1,800円以上の注文で送料無料

森のなかの海(上) の商品レビュー

4.1

36件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    16

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2009/10/04

人にはとてつもなく苦しく、逃避し難い出来事に遭遇することがある。それが必然か、偶然かは別として、なんと言うか、言葉では表現する事のできない喪失感、虚無感に苛まれる。 しかし、人は生きるという選択をしなければなれない。決して、「止」「終」はいけない。人生とは、このように過酷なもの...

人にはとてつもなく苦しく、逃避し難い出来事に遭遇することがある。それが必然か、偶然かは別として、なんと言うか、言葉では表現する事のできない喪失感、虚無感に苛まれる。 しかし、人は生きるという選択をしなければなれない。決して、「止」「終」はいけない。人生とは、このように過酷なものかもしれない。ただ、唯一の救いとも言えるのは、一人ではないということである。人は、一人ではない。だからこそ、苦難を受難することもでき、そして乗り越える事もできるのだろう。希美子はそれを体得した一人なのかもしれない。そしてその周囲の人々も。 人は、本当に強い生き物であると同時に弱い生き物であもある。だからこそ、魅せられるのかもしれない。 希美子の父の言葉に、「春秋に富む」という言葉がある。今はそのときなのかもしれない。本当はもっと若い人に使う言葉なのかもしれないが、自分自身の中でだけでも、その可能性を信じたい。年をとればとるほど、保守的になるというが、せめて自分の人生だけは、挑戦し続けたい。輝き続けたい。 大海(ターハイ)の重ね合いは人の助い合いを・・・ ターハイの幹の太さは人の真の強さを・・・ ターハイの不思議さは人の多面性を・・・ そして、ターハイ自体は人を示しているのかもしれない。

Posted byブクログ

2011/01/20

背景には、阪神淡路大震災がある。その中で行われていたヒトとも思えない所業で夫と離婚した妻。両親が死んでしまい3人姉妹だけで生きなくてはいけなくなったものたち。森の中でひっそりと生きていた、過去の知れない老婦人。 老婦人死後、妻と姉妹達は森の中で暮らす。そこでの再生と救済物語。 ...

背景には、阪神淡路大震災がある。その中で行われていたヒトとも思えない所業で夫と離婚した妻。両親が死んでしまい3人姉妹だけで生きなくてはいけなくなったものたち。森の中でひっそりと生きていた、過去の知れない老婦人。 老婦人死後、妻と姉妹達は森の中で暮らす。そこでの再生と救済物語。 教育のあり方を見た気がしました。最初は気持ち悪いくらい、人間不信に陥りそうでしたが。

Posted byブクログ

2009/10/04

宮本輝さんの作品に出てくる女性は、美しくて儚げなのに逞しい。 希美子は奥飛騨に住むことになって、阪神大震災で両親を失くした三姉妹を引き取り、さらにその姉妹を頼って来た七人の女の子たちと共同生活を始める。 普通なら引き取らないよねぇ。 何の取り柄もない(って言われてる)希美子が、自...

宮本輝さんの作品に出てくる女性は、美しくて儚げなのに逞しい。 希美子は奥飛騨に住むことになって、阪神大震災で両親を失くした三姉妹を引き取り、さらにその姉妹を頼って来た七人の女の子たちと共同生活を始める。 普通なら引き取らないよねぇ。 何の取り柄もない(って言われてる)希美子が、自分より20歳ほど若い女の子たちとお店を始めたり、どんどん新しいことを覚えて、どんどん輝きを増していくのよね。 あぁあたしもこんな女性になりたいなぁ。 それに森の中の植物の描写が素敵。 自分も森の中で深呼吸してる気分になってくる。 女の子達がそれぞれの得意分野を見つけるのも読みどころ。 希美子と女の子たちがどんな風に成長していくのか楽しみ。

Posted byブクログ

2009/10/04

大震災の最中、主人公に起こる様々な出来事。 離れていく人もあれば、不思議な縁で出会う人もあり。 いつも変わらず見守ってくれる家族あり。 主人公の再生を描く物語、前編。

Posted byブクログ

2009/10/04

阪神大震災の日に裏切られた女性。そこから立ち直っていく中で、他人の人生も立ち直らせていく強さが描かれる。所々に出てくる森がなんとも言えず、山奥で読んだらどんだけいいだろーなーって思う。

Posted byブクログ

2009/10/04

阪神大震災被災という悲劇から話がはじまる。悲劇ははるかに小さかったけれど、同じような経験をした私にとっては、読もうと思わせるものだった。久しぶりの宮本輝さんの本であったが、ノンフィクションとしては久しぶりにのめり込むようにして読み切った。

Posted byブクログ