を題材にしている。  江戸川乱歩や夢野久作が書いてもおかしくない内容なのに、SFなのか……。  あるいはSFってもっと広義の意味合いが含まれているものなのか。  まぁ……いいけど(と書きつつも、どうもいつもひっかかってしまう)。  その「デュオ」なんかはブライアン・W.オールディス の「ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド」なんかを思い起こさせたりもした(あちらはロック・バンドだし、内容は全然違うんだけど)。  SF云々でケチをつけたような書き方をしたけれど、実はものすごく面白く読み進めることができた。  意表を突く題材に、きっちりとした伏線の張り方、その伏線の回収の仕方、読みやすい文章。  読者である僕ととても相性の良い作家のようだ。

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2017/11/26

SF。中短編集。 「デュオ」 ミステリ、ファンタジー、ホラー、どれにも分類できそうな音楽SF。個人的には怖さを感じたので、ホラーの印象が強い。 「呪界のほとり」 異世界ファンタジー風。いまいち。 「夜と泥の」 テラフォーミング。情景描写が圧巻。 「象られた力」 わからない。読み...

SF。中短編集。 「デュオ」 ミステリ、ファンタジー、ホラー、どれにも分類できそうな音楽SF。個人的には怖さを感じたので、ホラーの印象が強い。 「呪界のほとり」 異世界ファンタジー風。いまいち。 「夜と泥の」 テラフォーミング。情景描写が圧巻。 「象られた力」 わからない。読みにくい。 表題作が一番苦手…。「デュオ」と「夜と泥の」が好きでした。

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2017/10/18

図書館で。 グラン何とかってのは読んだ記憶があるような… それにしても不思議な経歴をお持ちの方なのですねぇ。 デュオはピアノの話でちょっとホラーな感じ。死んでしまった3人目の意志というか意識がちゃんと勉強しているのが面白い。強い生への自我とかじゃないのねぇ。 竜と主役と老人、...

図書館で。 グラン何とかってのは読んだ記憶があるような… それにしても不思議な経歴をお持ちの方なのですねぇ。 デュオはピアノの話でちょっとホラーな感じ。死んでしまった3人目の意志というか意識がちゃんと勉強しているのが面白い。強い生への自我とかじゃないのねぇ。 竜と主役と老人、というスラップスティックな感じの短編は面白かった。そのうちコレシリーズになりそう。 夏至の日に機械仕掛けの妖精たちが争うってなんかシェイクスピアか神話みたいな話で面白い。ウィルス最強。 アイコンが作用しあい、一つの意志というか力を発動するというのは…なんかうん、ちょっと受け入れがたくもあり怖いなぁと素直に思ったり。百合洋をユリウミと読ませるのがカッコイイ。

Posted byブクログ

2018/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最初の「デュオ」はSFっていうよりミステリでしょ。シャム双生児の天才ピアニストに死産した兄弟の意識が入り込んでるって設定だけでイカす〜。表題作はがっつりSF。意匠や文言が感情感覚に直接作用して果てには物理的な力を持つ。。。「図形テロ」って面白いけど、だいぶ"虐殺器官"的だし、「自生の夢」と被ってない?違うネタを希望。

Posted byブクログ