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チベット旅行記(下) の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2024/08/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

河口慧海は医師としての信用を得ながらチベットのラサに入り、大学で学び始める。しかし彼が日本人だという噂が流れ始めた。彼は周囲の協力を得てどさくさに紛れてラサを出立し、嘘も方便に賢く関門を抜け、ダージリンに到着することができた。 上巻がヒマラヤの旅の困難さをひたすら描くサバイバルな巻なのに対して、奇跡のように患者を治して人々の信用を得、チベットで平和に暮らす下巻は少しゆったりしている。本当は医師ではないのにキリストの奇跡物語のように病人や瀕死の人を癒していくのがすごいし、逃げ帰る時の難関の関所も奇跡のようにすっと通っていけるのがすごい。彼の協力者だった大蔵大臣らが捕えられて責苦にあっていると知らされたその後の話や2度目のチベット旅行の話が割愛されていて気になる。 僧としてのあり方もさることながら、やはり旅行記として読むのが面白いし、チベットの風習なども書いてあって文化人類学的に面白いと思う。

Posted byブクログ

2023/05/07

チベット入国後、支那人を装いセラ大学に学ぶ。そして法王ダライ・ラマの侍従医にまで上りつめ、仏法も学び当初の目的は達成するが、日本人であることがバレそうに!バレれば投獄。死罪もあり得る。果たしてどうやって脱出するのか!下巻ではチベットの文化や風習、生活の比較文化が面白い。

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2019/03/11

肉食や肉欲を禁じながらも、自らの目的のためには人を騙す。この本を読むと、一体何が仏の道で、一体何が人道なのかが分からなくなる。聖人では、自らの命を捨てる覚悟を持っていたとしても大切なものは守れず、そもそも事物に囚われない事から大切なものを持たないのかも知れないが、では、そこに見せ...

肉食や肉欲を禁じながらも、自らの目的のためには人を騙す。この本を読むと、一体何が仏の道で、一体何が人道なのかが分からなくなる。聖人では、自らの命を捨てる覚悟を持っていたとしても大切なものは守れず、そもそも事物に囚われない事から大切なものを持たないのかも知れないが、では、そこに見せる執着は何なのか。まして肉欲の無い世界は、子孫も残せず、滅びを導きはしないのか。チベットまでの苦行に耐える著者の手記を見ながら、自分の価値観を照らし、悩む。どうやら、仏の道とは、ただのこだわりを貫く事ではないか。そして、貫く事こそが戒律であり、煩悩を絶する事は、単に自らのルールに過ぎないのでは、と。考えながら読む。著者と共に、旅をしながら。不思議な読書体験であった。

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2013/08/05

すごく面白かった。日本人と言うことがばれるとまずいらしく、色々知恵を回してなんとか切り抜けていく。でも、お坊さんだけど医療の知識がチベットではめずらしく、はったりもありで名医として有名になってしまったり。最後、チベットを抜けることができたが、ラサで世話になった人が投獄されたりとい...

すごく面白かった。日本人と言うことがばれるとまずいらしく、色々知恵を回してなんとか切り抜けていく。でも、お坊さんだけど医療の知識がチベットではめずらしく、はったりもありで名医として有名になってしまったり。最後、チベットを抜けることができたが、ラサで世話になった人が投獄されたりということもあったりらしく、大変だったなあ、とおもった。

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2011/03/23

チベットに興味がある人、行ったことがある人、これから行きたい人におすすめ。逆にそれ以外の人が読んでも楽しめないかも。

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2010/07/07

[ 内容 ] ついにチベットに入った慧海は、念願の仏教大学入学を許可された。 法王ダライ・ラマにも会い、医者としての名声も高まり平穏で順調な毎日を過ごしていたが、次第に外国人ではないか、という噂がたちはじめ、ラサを離れる決心をする。 だが、行く手には乗り越えなければならない関所が...

[ 内容 ] ついにチベットに入った慧海は、念願の仏教大学入学を許可された。 法王ダライ・ラマにも会い、医者としての名声も高まり平穏で順調な毎日を過ごしていたが、次第に外国人ではないか、という噂がたちはじめ、ラサを離れる決心をする。 だが、行く手には乗り越えなければならない関所がいくつも待ちかまえていた…。 [ 目次 ] 異域の元旦 二か月間の読経 不潔な奇習 正月の嘉例 防霰奇術 はるかにラサを望む 法王宮殿の下に着く チベット人を名乗る セラ大学生となる 法王に召される〔ほか〕 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2009/10/04

これはある超人の日記であり、文化人類学の教科書でもあるだろう。 最近「ホワイトアウト」を読んで雪に対する恐怖感を目の当たりにできた気がしていたのだが、本書に比したら戯画に堕ちてしまうだろう。何しろこちらはほぼノンフィクションだろうから。 だいたい、なんの設備も持たずヒマラ...

これはある超人の日記であり、文化人類学の教科書でもあるだろう。 最近「ホワイトアウト」を読んで雪に対する恐怖感を目の当たりにできた気がしていたのだが、本書に比したら戯画に堕ちてしまうだろう。何しろこちらはほぼノンフィクションだろうから。 だいたい、なんの設備も持たずヒマラヤ越えなど可能なのだろうか?本書で著者は何度も死にかけている。十分な食料も持たず、防寒着もつけず、自らの信念だけでマイナス何十度の生き地獄を何千キロもの気も遠くなるような冒険へ、彼を駆り立てたものは何なのだったのか?それは仏教への信仰心ひとつだ。 同じ日本人という概念では彼を捉えられないだろう。医学等博学な知識や、恐ろしいほどの体力は超人に値するが、性格は変人に近い。その地金を表す文体は恐ろしく下手糞であり、途中何度か目にする和歌などはあまりにヘタ過ぎてこちらが恥ずかしくなるほどだ。彼のエゴイスティックな部分が文中よく垣間見られ、現地の人たちからも変人扱いを受けている。また、現地の人々を露骨に差別し、卑下するような気配も感じられる。まさに文化人類学のテキストのようではないか。 未踏の地に光を灯す部分だけが彼の業績なのではない。 戦前の日本人のもつ純粋な探究心や克己心、なにしろその不屈の闘志に感銘をうける。

Posted byブクログ