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悪魔とプリン嬢 の商品レビュー

3.5

37件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    15

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2024/02/10

山奥の小さな村に訪れた異邦人。彼の仕掛けた大きな問と罠に翻弄される、プリン嬢と村の人たちの姿を通して、人の善悪を問う作品。 まあ、金(またはある種の善と言い含められるもの)のために悪を成せますか。というありがちと言えばありがちのテーマ。でも、単純な勧善懲悪ではなく、かといって悪の...

山奥の小さな村に訪れた異邦人。彼の仕掛けた大きな問と罠に翻弄される、プリン嬢と村の人たちの姿を通して、人の善悪を問う作品。 まあ、金(またはある種の善と言い含められるもの)のために悪を成せますか。というありがちと言えばありがちのテーマ。でも、単純な勧善懲悪ではなく、かといって悪の勝利を高らかに歌うものでもなく、正直そういうオチ!?という感じ。なのでカタルシスも無く、もやっとした感覚が残るのだけれど、ここら辺の感性の違いはやっぱり生まれ育った環境が異なるからなんだろうか。 結論としては人間の中には善も悪も等しく存在するってところなのかな。

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2022/11/03

田舎町に訪れた旅人が、住民の一人を殺せば、一生豊かな生活ができるほどの金塊を譲ろうと提案する話。旅人と住民一人ひとりが、各々の内にある善と悪に耳を傾けながら葛藤するという、人間の生臭ささを描いている。舞台と設定はとてもユニークで興味をそそられたが、個人的には終わり方はあっけない感...

田舎町に訪れた旅人が、住民の一人を殺せば、一生豊かな生活ができるほどの金塊を譲ろうと提案する話。旅人と住民一人ひとりが、各々の内にある善と悪に耳を傾けながら葛藤するという、人間の生臭ささを描いている。舞台と設定はとてもユニークで興味をそそられたが、個人的には終わり方はあっけない感じを受けた。

Posted byブクログ

2021/08/28

人間の本質は善か悪か。難しいテーマのように思えるが、設定がたくみで序盤から面白い。心の中にいる天使の輝きと悪魔のささやきに揺れる登場人物たち。信仰と犯罪、町に伝わる聖者の逸話などの間で様々な論議がかわされる。最後はうやむやにならず、明確な解答にすっきりした読後感だった。 昔のア...

人間の本質は善か悪か。難しいテーマのように思えるが、設定がたくみで序盤から面白い。心の中にいる天使の輝きと悪魔のささやきに揺れる登場人物たち。信仰と犯罪、町に伝わる聖者の逸話などの間で様々な論議がかわされる。最後はうやむやにならず、明確な解答にすっきりした読後感だった。 昔のアニメとかでよくあったアレ、 主人公がよこしまな考えを抱いたときに横から登場する、 悪魔「やっちゃえよ」 天使「ダメだよ!」 みたいなシーンを思い出しながら読んだ(笑)。

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2020/02/22

「条件さえ整えば、地球上のすべての人間がよろこんで悪をなす」 人間には良い天使と悪い天使がいて、葛藤しながら選択しながら生きていく。 悪が根底に存在すると同時に善も存在する、人間の表面でもあり深層でもある部分に光が当てられた作品でした。

Posted byブクログ

2019/01/09

コエーリョの作品は、どれを読んでもいまひとつ馴染めなくて、やっぱりこれも途中でやめた。訓戒めいたテーマが、ストーリーにあまりに露骨にあらわれていて。ありがたいお話という印象に拒まれて、どうしても没頭できない。校長先生の訓話みたいに。どうなんでしょうね。 ブクログは、「読み終わった...

コエーリョの作品は、どれを読んでもいまひとつ馴染めなくて、やっぱりこれも途中でやめた。訓戒めいたテーマが、ストーリーにあまりに露骨にあらわれていて。ありがたいお話という印象に拒まれて、どうしても没頭できない。校長先生の訓話みたいに。どうなんでしょうね。 ブクログは、「読み終わった」「積読」などに加えて、「途中でやめた」というステータスを設けてほしい。

Posted byブクログ

2018/09/04

Twitterにておすすめ本として紹介いただいた お恥ずかしながら著者、本書を知らず『アルケミスト - 夢を旅した少年』『ベロニカは死ぬことにした』だけ題名を薄っすらと知っているだけだった。 宗教、歴史、抗えない現実!これぞラテンアメリカ文学 なのかどうかは知らないけれど、大昔集...

Twitterにておすすめ本として紹介いただいた お恥ずかしながら著者、本書を知らず『アルケミスト - 夢を旅した少年』『ベロニカは死ぬことにした』だけ題名を薄っすらと知っているだけだった。 宗教、歴史、抗えない現実!これぞラテンアメリカ文学 なのかどうかは知らないけれど、大昔集英社文庫で何冊かラテンアメリカ文学を買って積読なだめな私に読書の広さをあらためて教えてくれた一冊でした。

Posted byブクログ

2017/01/22

一週間の間で善悪の戦いを引き受け生まれ変わる異邦人とプリン嬢の物語。村の人たちの心変わりする様があまりにも簡単で怖い。異邦人は答えを見つけられないまま村を出ると言ったけど結局人は本質的に悪で、それを抑えるかどうかにかかってるってことなんだな、というのがそのままメッセージなんだろな...

