ポロポロ の商品レビュー
「物語」ではない「真実」
表題作の「ポロポロ」以外は、太平洋戦争末期に学徒召集された著者の戦争体験回想録である。人にはその人にしかわからない「真実」があり、記憶にさえ残らないほど過酷で激烈な体験であっても、言葉・文章にした途端に「物語」イコール虚構になってしまう危うさを自戒しながらの著述であり、だからこそ...
表題作の「ポロポロ」以外は、太平洋戦争末期に学徒召集された著者の戦争体験回想録である。人にはその人にしかわからない「真実」があり、記憶にさえ残らないほど過酷で激烈な体験であっても、言葉・文章にした途端に「物語」イコール虚構になってしまう危うさを自戒しながらの著述であり、だからこそそこに著者の「真実」を見る。
fugyogyo
小説としても、戦争体…
小説としても、戦争体験機としても楽しめる一冊。
文庫OFF
著者自身の戦前戦中の…
著者自身の戦前戦中の話。結構ひさんな話なのに、コミさんが語ると飄々。
文庫OFF
この本を読むと、戦争…
この本を読むと、戦争中の日本軍がいかにいいかげんで悲惨な事をしていたかがわかります。でもコミさんの語り口で読むと、思わず笑ってしまうんだよなあ・・・
文庫OFF
太平洋戦線とは違って中国戦線では、敵兵を見ない、というのは有名なはなしと記され、ここでの軍隊生活の苦労話が主。脳炎、パラチフス、発疹チフス、赤痢、マラリア、アメーバ赤痢、天然痘。遂にはコレラ。日常的な下痢。果しない移動の為の行軍。淡々と記され文章が続く。
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あまり無い不思議な読書体験をした。 一見普遍的な戦争文学だが、物語性を拒絶した煙に巻くような、言葉を転がしながらその実何も語っていない文体に奇妙な引力がある。 作者の拘り、“何かの形式に収めない事”をまだ全て理解は出来ていないが、谷崎賞を獲ったこの作品に文学的重要性と、錚々たる...
あまり無い不思議な読書体験をした。 一見普遍的な戦争文学だが、物語性を拒絶した煙に巻くような、言葉を転がしながらその実何も語っていない文体に奇妙な引力がある。 作者の拘り、“何かの形式に収めない事”をまだ全て理解は出来ていないが、谷崎賞を獲ったこの作品に文学的重要性と、錚々たる選評者達の心を掴んだ魅力はビンビン感じた。
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ちょっと変わった主人公の戦争日記。 視点違うけど、日本が負けた理由がわかるわ。 戦う前からこれじゃ。。。
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書くことが、必然的に何かの形式におさまること。具体的には「物語」になってしまうこと。そこから何かが匂い始める……田中小実昌はそうした匂いに敏感で、そこから何らかの(こんなキツい言葉は使っていないが)「嘘くささ」「フェイク」をも嗅ぎ取ってしまうのだろうなと思った。いや、だったらただ...
書くことが、必然的に何かの形式におさまること。具体的には「物語」になってしまうこと。そこから何かが匂い始める……田中小実昌はそうした匂いに敏感で、そこから何らかの(こんなキツい言葉は使っていないが)「嘘くささ」「フェイク」をも嗅ぎ取ってしまうのだろうなと思った。いや、だったらただ言葉をざっくばらんに並べて終われよということになるのだろうが、そうしないというか、ついつい良質な「物語」を編んでしまうところがこのコミさんの生理でもある。そこでコミさんは「いいのかな?」と葛藤する。それは極めて「誠実」な態度と思う
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戦場での日々を淡々と(それはどこか呑気にすら感じるほど)書いていると思っていた連作が、最終的に「物語ること」への強い自戒へ連想されていく。 かんがみると作中にある「戦争の悲劇とか、戦争の被害者だとか」という、戦中の日々を描いたものに付随する記号性を消し去る心づもりも文体には込...
戦場での日々を淡々と(それはどこか呑気にすら感じるほど)書いていると思っていた連作が、最終的に「物語ること」への強い自戒へ連想されていく。 かんがみると作中にある「戦争の悲劇とか、戦争の被害者だとか」という、戦中の日々を描いたものに付随する記号性を消し去る心づもりも文体には込められているのかもしれないとかんぐる。
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「ポロポロ」以外は軍隊の話。生死の中にありながら、どことなく冷静な視点がある。小説というより、自分の体験を自分の目線で言葉に置き換えたような。
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