邪魔(上) の商品レビュー

奥田英朗(著者)

2011/02/09

及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供2人と東京郊外の建売り住宅に住む。スーパーのパート歴1年。平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に足元から揺らぎ始める。恭子の心に夫への疑惑が兆し、不信は波紋のように広がる。

奥田英朗は精神科医伊良部のシリーズで有名。自分も大好き。
本格的なサスペンス小説はどうだろうかと思っていたが、リアルに描かれた日常の崩壊が目まぐるしいスピードで進んでいく。
これには読む手が止まらず、上下巻をあっという間に読み終えた。
この人は本当に人間描写が上手。

2011/02/08

一件の放火事件を巡って、事件を追いかける刑事と
被疑者の妻の目線で描かれた小説。

最愛の妻を亡くしてから不眠に陥り、無気力な日々を過ごす刑事に次々と降りかかる面倒な事件。

平凡で平穏な暮らしをしていた主婦に湧き上がる夫への疑惑。

どちらの軸の話もそれぞれ面白い。

エンジンがかかるのに少々時間はかかったけど、
後半に入って色んな方向に話が派生していく様が読む手を進めます。

後半はもっとスピーディーに読み進められそう。

2012/12/17

結果的には面白かったです。
ただ。
上下巻にするほどの長さが必要だったかな？と思っちゃった。
後半が面白いんですよ。
後半が面白い分、前半の間延びが後で気になっちゃった。
ちょっと『シックス・センス』的などんでんもあったりして。
これ、賞取ったそうなので、やっぱりまあ面白いんでしょう。（笑）

2011/01/10

犯罪を起こしてしまた様子の夫、それに巻き込まれて行く妻の描き方が面白い、けど、かなり怖い。

男より女の方が開き直ると怖い・・・
精神的に追いつめられた男がもろく崩れるのに対し、女はそれを飲み込むほどの強さというか・・・ふてぶてしさがすごい。
恭子の職場の人、久野刑事、不良少年たちとの絡みもよかった。

2011/01/04

最初はゆっくりと、そして段々殺人的なスピードでドロップアウトしてゆく主婦・恭子と刑事・薫の、その様の対比が素晴らしい。生きていくうえで“邪魔”なものは捨て去ってしまえ、と開き直りの精神が凄まじい恭子は、最終的に上向きの矢印がぎゅんっと空へ伸びていくように。一方の薫は故障した昇降機の真っ暗な箱の中に閉じ込められて、まっ逆さまに堕ちて行くように。

「最悪」のように、悲惨なんだけど笑える、どこか皮肉がきいた群像劇を期待していたのだが、ほっと一息つけるような場面がなく、徹頭徹尾苦しい読書だった。苦しい、というのは「もういやだ、やめたい」とは別の意味で。もっと短期間（たとえば一日とか）で集中して読みたかったかも。

2010/12/29

奥田さんって、ほんまに色んな味の話を書ける人なんだなぁと感心しきり。

刑事の九野、会社員及川とその妻恭子、不良学生洋平。
他にも、登場人物たくさん。。
それがグルグル絡まりあって、繋がって、話がどんどん盛り上がっていった。

及川恭子がその中でも大きな存在になっていくところが面白い。
事件の直接の当事者ではない彼女が、どんどんドツボにはまっていってしまう。
夫を「邪魔」と言い切ってしまうほどに、狂わせる。

普通の刑事モノの話だったら、犯人と刑事、という二者の関係で話がすすむんだろうけど、そうはいかないところがなるほどおもしろい。

2011/01/04

「最悪」に続いて、奥田作品を読んでみた。流石、傑作と言われるだけある。直ぐに下巻を読みたい。邪魔というのは？及川恭子さんの平凡で幸せな家庭を邪魔するな！ってことかな。
2011/1/4　下巻も読み終わった。恭子さん、九藤さんの心の中が巧く描写されている。九藤さんの義理の母は実は死んでいた。という事実が出てきたが、その部分の解説が無かったように思う。

2010/12/23

精神科医伊良部医師の３部作とは、打って変わって違うジャンル。
上巻下巻とも一気に読めます。
恭子のパート先での出来事は、有りそうもないけど、なぜか身近に感じて引き込まれて読みました。
生卵をぶつけるとこは面白かった。

2010/12/12

奥田さんの本は伊良部シリーズとララピポしか読んだことがなかったので、こんな小説も書けるのかと驚きです。

それぞれの心情が読み手によく伝わってきます。言葉の使い方が上手いと感じた作品です。

2011/02/15

さほどのインパクトはないものの、奥田作品で
『最悪』も好きな方は一読するとよいです。
逆に伊良部シリーズを好む方にはシリアスで
暗めの話なので苦手かも…。

上下巻とも一気に読めましたが、これがオススメ！
というような特筆すべき点はなかった。