一週間の間で善悪の戦いを引き受け生まれ変わる異邦人とプリン嬢の物語。村の人たちの心変わりする様があまりにも簡単で怖い。異邦人は答えを見つけられないまま村を出ると言ったけど結局人は本質的に悪で、それを抑えるかどうかにかかってるってことなんだな、というのがそのままメッセージなんだろな。私も恐れがなければもっと悪い人になってる気がする、そう考えると怖くなる。『ベロニカは死ぬことにした』のラストは好きでしたが本作の最後はどうにも腑に落ちないのは、私が現実よりも夢を見ていたい心の表れなのかもしれない。結局金か、と。

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2015/08/02

パウロ・コエーリョ作品の中では訳文も比較的読みやすく、世界観も超俗的なスピリチュアル・メッセージを含むものというよりはむしろ限りなく人間の悪という俗世間に近い内容を描き出している。悪とはなにか、を知りたい人はぜひ。

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2015/02/08

"アルケミスト""第五の山"などで知られる著書によるキリシタン文学。 平和で退屈な山奥の村ヴィスコスにやってきた外国人の旅人。村で唯一の宿で働くバーメイドのシャンタールは好奇心から彼にちょっかいを掛ける。思いもかけず旅人は彼女を誘い出し...

"アルケミスト""第五の山"などで知られる著書によるキリシタン文学。 平和で退屈な山奥の村ヴィスコスにやってきた外国人の旅人。村で唯一の宿で働くバーメイドのシャンタールは好奇心から彼にちょっかいを掛ける。思いもかけず旅人は彼女を誘い出し、彼の財宝と引き換えにある取引きを持ちかける。 一見善良な田舎の人々。彼らの奥底に眠る善と悪とを掘り起こそうとする旅人。キリシタンの教えが背景に流れ、ふわふわとした読後感です。 ○人間の本性についてだ。われわれは誘惑に屈する機会を与えられれば、遅かれ早かれ必ず誘惑に屈する、というのが私の発見した真実だ。条件さえ整えば、地球上のすべての人間がよろこんで悪をなす。 ○たとえばではなく、実に明確なことだ。ー『汝、殺すべからず』の戒めを犯してほしいのだ。君が今聞いたとおりのことだ。彼らに犯罪を犯してほしいんだ。期限は一週間だ。七日後までに町の誰かが死体となって現れたらーもう働けない老人であってもいいし、不治の病人でも、手がかかる心身障害者でも、被害者は誰でもいいー、この金は住民のものになり、私はわれわれすべてが悪なのだと結論を出せる。 ○思いやりのある人間という役割を演じるのは、人生において決然とした態度をとるのを恐れている人たちのやることなのだ。自分が善人だと信じておくほうが、他の人に立ち向かって自分の権利のために戦うよりもいつでもずっと簡単なことなのだ。侮辱されてやり返さないでおくほうが、自分よりも強い相手と戦う勇気を発揮するよりも、いつでも簡単なのだ。

Posted byブクログ

2014/11/11

 コエーリョの作品は今まで、『ピエドラ川~』と『ベロニカ~』の2作品だけ読んでいる。この『悪魔とプリン嬢』は自分にとっては3作目だった。端書を読むと作者自身が、この3作は「1週間で人の人生は変わることができる」という内容を扱った3部作であるという。特別読み始めの3作に恣意的なもの...

 コエーリョの作品は今まで、『ピエドラ川~』と『ベロニカ~』の2作品だけ読んでいる。この『悪魔とプリン嬢』は自分にとっては3作目だった。端書を読むと作者自身が、この3作は「1週間で人の人生は変わることができる」という内容を扱った3部作であるという。特別読み始めの3作に恣意的なものはなく、3冊とも別々に購入したものだったが、ブックオフで100円で売られていたという理由で選んだことにも、小さな導きがあったと思うとことにする。  確かに、人生における一週間という短い断片について語られた作品群であり、人生の転換が様々な形で描かれている。私がコエーリョを心地よく感じるのは、カトリックの信仰が根底に流れているからである、それが保守的に描かれるのではなく、詩的かつ前衛的にとらえられながらも、人間の善を肯定しようという意志と人生観がにじんでいるからだと思う。3作目にして気づいたことである。  この作品は前の2作よりも構成はシンプルであり、メッセージもシンプルである。テーマは『悪』である。どんな良心的な人間であっても、環境さえそろってしまえばたやすく悪を行う、というテーマが前面に押し出されている。主人公のプリン嬢と片田舎の住人に突き付けられた天秤。未来を保証してくれる金銭と一人の命。無思慮で保守的な住人達は、自分の身を善におくように言い訳をしながら金を得ようと命の灯を吹き消そうとするが、プリン嬢がその天秤自体を壊してしまう。  プリン嬢はどこまでも現実的な内容をつきつけ天秤を壊していくところがミソ。住人たちの良心に訴えかけ、人間の本性は悪ではなく善であるということを悪魔に知らしめることもできなくはなかったかもしれない。けれどあえてそれをしなかった。しかしそれは結果的に最善だったであろう。良心に従い、周りの意見に流され金をあきらめたのであれば後々様々な臆見によってのいさかいが起こるであろう。しかし、現実的な問題で天秤を壊してしまうこと、金銭をどちらにしても手に入れることはできないんだ、ということを理解させたことで、故郷までも守った、守ることが本質的に正しかったかは別として、それを一人でなしたプリン嬢の勇敢が悪魔を退けた。  ハッピーエンドとは言えないが、現実においての知恵と勇気と強さを学んだ。面白かった。 14.11.11

Posted byブクログ