あやかし考 の商品レビュー
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「道成寺絵解」にはじまり、絵巻.説話から風聞まで、中世の不思議な話の数々を渉猟し、まことしやかに伝えられ語られる伝説が、はたして当の人物や出来事の本当の姿を伝えるのものか、を解きほぐし明らかにしていく。 -20100131
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2004年(初出1992~2003年)刊。著者は京都精華大学人文学部助教授。◆タイトルどおり、中世期の「あやかし」(蛇、狐、柿木等々)に関わる説話、文芸作品から当時の民衆・貴族・僧侶の意識やその深層を解説する部分もあれば、淀殿論考史、安徳天皇女性論などかなりキワモノ的な内容のものも含む。◇後者に関しては、桑田忠親、山路愛山のみならず、小説家司馬遼太郎まで批判らしき筆が及ぶようだが、その言い分が、男性の淀殿への心理の投影に依拠しているよう。ならば、返す刀で著者のフェニミズム目線への批判にもなりそうだが。 ◇前者に関しては、安倍晴明の実相(後世が作り上げた陰陽師)、道成寺(和歌山県)の創建神話(僧に懸想した女が蛇に化身する)、都市論が展開され、なかなか面白い感じ。中でも道成寺論は「あやかし」と女の情念の連関性を浮き彫りにする内容で読ませる。
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田中氏の柔らかい文章を纏めた一冊。 『安徳天皇女性説の背景』が面白かった。しかし、日本の中世は不思議な時代の印象。
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「人は誰でも、常に物語を求めて生きているのではないだろうか。」という切り出しで始まる論考は、長い長いエピローグ-石の語る物語で終わる。京都の三つの石の語る物語の弁慶石、岩神、班女石を見に行きたくなるのは「日常の生活ではそう簡単には体験し得ないもの」への逃避だろうか。第1章あやかし...
「人は誰でも、常に物語を求めて生きているのではないだろうか。」という切り出しで始まる論考は、長い長いエピローグ-石の語る物語で終わる。京都の三つの石の語る物語の弁慶石、岩神、班女石を見に行きたくなるのは「日常の生活ではそう簡単には体験し得ないもの」への逃避だろうか。第1章あやかしの物語では「道成寺縁起絵巻」の絵解き説法に寺の縁起がないことの不自然さを探究し、先行研究を鋭く批判するなど面白いです。
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