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象られた力 の商品レビュー

3.9

64件のお客様レビュー

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2009/10/04

五感を刺激する精緻で豊穣な文体を駆使して、思弁的アイデアによって構築された世界での人々の意識の変容を描く作品4編を収録。表題作と「デュオ」はオールタイムベスト級の傑作。イーガン、チャンの最高作に比肩しうるレベルに達している。

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2009/10/04

 例えば大友克洋の「AKIRA」で鉄雄の力が暴走するところ、僕はそれを外側から一つの現象として見るわけです。一方で「象られた力」では、ホテル・シジックの崩壊を圓として体験することが出来る。こういうことこそが、マンガや映画とは違う活字の力であり、小説家に求められる資質なんだと僕は思...

 例えば大友克洋の「AKIRA」で鉄雄の力が暴走するところ、僕はそれを外側から一つの現象として見るわけです。一方で「象られた力」では、ホテル・シジックの崩壊を圓として体験することが出来る。こういうことこそが、マンガや映画とは違う活字の力であり、小説家に求められる資質なんだと僕は思う。飛さんの小説を読むと、そういうことを強く感じてしまう。  それから飛さんの小説の登場人物は見事なまでに饒舌である。これはきっと、SFであるからなんだろうと思うけど、読んでいる途中はほとんどそうである事を感じさせない、巧さなんでしょうね。  もう一つ感じるのは、面白いSFって良く出来たミステリーになっているってことですね。  今のところ「夜と泥の」が一番好きです。誰かの何かに比較したりするの良くないのだろうけど、漆原友紀「蟲師」とか、大友克洋「彼女の想いで...」などを視覚的に思い浮かべながら堪能しました。  ところで、この本を去年の秋頃に松江のある書店で買ったんですが、その日ちょうどその店で飛さんを見かけたんですね。で、声かけようかと思ったけど、手にはまだレジを通していない現物を持っているし、「今から買うところなんですよ」っていうのもマヌケだよね。なんて思っているうちに見失ってしまいました。こう見えて、小心者なんですよ、おいら。  そうだ、今、思い付いたんだけど、「面白いSFって良く出来たミステリーになっている」ではないですね。小説ってもともとがミステリーなんだよね、きっと。ミステリーっていうのは、ジャンルではない、きっぱりと言い切ってしまうのだ(何故、今?)。

Posted byブクログ

2009/10/04

SF大賞受賞ということで読んでみた。短編集。中編込み。全体として感覚がとろけて持って行かれるような興味深さがあった。文章で架空の世界を描くことで、そんな風になるというのは素晴らしい。世界の終わりを感じさせるようで、それでもまだ続く。SFってすげえなと思わされる。ひっくり返る伏線と...

SF大賞受賞ということで読んでみた。短編集。中編込み。全体として感覚がとろけて持って行かれるような興味深さがあった。文章で架空の世界を描くことで、そんな風になるというのは素晴らしい。世界の終わりを感じさせるようで、それでもまだ続く。SFってすげえなと思わされる。ひっくり返る伏線と、毎度驚いて手に汗握る自分。SFを書くべくして生まれた優れた作家の作品がここにある。あまりに面白いので、読んでいる途中ですでに他の作品も購入してしまった。

Posted byブクログ

2009/10/04

これほど文章の豊潤なSFを読んだのは初めて。饒舌ではない、むしろ無駄のない文体なのに、想像もつかない世界を言葉の力で鮮明に浮き上がらせてくれる。 言葉も、世界もとても魅力的。物語に浸る歓びがじっくり味わえる。 表題作が特に印象強かった。

Posted byブクログ