敗北を抱きしめて 増補版(上) の商品レビュー
日本の占領期における政治経済から大衆文化までの幅広い分野が、昭和天皇やマッカーサーはもちろん、高級官僚、文豪、一般大衆、パンパンと呼ばれる娼婦といったこれまた幅広い人々の視点を通して描き出されている。 よくぞここまで調べ、まとめあげたなぁと言う感じ。東京裁判や占領時の政策における...
日本の占領期における政治経済から大衆文化までの幅広い分野が、昭和天皇やマッカーサーはもちろん、高級官僚、文豪、一般大衆、パンパンと呼ばれる娼婦といったこれまた幅広い人々の視点を通して描き出されている。 よくぞここまで調べ、まとめあげたなぁと言う感じ。東京裁判や占領時の政策における言及では、占領を正当化というか言い訳じみた台詞も見てとれるが、草の根レベルで起こっていたことまで細かく触れられていて、非常に勉強になる本だった。
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ピューリッツァー賞を含む10以上の賞をさらった本書は、第二次大戦で敗北した日本のその後について、政治、経済、文化、そして人々の生活の根底に至るまで、豊富な資料に基づいて驚くほど深く研究した傑作である。 英語版が1999年、日本語版も2001年に出版されて以来あまりにも多くの...
ピューリッツァー賞を含む10以上の賞をさらった本書は、第二次大戦で敗北した日本のその後について、政治、経済、文化、そして人々の生活の根底に至るまで、豊富な資料に基づいて驚くほど深く研究した傑作である。 英語版が1999年、日本語版も2001年に出版されて以来あまりにも多くの人が絶賛しているため、これ以上言葉を連ねるのはもはや無意味かもしれない。従って個人的な印象だけを述べると、この本がアメリカ人によって書かれたことが悔しい。 財産も価値観も消失した、混乱の極みとも言える焼け野原から一斉にスタートした“戦後”。庶民のたくましさ、政治家の無節操さ、経済人の奮闘、GHQの欺瞞。その結果として生まれたものが“ハイブリッド国家”だったことが指摘される。 著者は、日本の戦後が本当に終わったのは1989年だと言う。この年に裕仁が崩御して昭和が終わり、ベルリンの壁が崩れて冷戦が終わり、日本経済のバブルもはじけた。戦後の枠組みが失われ、文字通りひとつの時代が終わったのだ。 そこから先、平成の日本はどこへ向かおうとしているのか、20年経った今も不透明だ。そもそも、誰が舵取りしているのかすら覚束ない。背景となる世界の情勢すらしっかり把握できていないようで、日本人自身によって「あるべき日本の姿」を描く試みはまったく見当たらない。 もうしばらくは「戦後後」の混乱期が続くのかもしれない。いつか歴史家がこの時代を振り返るとき、私たちはどんな風に評価されるだろうか。
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そうか、戦後は米軍による検閲があったために空白部分がなかなか埋まらなかったんだ。 自民党と米の関係があくまで強固な理由が分かってきた。
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卒論関係で読み進めている一冊。戦後、日本でいったい何があったのか――鋭い観察眼と綿密なデータのもとに、入門者でも分かりやすい語り口で描かれています。とりあえず目標は下巻までたどり着くこと。
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卒論用に読んでます。戦後史を知る入門書としてはお勧めです。網羅的に書いてあるから、読みやすいのでは。
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政治のトップからではなく、一般の日本人の視線から、敗戦をどう受け止めてきたかを豊富な資料を基に書いた、戦後史のベーシック。 戦争責任・天皇制存続・憲法改正・メディア検閲など現代の問題も、この時代を抜いて語ることはできない。
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下巻もあります。戦後日本の、つまり現代日本の出発点を描いた力作。いろいろな可能性があった中から、必然偶然によって今のような日本社会になった。ということは…。
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「敗北は自己変革のまたとないチャンスである」と言い切るジョン・ダワーの歴史観はとてもポジティブだ。このことはおそらく、私たちが「あの戦争」を教室の中で否定的にしか捉えることを教えられなかったことに対するアンチテーゼなのかもしれない。リアリティをもって歴史を語るにはどうすべきか、考...
「敗北は自己変革のまたとないチャンスである」と言い切るジョン・ダワーの歴史観はとてもポジティブだ。このことはおそらく、私たちが「あの戦争」を教室の中で否定的にしか捉えることを教えられなかったことに対するアンチテーゼなのかもしれない。リアリティをもって歴史を語るにはどうすべきか、考えるのにお薦めの1冊
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去年とってた講義の教授のおすすめ本…というか1回生のときの夏休みの宿題の選択課題図書のうちの1冊かな?読まなかったけど気になる本。
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